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「男性起因48%!?“不妊”は女性だけの問題ではない」F Treatment × Sports for Social〈前編〉【連載 #女性のコトを考える vol.2】

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【連載 #女性のコトを考える vol.2】

この連載では「#女性のコトを考える」をテーマに、女性だけではなく、男性が”女性”のことを、知る・理解することを目的として、フェムテック領域や女性向けサービスを展開する企業様との対談を実施します。

対談では、Sports for Socialを運営する株式会社HAMONZ代表の山﨑蓮があえて“男性”目線で“女性のコト”について質問や疑問をぶつけていきます。あなたが疑問に思っていたことの実情や、知りたかったことの答えが見えてくるはずです。

多様な視点から“女性”の身体や心に起こる問題を知り、理解を深める機会になれば幸いです。

F Treatment × Sports for Social「不妊は女性だけの問題ではない」

今回は、妊活・不妊領域に関する事業を展開する株式会社F Treatment代表取締役 金藤 美樹穂さんと「不妊」をテーマに対談を実施しました。不妊は“女性だけではなく男性にも問題がある”という認識はまだまだ薄く、性別に関わらずパートナーとどのように向き合えば良いのか分からない方も多いと思います。

女性だけに問題があると思われている不妊。実は男性にも問題があることも多いのです。新たな発見があること間違いなしの濃厚な対談内容を、前後編の2回にわたりお届けします。

不妊治療について知っていますか?「知る」ことから始めよう

山﨑)まず最初に、御社の事業と、始めたきっかけを教えてください。

金藤)不妊治療netというメディア事業を2015年からスタートしました。この妊活や不妊領域に関する課題は大きく分けて2つあると思っています。1つは知識がないこと。もう1つは、自分の体を知らないことです。

メディア事業は、その「知識がない」ところを解決したいという考えから立ち上げました。不妊に関するコラムや先生による記事、不妊治療ができる病院についての情報を載せています。

F Treatment_不妊治療net©︎F Treatment Co.,Ltd

知識不足という点について山﨑さんに質問です。学校で性教育があったと思いますが、どんなことを教わったか覚えていますか?

山﨑)正直、あまり覚えていません。覚えていないというよりかは、深く教えてもらっていないという表現が正しいですかね。学校の先生も性教育はすごくセンシティブに取り扱うため、踏み込んでは教えていない印象があります。

金藤)そうですね。セックスをすることで子供ができることや、避妊については触れられたりしますが、妊活や不妊、子供を作るにあたってのホルモンの変化などについては教育過程では全く触れられていません。

山﨑)やはりそうなんですね。

金藤)性に関することは、大人になっても勉強する機会がなく、いざ自分が不妊について知りたいと思った時に知識を得る機会がないんです。最近はそういった性教育について課題感を持たれている方や実際に取り組みをされている方も増えてきたのですが、まだまだ社会に浸透していない。そういったことを背景として事業をスタートしました。

山﨑)知りたい人たちに情報を提供することから始められたんですね。

金藤)そして、2019年「F check」という卵巣年齢をセルフチェックできる日本初の検査キットを作りました。これが二つ目の課題である「自分の体を知る」ことに繋がります。F Treatment_F checkワタシチェック©︎F Treatment Co.,Ltd

日本は、欧米に比べて予防医学という概念があまり浸透していないので、病気になったら病院に行くけど、検査やセルフケアによる予防への意識はとても低いです。だからこそ、自宅で簡単に検査ができるこのキットを開発しました。検査をすることによって、「もうちょっと自分の身体を知った方が良いんじゃないか」「知識を集めたり病院に行ってみたりするべきではないか」と行動を起こすようになれば良い。そういった経緯と想いで始めました。

山﨑)ありがとうございます。自分の身体を知らない方が多いとのことですが、多くの方は検査キットを使ってみて初めて「私ってこういう身体なんだ」と知るのでしょうか?

金藤)そうですね。そもそも卵巣年齢という言葉自体がまだまだ普及してないと思います。

卵巣年齢を「知る」ことでライフプランを考える

山﨑)卵巣年齢…。はじめて聞きました。

金藤)「卵巣年齢」とは卵巣に残っている卵子の数が何歳相当であるかを表すものです。(医学的には、この「卵巣に残っている卵子の数」を「卵巣予備能」と呼びます。)卵巣の中にある卵子は、女性が胎児のときに作られて以降は増えることなく減少し続けていき、生理が終わる閉経時には卵子の数はゼロに近づきます。このことも知らない方は多いと思いますし、そんなことを気軽に検査する機会がそもそもなかったんですよね。検査するとすれば、ブライダルチェックか、不妊を疑って不妊検査を行ったときで、ほんとに検査してみて初めて知るという感じだと思います。

山﨑)ありがとうございます。

検査や知識についての重要性については、御社のような企業様の努力もあり、女性の中では少しずつ理解が深まっていると思います。一方、男性側は全く知識・理解がありません。今回の対談では、男性側は不妊とどのように向き合っていくべきなのかという点を是非伺っていきたいと思っています。

私自身も不妊というとどうしても女性の問題だと思ってしまって…。しかし、実際には男性にも原因があったりもするんですよね?

男性起因の不妊はなんと48%!

金藤)不妊の原因は男女ともに色々な原因がありますが、男性に起因する不妊の原因は100%中何%ぐらいだと思いますか?

山﨑)20%くらいですかね?

金藤)なるほど、ありがとうございます。実は、48%が男性なんです。

山﨑)え…。48%が男性ですか!?

金藤)これは世界保健機関WHOが発表している不妊症原因の統計の結果で、男性起因が48%でほぼ半分なんです。この中には、男性にのみ原因があるものも、女性も男性にも原因があるものも含まれています。しかしながら、何かしら男性に起因するというものが半数もあるんです。

しかし、仰って頂いた通りまだまだ不妊は女性の問題という認識があるので、どうしても女性が抱え込みやすいんですよね。

山﨑)驚きました。それはどんな原因なんでしょうか?

金藤)少し解説をしますね。男性の不妊の原因については、精子の「量」と「質」という考え方があります。

山﨑)何事も量と質ですね。

金藤)この「量」という点について、生々しいですが、射精した時の精子の量は過去40-50年の間で半減したという研究発表もあります。

山﨑)それは人類がですか?

金藤)はい。量でいうと、精子の量の減少が原因になります。半減しても、健康な精子が1匹でもいれば様々な医療を使って不妊治療をすることはできますが、多くのカップルはまずご自宅で性生活を持たれると思うので、初めは原因に気付かないことも多いですね。

今度は「質」について。男性起因の不妊には、精子が通る道が閉じてしまっていて精子が通れないことや、射精障害や勃起障害、いわゆるEDなどいくつか原因はありますが、原因の約80%は、精子が正常に作ることができない造精機能障害によるもので、精巣の中で運動性が良好な精子をつくる機能が低下していると考えられています。動きが悪い、あまり活発に動けていない、奇形などがあります。

山﨑)なるほど、奇形などもあるんですね。

金藤)そういった形で「質」も低下しています。F check キット内容©︎F Treatment Co.,Ltd

男性の生活習慣も不妊に影響が

山﨑)質が低下している人は増えているんですか?

金藤)そうです。喫煙や加齢、さらにはアルコールや精神的ストレスも、男性ホルモンが影響を受ける原因になります。あとは、肥満やスマートフォンの電磁波も影響しているという報告もあります。

山﨑)いろいろな要因があるということですね。

金藤)「生活習慣を変える」ことは、男性が不妊を考える上で大切だと言われています。

また、晩婚化も女性だけではなく男性にも当てはまります。男性の性欲も20代に比べて年齢とともに低下していくので、ご夫婦になられてもセックスレスになってしまうこともあります。

山﨑)今お話を伺っていて思ったのは、まず不妊はいろいろな原因あるということ。言い方が悪いかもしれませんが、お話をお伺いするまでは女性の子宮の問題が多いんだろうなと思っていました。男性側にもこんなに原因があるなんて、と正直驚いています。

金藤)そうなんですよ。また、もう一つ知っておいて欲しいことがあります。実は、男性も年齢を重ねるとその精子が持つ遺伝子に異変が起こる確率が増えてしまうんです。

山﨑)怖い…

金藤)お父さんが高齢であるほど、お子さんが鬱などの精神疾患を持つ可能性が高くなるという発表もあります。それは精子の老化、つまり加齢による遺伝子の変異が原因ではないかと言われています。

もちろん女性も年齢が高くなるにつれて流産率は高まってしまうのですが、男性も高齢になるにつれて流産のリスクが高まるとも言われています。妊娠率も加齢とともに下がっていきます。女性もですが、特に男性の場合は40歳を過ぎてから明らかに妊娠率の低下が見られます。

山﨑)そうなんですね。
結婚や出産となると、女性の年齢をベースに物事を決められたりしますよね。

金藤)はい。

山﨑)会話の中でもそのことを感じることがあって、例えば「彼女が30歳だから結婚しよう」「子供のこと考えると女性の年齢的にもうそろそろ」という発言は男性側に多いなと思います。ですが、そうではないのだなと感じました。

金藤)最近は歳の差婚も多くなり、女性が若いから良いだろうと思われる方もいますが、しっかり男性ご自身の年齢を考えていただくことも大切だと思います。いずれにしても、パートナー同士で子どもが欲しいのかといったことを話し合うことで、回避できる不妊治療もあるのではないかと思います。パートナー同士が話し合う機会はもっともっと育まれると良いなと思います。

編集部より

今回は

●不妊の原因は、女性だけでなく男性にあることも
●男性の生活習慣や高齢出産も不妊に影響する

という内容でお届けしました。

「不妊」は意外にも男性にも関係のあるトピックであり、知らないことも多かったのではないでしょうか?まずは「知る」ことから、そしてぜひご自身やパートナーの方について考えてみてはいかがでしょうか。

後編では

●不妊治療にはどんなストレスや問題があるのか
●パートナーとどう向き合っていけばいいか

といったことについてお届けします。お楽しみに!

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