2024年で第100回を迎える箱根駅伝。多くのドラマを生んだ正月の風物詩です。
100年以上の歴史を”繋いできた”大会は、数えきれないほど多くの人が関わり、想いを繋ぎ、さまざまなことをもたらしました。
Sports for Socialでは、競技面のみならなず、想いを”繋いできた”人にフォーカスし、100年以上の歴史を紐解いていきます。

区間説明
1区
21.3km(東京・大手町 読売新聞ビル前→(品川駅前)→(新八ツ山橋)→(蒲田(京浜急行電鉄・京急蒲田駅))→(六郷橋)→鶴見中継所)
区間記録<吉居大和(中央大学)2022年・1時間00分40秒>
2区
23.1km(鶴見中継所→(横浜駅前→(権太坂)→戸塚中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2021年・1時間05分49秒>
3区
21.4km(戸塚中継所→(遊行寺坂)→(茅ヶ崎)→(湘南大橋)→平塚中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2020年・59分25秒>
4区
20.9km(平塚中継所(大磯)→(二宮)→(酒匂橋)→小田原中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2023年・1時間00分00秒>
5区
20.8km(小田原中継所→(箱根登山鉄道箱根湯本駅前)→(大平台ヘアピンカーブ)→(宮ノ下富士屋ホテル前)→(小涌園ユネッサン前)→(恵明学園前)→(芦の湯)→箱根・芦ノ湖)
区間記録<山本唯翔(城西大学)2023年・1時間10分04秒>
6区
20.8km(箱根・芦ノ湖→(芦之湯)→(恵明学園前)→(小涌園前)→(大平台)→(箱根湯本駅前)→小田原中継所)
区間記録<館澤亨次(東海大学)2020年・57分17秒>
7区
21.3km(小田原中継所→(二宮)→(大磯)→(国道134号)→平塚中継所
区間記録<阿部弘輝(明治大学)2020年・1時間01分40秒>
8区
21.4km(平塚中継所→(湘南大橋)→(茅ヶ崎)→(遊行寺坂)→戸塚中継所)
区間記録<小松陽平(東海大学)2019年・1時間03分49秒>
9区
23.1km(戸塚中継所→(権太坂)→(横浜駅前)→鶴見中継所)
区間記録<中村唯翔(青山学院大学)2022年・1時間07分15秒>
10区
23.0km(鶴見中継所→(六郷橋)→(蒲田(京急蒲田駅))→(大森)→(大井)→(新八ツ山橋)→(品川駅前)→(田町)
→(中央通り)→東京・大手町 読売新聞ビル前)
区間記録<中倉啓敦(青山学院大学)2022年・1時間07分50秒>
各区間の見どころ
1区~箱根路はじまり~
大手町読売新聞ビル前から鶴見中継所までの21.3kmを走る。各校のスピードランナーが集まるすべての始まりの区間。
流れを決めるスターター
箱根駅伝のスタートを切る区間であり、流れを決める重要な役割を持つ。
ひしめき合う各校の戦術
スピードランナーや準エースクラスの投入が多く、集団になると牽制などでスローペースになる傾向がある。その一方、スタート直後に飛び出して逃げ切りを狙う(俗に言う「大逃げ」)学校もあり、各校の戦術が現れる区間の1つ。
見ごたえあるスプリント勝負
新八ツ山橋と六郷橋のみ大きなアップダウンがあり、六郷橋から川崎市街にかけての区間では、橋からの下りを利用してスパートをかける選手も。集団から抜け出し、ラストのスプリント勝負が壮絶を極める。
<Pick up!>
オリンピアン大迫傑も破れなかった平成の大記録(佐藤悠基(当時東海大2年)が樹立)を2022年大会で”超先行逃げ切り”で吉居大和(中央大)が塗り替える
2区~花の2区~
鶴見中継所から戸塚中継所までの23.1kmを走る。各校のエース級の選手が集い、「花の2区」と呼ばれる重要な区間。
「花の2区」の異名
各校がエース級の選手を揃えて争い、競技の中でも最も激しい区間。
留学生をエントリーする大学が多い
2区は留学生を擁する大学が多く、留学生をエントリーさせることが多い区間。留学生のごぼう抜きも魅力の一つ。
後半の上り坂がポイント
後半にある権太坂や「戸塚の壁」の上り坂がポイントであり、どう攻略するかが結果に大きく影響するため、選手たちは慎重にペース配分を考える必要がある難コース。
<Pick up!>
最大の悲劇「途中棄権」 第78回大会(2002年)の徳本一善(法政大)のスタートから28.6km地点での途中棄権が箱根駅伝史上最短。
その悲劇を乗り越え、2003年と2004年に日本選手権男子5000m連覇。
3区~隠れたエース区間~
戸塚中継所から平塚中継所までの21.4kmを走る。往路では最も気温差が大きく、海岸線を走るため風の影響を受けやすい区間。
遊行寺坂から海岸線への下り
戸塚中継所を出発すると、最初の約10キロメートルは遊行寺坂などの下り坂が続きます。この区間は脚力のある選手がアタックしやすく、レースの流れを左右する。
湘南海岸沿いの景勝地
この区間は、相模湾や富士山を望む絶景スポットとして知られており、箱根駅伝の中でも一番の景勝地といわれている。ただし、海風が強いため選手たちは風に注意しながら走らなければならない。
選手の気温調整
3区は往路で最も気温差が大きく、また海風の影響を受けやすいため、選手たちは適切な装備や水分補給を行いながら、気温調整にも気を配らなければならない。レース中に体調を崩す選手も多いため、体調管理が求められる。
<Pick up!>
第96回大会(2020年)では、令和最強留学生のイェゴンヴィンセントが唯一の前人未到の59分台の区間新記録を樹立
エースとして、入学した大型ルーキーが出走し、好走することも多い区間。
4区~戦略が問われる~
平塚中継所から小田原中継所までの20.9kmを走る。海から山へと向かう選手たちにとって重要な区間。
一人で走る強い選手が必要
選手たちは4区に入るとだいぶばらけてくるため、一人で走ることができる力が求められる。そのため、我慢強く走れる選手が必要になる区間。
10個の橋がある
4区には10個の橋があり、それぞれの橋で緩やかなアップダウンがある。これらの細かなアップダウンが積み重なって疲労を増幅させるため、選手たちは橋の数に合わせて力の配分を考えなければならない。
各校の戦略が問われる
4区は往路において、箱根登山鉄道ガードからの残り1kmが特に厳しい場所。このため、各校の戦略が問われる。
<Pick up!>
第72回大会(1996年)で優勝候補の一角でもあった神奈川大が途中棄権。翌年のその悔しさを糧に第73回大会(1997年)で初優勝。
同大会で複数棄権チームがあったことにより、給水制度導入の流れとなる。
5区~天下の険~
小田原中継所から芦ノ湖フィニッシュまでの20.8kmを走る。往路の最も過酷な区間であり、箱根駅伝の象徴的な区間の1つ。この区間は、小田原から始まり、標高差800m以上の山を一気に駆け上がり、最高地点を越えると一転して下り坂が続くため、上りはもちろん下りに入ってからの走りも重要な区間。
山上りのコース
往路5区は箱根の山を駆け上がる区間で、最後の4.5キロは逆に下る難コース。この区間は、「天下の険」と呼ばれるほど険しい山道で、選手たちは激しい山岳地帯を駆け上がる。
大差がつく可能性が高い
山上りのコースであるため、選手の力量差によっては大差がつくことがある。さらに、この区間での選手の走りによっては、後続チームとの差が詰まることもあるため、注目される区間の一つ。
厳しい自然条件
箱根の山岳地帯は厳しい自然条件があり、突風や雪、凍結した路面などが選手たちを苦しめる。過去には、選手たちが脱水症状や低体温症になるなど、激しいレース展開によって、さまざまなドラマが生まれた。
<Pick up!>
第82回大会(2006年)から第93回大会(2017年)までは全区間の中で最長区間。
5区で順位を一変させる「山の神」がこの頃から、続々誕生。(今井正人(順天堂大)、柏原竜二(東洋大)神野大地(青山学院大)etc…)