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【#女性のコトを考える】働き方を考える~ダイバーシティ&インクルージョン~

野村HD

この連載では「#女性のコトを考える」をテーマに、女性だけではなく、男性が“女性”のことを、知る・理解するための対談をお届けしています。
今回のテーマは『働き方』です。女性は出産というライフイベントや、育児についても中心的な役割を果たすことが多いことも事実です。男性の育児休暇の制度も整い始めたものの、その利用率は12.65%(2021年、厚生労働省)と、政府目標に届いていないのが現状です。

日本の企業は、こうした『女性の働き方』についてどう考えているのでしょうか?
1つの事例として、野村ホールディングス株式会社(以下、野村HD)サステナビリティ推進室ダイバーシティ&インクルージョン推進課の大谷さん(以下、大谷)と北村さん(以下、北村)にお伺いしました。

女性の働き方の多様化や、男性が育児から得られるものについてお話してきた今回の連載、最後は『ダイバーシティ&インクルージョン』についてお話していきます。

野村HD
【#女性のコトを考える】働き方を考える~育児休暇と会社のコト~この連載では「#女性のコトを考える」をテーマに、女性だけではなく、男性が“女性”のことを、知る・理解するための対談をお届けしています。 今回のテーマは『働き方』です。日本の企業は、『女性の働き方』についてどう考えているのでしょうか? 1つの事例として、野村ホールディングス株式会社(以下、野村HD)サステナビリティ推進室ダイバーシティ&インクルージョン推進課の大谷さん(以下、大谷)と北村さん(以下、北村)にお伺いしました。...
女性のコトを考える 野村HD02
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ダイバーシティ&インクルージョンを考える

山﨑)いま大谷さん、北村さんが所属されるダイバーシティ&インクルージョン室というのは、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

大谷)野村HDとしてダイバーシティ&インクルージョンというのは10年ほど話題になっており、会社の中でも馴染んできている言葉です。
私たちはその中で、『女性の子育てと仕事の両立』という意味では、女性が結婚するから、出産をするから退職するという形は少なく、戻ってきて働く環境づくりはある程度整ったと思っています。今後は「そこからより活躍するために」という点でのサポートを考えています。
また、男女の差だけでなく、LGBTに関する取り組みなど、多様性の理解に向けたさまざまな施策を考え、社内向けに発信したり、経営層へのダイバーシティ&インクルージョンの観点での問題提起なども行っています。

山﨑)女性の活躍という点で、どのような取り組みや発信をされているのですか?

大谷)まず、年齢や階層によっても変わってくるのですが、これから管理職を目指す人たちの悩みは私が若かったときから変わっていません。「なんとなく自信がない」「両立について不安」などが出てくる中で、リーダーシップを持つような研修を行ったり、ロールモデルを見せ、「こんな活躍する先輩がいるのか」と安心してもらえるような働きかけをしています。
管理職層に対しては、さらに自分自身をスキルアップするためのコーチングのプログラムなどを重視し、女性活躍を推進しています。

北村)加えて、社員同士のつながりを作る取り組みも行っています。社員が業務時間外に自主的に活動するネットワークがあり、ダイバーシティの風土醸成のために、3つのテーマで活動しています。『女性のキャリア』『健康・育児・介護』『多文化・障がい者・LGBT』があるのですが、そのテーマに関心のある人が集まり、当事者や専門家などを自主的に呼んでセミナーを開催するなどの動きをしています。

ギアチェンジをするとは?

山﨑)若手として働くときと、結婚をしたあと、そして育児休暇明けなど、とくに女性では『働き方』という点でも変わってくると思うのですが、どのような変化があるものなのでしょうか?

大谷)結婚、出産などを経ると、自分自身の役割が増えます。特に、母親という役割が増えるタイミングで仕事に関する『ギア』が変わるような印象はあります。
オン・オフの切り替えやタイムマネジメントなど、自分自身の働き方・存在についてもう一度考えるようになります。ここにはそれぞれのギアがあると思っていて、仕事に全力で行きたい人もいれば、子育てとのバランスを考えたい人、より子育てに注力したい人も当然いて、それぞれがいろいろなギアに切り替えていきます。

山﨑)育児休暇というのは、そうしたギアを切り替える大きなタイミングなのですね。だからこそ、そうしたタイミングでのマネジメント側との『対話』で、お互いの想いを伝えることが大事になるのですね。

大谷)決して「ギアを変えること=ペースダウンをする」ということではないです。長い人生の中で、いまの『ギアチェンジ』、働き方のチェンジなのだと思います。スナップショットで見ると、その瞬間は子育てに注力しているかもしれないけれど、映画のように見るとその経験が活かされていたりする。家族の関係などいろいろなシチュエーションがあり、そこに折り合いをつけて自分自身がどう働きたいか、メンバーにとって何が一番よいかを長い目で考えることが大事です。

男性よりも女性の方が直接的に出産をすることであったり、子育てにより関わることによって、自分自身の人生を考えるっていうことが強く出ると思います。子育ての変化や時代の流れによって自分自身が変わっていくことも当然ある。女性の働き方というのは、本当に1つではないし速度もさまざまだと感じますね。
男性の方が「常にトップギアでいなければならない」という雰囲気もあり、その点は大変だと思います。

「多様である」ということを大前提に

山﨑)たしかに、本当にさまざまな生き方がありますよね。結婚しない人もいますし、子どもを産むことについても、『多様である』ということを大前提として理解しないといけませんね。

大谷)そうですね。対話をしていくときに大事にしてほしいのは、皆さんの思う「働く女性像」というのを取り払うことです。「対話をする相手は、そもそも考え方が違う」という前提に立って会話をしていくことが求められます。

山﨑)それが一番しっくりきますね。私の中で持っている「働く女性像」をベースにお話をすると、それぞれの考え方からズレていってしまう可能性もありますよね。

大谷)相手と自分の価値観は違うんだ、という前提に立って会話をしていく。これが私たちの考える『インクルージョン』という意味です。『ダイバーシティ=多様である』ということに取り組むには、「相手と自分は違うんだ」という前提に立たないといけません。

山﨑)さまざまな社会の要請と現場のズレ、とくに女性のキャリアについてのギャップはこうした点にあるのかもしれませんね。そもそも価値観の違う人同士で話してるという前提はかなり大事ですね。

大谷)いまの若い人たち、私の娘の20歳ぐらいの年代は、あまり男女を意識させずに育てられている人も増えています。それが社会に出るとなぜか「働く女性像」というものを押し付けられ、「あれ、自分の価値観とは違うな」と感じながら働くことになってしまう。だからこそ、先輩である私たちが変えてあげたいと思って私は働いています。

山﨑)今回のような「多様な人が働いているんだよ、理解しよう」という議論も、いつかなくなることがありそうですね。
LGBTの問題などは、私自身距離を感じているところもありました。でも、さまざまな人と出会い対話していくことで、今は本当に気にしないというか、個人として自然に接することができるようになっています。

北村)そうですよね。LGBTに関して言えば、昔はテレビなどでいわゆる「オネエキャラ」に触れる機会はありましたが、実際はもっと多様ですし、見た目じゃわからないこともあります。だけど実際身近で話してみると、やっぱりそんなに変わらない、課題がちょっと違うだけ、と思えます。

山﨑)本当にそうですね。SOGIという言葉にあるように、単なる違いですよね。

北村)性別に関連するところで言うと、会社としても既存の「男性像」「女性像」に囚われないように、本当に人それぞれだと考えられるかが大事だと思います。
女性の働き方、という点では、それぞれ得意なことも全然違ったりもしますよね。すごく論理的な女性もいれば、やっぱり感情的な女性もいる。専業主婦になりたい人もいれば、経営者になりたい人もいる。
LGBTも女性活躍も、既存の男らしさ女らしさに何かとらわれないで、その人をいかに見るかという点で共通するものだと感じます。

山﨑)まさにそうですね。

「応援する声」が力になる

大谷)そうした自分らしくあっていい、という考え方にも『応援する声』というのが絶対に必要だと思います。マイノリティである人たちが声を上げるというのは、とても勇気のいることです。
『LGBTアライ』の動きに代表される、「支援してますよ」ということを表明することがとても大事なことだなって思っています。

いまでは進んできている女性活躍も、実はそういった支援のもとに今があるのだと私は思っています。私が25年前、お腹が大きくなってきて仕事を辞めることも考えているとき、窓口でお客様から、「これからは女性が活躍する時代よ。がんばりなさい!」という声をたくさんいただきました。女性として年上であったお客様が、次の世代である私に対して「あなたは向いてると思うわ、女性が活躍する時代よ」と背中を押してくれたんです。

山﨑)たしかに、当時は出産しても働く女性、というのはマイノリティだったわけですよね。そうしたときに応援してくれる人の存在は本当にありがたいですね。

大谷)職場の上司でも、息子さんの結婚でそのパートナーが働く、というきっかけから理解をするようになったケースもあります。そこでさらに、私などの立場の人も『応援』してくれるようになりました。何かの応援が誰かの声を拾って、それに取り組む人に向かって応援してくれる人がいる、そこから一歩踏み出せるっていうことも当然あるんだろうなって思いますね。

山﨑)本当にそうですね!マイノリティの方を応援することも力になる、ということがよくわかります。
今回はさまざまなお話をありがとうございました!

編集より

『多様である』ということを理解するために、「相手は自分と違うんだ」という前提に立つ。当たり前のことかもしれませんが、自身のまわりの人の働き方を考えていく上で、非常に大事になってきます。

また、多様性を認めるために、『応援する』という行為の重要性もよく理解できました。結婚し、出産してからも働く女性は以前はマイノリティであり、まわりが応援していくことでその一歩を踏み出せる人が少しずつ増えてきた歴史があります。「多様性を理解する」と簡単に言うだけでなく、しっかりと考え、応援していくことも大事なアクションになっていくのではないでしょうか。

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