3分解説

【3分解説】アウティングとは~その意味をわかりやすく解説!

『アウティング』とは、「誰かのSOGI(性的指向や性自認)について、本人の許可なく第三者に言いふらすこと」です。多くのLGBTQ当事者が『アウティング』についての悩みや不安を抱えています。この記事では、アウティングの意味や事件、法律についてわかりやすく解説していきます。

野村HD
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アウティングとは

先程もお伝えした通り、『アウティング』とは「誰かのSOGI(性的指向や性自認)について、本人の許可なく第三者に言いふらすこと」です。主に、LGBTQ当事者のセクシャリティに関する情報を暴露することを指します。

「○○さん、ゲイらしいよ」
「○○さんはトランスジェンダーだから、理解してあげよう」

このような発言が本人の許可なくされた場合、その発言が善意によるものだとしても『アウティング』になります。これをきっかけにいじめが起こったり、人間不信に陥ったりなど、本人の精神的苦痛は計り知れません。他人のSOGIを言いふらすことはプライバシーの侵害であり、絶対にしてはならないことなのです。


そして、『アウティング』とよく比較されるのが「カミングアウト」です。「カミングアウト」とは、「自分のSOGIを自分の意思で伝えること」です。この二つの違いは、本人の意思によって伝えられているかという点と、当事者自身が発言しているかという点です。当事者自身が発言した場合でも、「そろそろ言ったら?」などとカミングアウトを強いられた場合、それは正しいカミングアウトとは言えないでしょう。その場の空気や勢いにまかせて発言し、後悔する人は少なくありません。SOGIは、電話番号や住所と同じように重大な個人情報であることを忘れず、取り扱いには本人の意思を尊重することが大切なのです。

アウティングに関する事件・訴訟

一橋大学アウティング事件

2015年、一橋大学で起きた投身自殺は『アウティング』という言葉を広めるきっかけとなりました。この事件は、ゲイの学生Aさんが同級生Bさん(男性)に告白したところ、告白されたBさんが「Aさんはゲイ」という旨をLINEグループで暴露し、ショックを受けたAさんが大学構内の6階から投身自殺したというものです。

Bさんの行動は『アウティング』であり、秘密を暴露されたAさんの精神的苦痛は計り知れません。また、この事件では学校側の対応についても議論を呼びました。なぜならば、精神的苦痛を受けたAさんが大学のハラスメント相談室に助けを求めた際、相談員は「性同一性障害」のためのクリニックを勧めたからです。「性同一性障害」とは心の性(性自認)が身体の性と一致しないことであり、好きになる性(性的指向)が同性であるAさんには関係ありません。性自認と性的指向(SOGI)という概念がなく「ゲイの人は皆、心が女性」という偏見を持っていたのか、その真実は未だに分かりません。しかし、性に関する誤解がAさんを追い詰めてしまったのかもしれません。

東京都豊島区の会社で起きた事例

2019年、豊島区の会社に勤めるゲイのCさんは、入社時に緊急連絡先を記入する必要があるため、社長と上司に「ゲイである」「同姓パートナーがいる」ことをカミングアウトしました。その際、Cさんは内緒にするようお願いしましたが、上司の一人が他の社員に『アウティング』をしてしまいました。

「自分で言うのが恥ずかしいのだと思って、俺が言っといたんだよ。一人ぐらい、良いでしょ。」

この上司の発言にショックを受けたCさんは、上司と距離を置き、やがて関係性が悪化することとなりました。上司から無視や暴言、暴力を受けるようになったCさんは精神疾患を患い、休職せざるを得ない状態にまで追い込まれてしまいました。

Cさんは会社がある豊島区に対し、事業所への指導などを求める申し立てを行いました。その結果、会社側が謝罪し、解決金を支払うことで和解に至りました。

アウティングに関する法律

こうした事例を受け、2020年に厚生労働省は『アウティング』をパワハラ行為だと正式に定めました。『アウティング』に限らず、SOGIについて侮辱する言動(SOGIハラ)もパワハラ行為だとみなされ、これらの防止・対処を全ての企業に義務付けました。

そして、こうした動きが自治体でも行われるようになりました。
東京都国立市は、全国で初めて ”アウティング禁止” を条例に明記しました。他にも、三重県では「性の多様性を認め合い,誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例案」が可決され、初めてアウティングを禁止した都道府県となりました。これらに罰則規定は設けられていませんが、こうした動きが社会全体の理解を広げ、共通認識へとつながることでしょう。

自治体だけではなく、様々な団体や大学が『アウティング』を問題視する動きを見せています。例えば、筑波大学はガイドラインを改正し「故意や悪意によるアウティングに対しては、本学はハラスメントとして対処します」と明記しました。このような規定を定めることは、私たちの共通認識を生むとともに、誰もが安心できる居場所づくりにもつながるでしょう。

編集部より

誰かを傷つけないために、まずは『アウティング』と「カミングアウト」の違いを理解する必要があります。あなたが誰かに「カミングアウト」された時、他の誰に伝えているのか、誰かに伝えても良いのか、を聞いてみて下さい。そうした意識を一人ひとりが持つことで、『アウティング』による悲しい事件が無くなることを願っています。

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