『ユニバーサルスポーツ』とは年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、皆が一緒に楽しむことができるスポーツのことです。誰でも参加でき、楽しめるという点から、共生社会の実現への寄与も期待されています。 今回はそんな「ユニバーサルスポーツ」について、具体的な種目を紹介しながらわかりやすく解説していきます。
ユニバーサルスポーツとは
『ユニバーサルスポーツ』とは年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、皆が一緒に楽しむことができるスポーツのことを指します。ユニバーサル(universal)とは、「汎用・万人向け」という意味で、ユニバーサルスポーツのほかにもユニバーサルデザインやユニバーサルアクセスといった複合語が存在し、「すべてで通用する」というイメージを内包しています。
あえてユニバーサルスポーツを定義するならば、ユニバーサルという観点から主に次の4つの特徴を持つスポーツと言えます。
- ルールに柔軟性があり、さまざまな人の参加が可能であること
- 勝ち負けがあるスポーツの場合、誰にでも勝つチャンスがあること
- ルールがシンプルで誰もが理解しやすいこと
- 身体的な負担が少なく、安全性が確保されていること
ユニバーサルスポーツと共生社会
では、なぜ近年「ユニバーサルスポーツ」が必要とされているのでしょうか。
それは共生社会の実現への寄与を期待されているからです。障がいのある人とない人が一緒に楽しむことができるユニバーサルスポーツは両者の相互理解と共生社会の実現に必要なのです。パラスポーツ体験が、体験者の共生社会に関する言葉の認知度向上や、パラスポーツ及び障がい者に対する行動にポジティブな影響を与えるという調査結果もあります。
(参考:パラスポーツが共生社会に及ぼす影響)
ユニバーサルスポーツの種目例
では、実際にどのような種目がユニバーサルスポーツにあたるのかの例を見てみましょう。
ボッチャ
ヨーロッパで生まれたボッチャは、重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目にも採用されています。ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。
モルック
フィンランドの伝統的なゲームを元に、老若男女が楽しめるものとして考えられたアウトドアスポーツです。プレーヤーはモルックと呼ばれる木製の棒を投げ、スキットルと呼ばれる木製のピンを倒し、倒れた本数やピンの数字により得点を得ます。日本ユニバーサルモルック協会では、モルックだけでなく、様々なユニバーサルスポーツの推進が行われています。
卓球バレー
1974年頃、筋ジストロフィー症児のために京都の養護学校で始まった競技です。卓球台を使い、ネットを挟んで、1チーム6人ずつが椅子に座って金属球が入った音のなるボールを転がし、相手コートへ3球以内で返すというゲームです。ルールは6人制バレーボールを元に考案されており、木の板で作られたラケットを使用します。
これからのユニバーサルスポーツ
スポーツチームや団体により、ユニバーサルスポーツに触れられる機会も少しずつ増えてきています。障がいの有無に関わらず、皆が楽しめるユニバーサルスポーツが共生社会実現に向けて重要であることは間違いありません。今まで知らなかったスポーツや普段は体験できないスポーツに触れることが、共生社会への興味や理解に繋がれば良いなと思います。