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コンタクト社長がスポーツを通じて伝えたいこと【社長対談 吉田忠史×山﨑蓮 前編】

パレンテ

コンタクトレンズ通信販売『レンズアップル』と見えるをデザインするブランド『WAVE』を運営する株式会社パレンテは、Bリーグ千葉ジェッツ、Jリーグヴィッセル神戸、eスポーツチームRushGamingなど、多くのスポーツチームの協賛をしています。株式会社パレンテの吉田忠史代表取締役社長(以下、吉田)は、「コンタクト社長」と呼ばれ、千葉ジェッツブースターやヴィッセル神戸ファン・サポーターにも親しまれています。
そこには、“広告の露出”だけではない、「コンタクトレンズの会社がスポーツを通して伝えたいこと」が存在しています。

社会貢献活動に対しても積極的に取り組むその想いについて、Sports for Social代表の山﨑蓮(以下、山﨑)との対談から紐解いていきます。(全2回の#1/#2はこちら

コンタクトレンズの会社がスポーツチームと関わるきっかけ

山﨑)吉田さん、本日はよろしくお願いします。バスケットボール、サッカー、eスポーツなどさまざまなスポーツチームのスポンサーをされているパレンテさんですが、最初にスポーツチームのスポンサーをしようと思われたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?

吉田)小学生で眼鏡をつけてスポーツをしていた子どもたちが中学生になったとき、特に接触プレーが多いサッカーやバスケットボール、ラグビーなどでは、初めてコンタクトレンズにすることを考える子が多くなります。そのタイミングで、私たちの『レンズアップル』や『WAVE』というECサイトやブランドの名前が知られていないと購入するときの選択肢に入りません。

ちょうどその頃、TOKYO2020オリンピック・パラリンピックが控えていて「スポーツ」というキーワードを多く耳にするようになっており、その流れに乗りたいという思いも持っていました。
でも実は、最初のスポーツスポンサーはあまりうまくいかなかったんです。試合会場での看板広告と私たちが主軸として展開するECサイトからの販売という点がうまくかみ合わず。

山﨑)レンズアップルのようなビジネスの場合、リアルなコミュニケーションからデジタルに繋げられるかが必要ですからね。

吉田)その通りです。そうしたことをうまくスポーツ協賛できないかと考えていたところ、6年前に当時Bリーグ千葉ジェッツ(以下、ジェッツ)の社長だった島田慎二さんからお声掛けいただきました。
いろいろとお話をする中で、デジタルコミュニケーションの可能性が見えてきたことと、「ジェッツというチームを中心にしながら、千葉でスポーツコミュニティを盛り上げていきたい」という島田さんの想いに共感して、ジェッツへの協賛を決めました。

山﨑)吉田さんは、SNSなどでもジェッツブースターとしての一面をよく見かけます。バスケットボールはもともと好きだったのですか?

吉田)大学までバスケットボールを続けていたので、好きなスポーツの1つではありました。でも、実は、協賛をスタートして最初の2年間はまったく関わっていなかったんです。「社長がバスケ好きだからスポンサーしてるんでしょ」と言われてしまうことに違和感がありまして。

でも、いざ会場に観にいくと楽しいんですよ!自分がプレイしていた時代とは戦術なども違っていて、新しい発見がいろいろとありました。

吉田社長千葉ジェッツの試合観戦を楽しむ吉田忠史社長

土日はスポーツ観戦!社長自らが足を運ぶ理由

山﨑)どうして自ら試合会場に行くことを始めようと思われたのですか?

吉田)スポンサーをする上で、どうしたら会場で『レンズアップル』のことを多くのブースターの方に知ってもらえるのかを考えた結果、その答えの1つが“自分が観に行くこと”でした。もちろんチームを応援するときにはブースター目線で見ているのですが、年に何回かは試合をあえて見ずにスポンサー目線でずっと会場を歩きます。

そうすると、「この場所に看板を出すと『レンズアップル』を見てもらえるかな」など、いろいろとアイデアが思いつくんですよ。

山﨑)実際に社長自らが、目線や視点を変えて会場を見てみるわけですね。

吉田)座席も試合ごとに席の種類を変え、全部座ってみて会場を見渡したりします。そうするとさらにいろいろなことに気がつきます。

また、バスケットボールは試合時間だけでなく、その前後の時間も、エンターテイメントスポーツとしてのコンテンツが詰まっています。例えば、数時間前から会場入りして交流を楽しむブースターさんの姿であったり、オープニング時のスタージェッツのチアダンスであったり、選手たちが練習している様子であったり。

そう考えると、スポンサーや協賛企業ができることは、ただ単に看板を出す以外にもいろいろと可能性があると思うんですよね。

山﨑)それだけのコンテンツがある中で、ただ看板を出すだけではもったいない感じがしますね。実際に吉田さんは、看板を出す以外にどんなことをされているのですか?

吉田)僕の場合は、何度か試合を観に行く中でチームのことがますます好きになり、今ではブースターさんとのオフ会にも参加させていただいたりしています(笑)

自分たちが好きなチームをスポンサードしてくれる企業は大切だと思ってくれていますし、自分たちが好きなものを好きだと言ってくれる人ってやっぱり親近感が湧きますよね。

そんな関係性や共感がある中で、「そろそろコンタクトレンズを買いたいんだけど『レンズアップル』から買おうかな」と自然と思ってもらえるようになることが、スポーツ協賛企業として目指していきたい姿ですね。

山﨑)こうした“共感”を生むことができるのは、スポーツならではの価値ですよね。私たちも多くのスポーツチームや企業とお話する中で、この点は強く感じています。

吉田)コンタクトレンズ業界は、法律の関係もあり商品による差別化を図ることが難しいのが現状です。また、EC販売による値下げ合戦は消耗戦であり、どの企業でもできることです。

その中で、コンタクトレンズと言えば『レンズアップル』という認知度を向上させ、選ばれるためのブランドとして育てていくためには、年齢や育ってきた環境などが違ういろいろな価値観の人が、何か好きなことに共感して繋がれる場(コミュニティ)が必要です。
もともとその可能性も持っているスポーツと私たちがこれから展開していきたい会社の姿との親和性は、とても高いのではないかと考えています。

原修太選手
「同じ病気でも頑張っている」〜千葉ジェッツ・原修太が広げる勇気の輪〜潰瘍性大腸炎という難病と戦いながらも、同じ病気で苦しむ人たちの力になるために『ハラの輪』という活動を行っている、Bリーグ千葉ジェッツふなばし(以下、千葉ジェッツ)に所属する原修太選手(以下、原)。 彼がどんな想いでこの活動をスタートさせたのか、子どもたちと触れ合うことで感じたことや、これからの『ハラの輪』の目指す姿などをお伺いしました。...

スポーツが人々や企業にもたらす可能性

山﨑)パレンテは、一般社団法人全日本知的障がいスポーツ協会(以下、ANISA)にも協賛されていますよね。

吉田)私自身、スポーツを通して多様性を認められるようになることにとても価値があると感じていますね。例えば、ボッチャは身体障がいや知的障がいのある方も含めて、年齢や性別も関係なく、何か1つの目標に向かって一緒に協力しながら進めていけます。これはスポーツの大きな魅力ですよね。

山﨑)ボッチャなどのユニバーサルスポーツは、一緒に楽しむだけで距離感を縮められたり、自然とコミュニケーションが取れたりできますよね。

吉田)ジェッツのスポンサーを始めた当初、たまたまANISAからも協賛のお誘いをいただきました。
ANISAの斎藤会長とも、協賛することでのメリットなども考えたのですが、「前例がないのでどれくらいの露出の機会があるのかわからない」というお返事だったんですね(笑)
ですが、“わからないから協賛しない”という判断をするのではなく、逆に私たちのような規模の企業が、小さな支援かもしれないけど細く長く関わることが大切なのではという思いに至り、ANISAの最初のオフィシャルスポンサーとして携わらせていただくことになりました。

山﨑)一番最初のスポンサーなのですね!

吉田)協賛を始めたのはいいものの、「知的障がいの方たちがスポーツをすることをどのように支援したらいいかわからない」状態でした(笑)。それを正直に伝えたところ、「簡単です、吉田さん。まず試合を観に来てください!知的障がいの方も、スポーツ選手はやはり観客がたくさんいる会場でプレイする方が楽しいんですよ」と。

山﨑)たしかに、どんなスポーツ選手でもみなさん思うことかもしれませんね。

吉田)これまで、子どもたちと観に行ったり、ときには社員と一緒にボランティアとしてイベントに関わらせていただきました。知的障がい者のスポーツに実際に触れてみると、これまでとは違った感情や思考を感じることができ、また、違う自分の姿や価値観に気づくことができます。私だけでなく多くの社員にも体感してほしいですね!

スポーツ協賛は社員のために

山﨑)先ほど社員に向けての言葉も出てきましたが、こうしたスポーツに関わる活動でどんなことが社員へ還元されるとよいと思われていますか?

吉田)何よりも、“誇り”を感じてもらえると嬉しいなと思っています。

今シーズンからJリーグ ヴィッセル神戸の練習着の胸スポンサーをしています。公式戦直前のアップで着用する練習着の胸に、ジェッツでしたらユニフォームのパンツに『レンズアップル』のロゴが貼られています。

ヴィッセル神戸

吉田)サッカーやバスケットボール観戦に来ている何千人、何万人というサポーターやブースターのみなさんには、いろいろなストーリーがあります。例えば、親が息子をスタジアムに連れてきてあげたとか、母がバスケ好きだから一緒に観に来たとか。

そういう1人ひとりの人生のストーリーを想像しながら、『レンズアップル』という名前が練習着やユニフォームに載っている光景を見てみてほしいです。きっと、「僕たちは人の人生の役に立っているのかもしれない」と、自分の仕事や自分自身に対して少し誇らしい気持ちになれると思うんですよね。

山﨑)社員のみなさんにも、そんな気持ちが伝わっているといいですよね。

吉田)なかなか全社員に伝えるのは、僕が直接関われない社員もいるので難しいですよね。協賛して得られる“誇り”よりも給料を上げてくれよというのが本音かもしれません。

ですが、僕は「未来に対して誇れる会社づくり」をしたいという強い想いがあります。

会社の売上規模が今よりもまだ小さいときは、安く早くきれいにコンタクトを届けるのが会社の価値であり、少ない社員全員でその価値を共有していました。

今は会社も成長し、社員も増え、その一人ひとりが毎日いろいろな価値観に触れている状況だと思います。「この会社の価値は何だろう?」と考えてみたときに、おそらくみんなバラバラの価値観を持って働いていると感じたんですね。

山﨑)Sports for Socialにもいろいろな人が携わってくれています。インタビューなどを通しても、「人の数だけ価値観がある」ということは私も感じています。

吉田)さまざまな人生経験をしてきた大人たちで会社という1つのコミュニティを維持する。そのためにビジョンやパーパスも大事だと思いますが、そんな格好つけたものを掲げなくても、会社の価値はあると思うんです。それを考えたときに、スポーツチームへの協賛が会社の価値をあらためて感じるためのよいきっかけになると思っています。

山﨑)社員のことを考える吉田さんの想いがよくわかりました。

編集より

コンタクトレンズの会社がなぜスポーツ協賛?と私自身も当初は考えていました。しかし、吉田忠史社長のお話からは、ただの広告としての露出だけでなく、スポーツの本質的な価値を捉え、自社の事業への想いにより相乗効果を生む、そんな関係性が感じられます。

これからの社会にとって、『共感』を生むブランドでありたい、そしてスポーツを通してその輪を広げていきたいという想いが伝わってきました。

後編では、さらに“社会貢献”について深掘り、吉田さんの考える『未来に誇れる会社』についてお話を伺っていきます。

パレンテ
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対談の様子をYoutubeで公開中!

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