スポーツ

実はこんなにおもしろい!箱根駅伝のコース解説【1区~5区】

2024年で第100回を迎える箱根駅伝。多くのドラマを生んだ正月の風物詩です。
100年以上の歴史を“繋いできた”大会は、数えきれないほど多くの人が関わり、想いを繋ぎ、さまざまなことをもたらしました。
Sports for Socialでは、競技面のみならなず、想いを“繋いできた”人にフォーカスし、100年以上の歴史を紐解いていきます。

日総工産×神奈川大学
「人を育て、人を活かす」神奈川大学駅伝チームと日総工産の揺るぎないシナジー駅伝の古豪、神奈川大学。1997年、98年の箱根駅伝の連覇からタイトルは遠ざかったものの、2020東京オリンピック男子マラソン日本代表の鈴木健吾選手の箱根駅伝での活躍はまだ記憶に新しく、さらに直近の全日本大学駅伝予選では1位通過するなど、多くの陸上ファンがその活躍を期待しています。 そんな神奈川大学陸上競技部駅伝チームをスポンサーとしてサポートするのが、日総工産株式会社(以下、日総工産)。製造系人材サービスを提供する日総工産は、大学駅伝でのスポンサーの解禁に伴い、2021年より神奈川大学陸上競技部との関わりをスタートさせました。 この両者の描くストーリー、そして「人を育てる」ことへの共感とその取り組みについてお話を伺いました。...

第100回大会出場校

第100回大会は記念大会ということもあり、23校が出場します。(第99回大会は20校+関東学連選抜の21チームが出場)
前回大会優勝の駒澤大学が、前人未到の2年連続大学三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)3冠へと挑むほか、優勝経験のある日本大学や神奈川大学、東京農業大学といった古豪チームが本戦に復帰しています。

出場校一覧

  • 駒澤大学(58年連続58回目)
  • 中央大学(7年連続97回目)
  • 青山学院大学(16年連続29回目)
  • 國學院大學(8年連続17回目)
  • 順天堂大学(13年連続65回目)
  • 早稲田大学(48年連続93回目)
  • 法政大学(9年連続84回目)
  • 創価大学(5年連続7回目)
  • 城西大学(2年連続18回目)
  • 東洋大学(22年連続82回目)
  • 大東文化大学(2年連続52回目)
  • 明治大学(6年連続65回目)
  • 帝京大学(17年連続25回目)
  • 日本体育大学(76年連続76回目)
  • 日本大学(4年ぶり90回目)
  • 立教大学(2年連続29回目)
  • 神奈川大学(2年ぶり54回目)
  • 国士舘大学(8年連続52回目)
  • 中央学院大学(2年ぶり23回目)
  • 東海大学(11年連続51回目)
  • 東京農業大学(10年ぶり70回目)
  • 駿河台大学(2年ぶり2回目)
  • 山梨学院大学(4年連続37回目)

区間説明

1区

21.3km(東京・大手町 読売新聞ビル前→(品川駅前)→(新八ツ山橋)→(蒲田(京浜急行電鉄・京急蒲田駅))→(六郷橋)→鶴見中継所)
区間記録<吉居大和(中央大学)2022年・1時間00分40秒>

箱根駅伝スタートしてすぐ皇居脇のビジネス街を駆け抜ける

2区

23.1km(鶴見中継所→(横浜駅前→(権太坂)→戸塚中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2021年・1時間05分49秒>

2区保土ヶ谷駅から難所である「権太坂」、「戸塚の壁」に挑む

3区

21.4km(戸塚中継所→(遊行寺坂)→(茅ヶ崎)→(湘南大橋)→平塚中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2020年・59分25秒>

3区開けた一本道は、天候の影響も受けやすいが、前を走る選手の背中も見える

4区

20.9km(平塚中継所(大磯)→(二宮)→(酒匂橋)→小田原中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2023年・1時間00分00秒>

4区見どころは、終盤の酒匂橋のアップダウン

5区

20.8km(小田原中継所→(箱根登山鉄道箱根湯本駅前)→(大平台ヘアピンカーブ)→(宮ノ下富士屋ホテル前)→(小涌園ユネッサン前)→(恵明学園前)→(芦の湯)→箱根・芦ノ湖)
区間記録<山本唯翔(城西大学)2023年・1時間10分04秒>

5区往路フィニッシュに待ち構える雄大な芦ノ湖

6~10区の解説はこちら

名将が語る箱根駅伝~学生と寄り添い、“ともに”歩む東海大学・両角速監督の道~現役監督として箱根駅伝を制した中で唯一、都大路(高校生駅伝大会)を制しているのが、東海大学陸上競技部で駅伝監督を務める両角速さん(以下、両角)です。 東海大学、実業団を経て就任した佐久長聖高校では、駅伝部の立ち上げから全国制覇も果たした強豪に育て上げ、東京オリンピック男子マラソン代表の大迫傑選手など、数々の有名選手の恩師としても知られています。 自身の現役時代、高校の監督、大学の監督と、長年“駅伝”に携わってきた両角さんから見た『箱根駅伝』、そして教え子たちへの熱い想いに迫ります。...
早稲田大学
箱根の頂点から世界へ~世界を見据える早稲田大学・花田勝彦監督の想い~Sports for Socialでは、箱根駅伝に関わる指導者の“教育論”を深掘りしていきます。 第4回では早稲田大学競走部の花田勝彦駅伝監督(以下、花田)。創部1914年(大正13年)早稲田大学競走部は箱根駅伝に第1回大会(1920年)から出場しており、これまで99回の箱根駅伝のうち92回の出場回数を誇る言わずと知れた強豪校です。 在学時代に活躍した卒業生であり、オリンピック、世界陸上の代表経験もある花田さん。自身の経験を活かし、伝統ある早稲田の箱根駅伝、更にその先をも見据えた指導とは?...

各区間の見どころ

1区~箱根路はじまり~

大手町読売新聞ビル前から鶴見中継所までの21.3kmを走る。各校のスピードランナーが集まるすべての始まりの区間。

流れを決めるスターター

箱根駅伝のスタートを切る区間であり、流れを決める重要な役割を持つ。

ひしめき合う各校の戦術

スピードランナーや準エースクラスの投入が多く、集団になると牽制などでスローペースになる傾向がある。その一方、スタート直後に飛び出して逃げ切りを狙う(俗に言う「大逃げ」)学校もあり、各校の戦術が現れる区間の1つ。

見ごたえあるスプリント勝負

新八ツ山橋と六郷橋のみ大きなアップダウンがあり、六郷橋から川崎市街にかけての区間では、橋からの下りを利用してスパートをかける選手も。集団から抜け出し、ラストのスプリント勝負が壮絶を極める。

<Pick up!>

オリンピアン大迫傑も破れなかった平成の大記録(佐藤悠基(当時東海大2年)が樹立)を2022年大会で”超先行逃げ切り”で吉居大和(中央大)が塗り替える

<第100回大会はどうなる!?>

駒澤大学は、1区出走希望を明言していた佐藤圭汰ではなく、白鳥哲汰を1区にエントリー。篠原倖太朗への当日変更なども噂されるが、各校3冠を狙うこのチームの動きに目を光らせながらの戦いになりそうだ。序盤からペースを握るため、各大学もエースをぶつける可能性もあり、ハイペースでのレース展開が予想される。

2区~花の2区~

鶴見中継所から戸塚中継所までの23.1kmを走る。各校のエース級の選手が集い、「花の2区」と呼ばれる重要な区間。

「花の2区」の異名

各校がエース級の選手を揃えて争い、競技の中でも最も激しい区間。

留学生をエントリーする大学が多い

2区は留学生を擁する大学が多く、留学生をエントリーさせることが多い区間。留学生のごぼう抜きも魅力の一つ。

後半の上り坂がポイント

後半にある権太坂や「戸塚の壁」の上り坂がポイントであり、どう攻略するかが結果に大きく影響するため、選手たちは慎重にペース配分を考える必要がある難コース。

<Pick up!>

最大の悲劇「途中棄権」 第78回大会(2002年)の徳本一善(法政大)のスタートから28.6km地点での途中棄権が箱根駅伝史上最短。
その悲劇を乗り越え、2003年と2004年に日本選手権男子5000m連覇。

<第100回大会はどうなる!?>

12月29日の区間エントリーでは、鈴木芽吹(駒澤大学)、吉田礼志(中央学院大学)などの各校エースがエントリー。松山和希(東洋大学)、斎藤将也(城西大学)、などは、補欠登録ながら当日変更で2区起用の予想もあり、各校エースのぶつかり合いが見れそうだ。1区がもしハイペースであれば、なおさらここで遅れることは上位を狙う上で致命的となる区間で、各校の動きに注目が集まる。また、予選会個人1位を獲得したシャドラック・キップケメイ(日本大学)も2区起用が有力視され、ごぼう抜きの記録にも注目が集まる。

3区~隠れたエース区間~

戸塚中継所から平塚中継所までの21.4kmを走る。往路では最も気温差が大きく、海岸線を走るため風の影響を受けやすい区間。

遊行寺坂から海岸線への下り

戸塚中継所を出発すると、最初の約10キロメートルは遊行寺坂などの下り坂が続きます。この区間は脚力のある選手がアタックしやすく、レースの流れを左右する。

湘南海岸沿いの景勝地

この区間は、相模湾や富士山を望む絶景スポットとして知られており、箱根駅伝の中でも一番の景勝地といわれている。ただし、海風が強いため選手たちは風に注意しながら走らなければならない。

選手の気温調整

3区は往路で最も気温差が大きく、また海風の影響を受けやすいため、選手たちは適切な装備や水分補給を行いながら、気温調整にも気を配らなければならない。レース中に体調を崩す選手も多いため、体調管理が求められる。

<Pick up!>

第96回大会(2020年)では、令和最強留学生のイェゴンヴィンセントが唯一の前人未到の59分台の区間新記録を樹立
エースとして、入学した大型ルーキーが出走し、好走することも多い区間。

<第100回大会はどうなる!?>

海風がどれくらい吹くかによって、大きくレース展開が左右される。前回区間賞を獲得した中野翔太(中央大学)も健在。優勝候補の駒澤大学は、前回区間2位の篠原倖太朗に代わり、2年生で初の10000メートルながら従来のU20日本記録を30秒近く更新する27分28秒50をマークした佐藤圭汰が3区にエントリー。他大学にも経験者が多数おり、レベルの高いレースが予想される。

4区~戦略が問われる~

平塚中継所から小田原中継所までの20.9kmを走る。海から山へと向かう選手たちにとって重要な区間。

一人で走る強い選手が必要

選手たちは4区に入るとだいぶばらけてくるため、一人で走ることができる力が求められる。そのため、我慢強く走れる選手が必要になる区間。

10個の橋がある

4区には10個の橋があり、それぞれの橋で緩やかなアップダウンがある。これらの細かなアップダウンが積み重なって疲労を増幅させるため、選手たちは橋の数に合わせて力の配分を考えなければならない。

各校の戦略が問われる

4区は往路において、箱根登山鉄道ガードからの残り1kmが特に厳しい場所。このため、各校の戦略が問われる。

<Pick up!>

第72回大会(1996年)で優勝候補の一角でもあった神奈川大が途中棄権。翌年のその悔しさを糧に第73回大会(1997年)で初優勝。
同大会で複数棄権チームがあったことにより、給水制度導入の流れとなる。

<第100回大会はどうなる!?>

昨年に引き続き、今年も好天で気温が上がることが現時点では予想されているため、脱水症状等への対策も入念に行う必要がある。前回王者・駒澤大学がここまでどういったレース運びができるか、他の大学がどこまで追従することができるか。特に5区山登りに自信のある大学は、ここまでで1秒でも前のチームとの差を縮める必要がある。

5区~天下の険~

小田原中継所から芦ノ湖フィニッシュまでの20.8kmを走る。往路の最も過酷な区間であり、箱根駅伝の象徴的な区間の1つ。この区間は、小田原から始まり、標高差800m以上の山を一気に駆け上がり、最高地点を越えると一転して下り坂が続くため、上りはもちろん下りに入ってからの走りも重要な区間。

山上りのコース

往路5区は箱根の山を駆け上がる区間で、最後の4.5キロは逆に下る難コース。この区間は、「天下の険」と呼ばれるほど険しい山道で、選手たちは激しい山岳地帯を駆け上がる。

大差がつく可能性が高い

山上りのコースであるため、選手の力量差によっては大差がつくことがある。さらに、この区間での選手の走りによっては、後続チームとの差が詰まることもあるため、注目される区間の一つ。

厳しい自然条件

箱根の山岳地帯は厳しい自然条件があり、突風や雪、凍結した路面などが選手たちを苦しめる。過去には、選手たちが脱水症状や低体温症になるなど、激しいレース展開によって、さまざまなドラマが生まれた。

<Pick up!>

第82回大会(2006年)から第93回大会(2017年)までは全区間の中で最長区間。
5区で順位を一変させる『山の神』がこの頃から、続々誕生。(今井正人(順天堂大)、柏原竜二(東洋大)神野大地(青山学院大)etc…)

<第100回大会はどうなる!?>

新たな『山の神』の候補としては、1年時の箱根駅伝で5区区間2位の吉田響(創価大学)、前回大会で『山の妖精』とも言われた前回大会5区区間賞の山本唯翔(城西大学)、今年の『激坂最速王決定戦』で優勝した山本雷我(国士舘大学)が挙げられる。往路優勝の大逆転劇もこの区間で起きる可能性もあり、芦ノ湖のゴールテープを切るまで、一瞬たりとも見逃せない。

6~10区の解説はこちら

法政大学
「しっかり考え、努力する」箱根駅伝のランナーを育てる伝統校監督の考えとは?Sports for Socialにおける『箱根駅伝“教育論”』連載の第1回は、法政大学の坪田智夫監督(以下、坪田)。選手としても箱根駅伝2区区間賞をはじめ、実業団選手としてニューイヤー駅伝6度の優勝、そして個人としても世界陸上に出場するなどの輝かしい実績を持つ坪田さんは、2012年からOBである法政大学の監督として指導の現場に立ち始めました。指導者のいなかった学生時代、なかなか結果が出ない中での王者からのアドバイス、それらの経験から今でも大切にする想いとは?...
箱根駅伝とは?
【3分解説】箱根駅伝とは?その歴史や楽しみ方を解説!箱根駅伝は、正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」で、年に一度1月2日と3日に開催されます。関東学生陸上競技連盟が主催し読売新聞社が共催し、全国大会ではなく"関東ローカル大会"である。東京都大手町の読売新聞東京本社ビル前をスタート地点にし、神奈川県箱根町の芦ノ湖をゴールとする、往路・復路の合計10区間217.1kmを走る競技です。 この記事では、その歴史や楽しみ方を紐解いていきます。...
RELATED POST

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA