特集

J2昇格の裏側!SC相模原が取り組む社会貢献についてサポーターに聞いてみた vol.4

昨年、クラブ創設から12年を経て、最終節に逆転で悲願のJ2昇格を決めたSC相模原。

その裏では、ホームスタジアムでの使い捨てプラスチックカップの削減を目指す「森のタンブラープロジェクト」が行われていました。
実際に参加したサポーターの方は、この取り組みをどのように感じているのか、お話を伺うことができました。

第4回目はSports for Socialの石川(以下:石川)と櫻井(以下:櫻井)が、SC相模原サポーターの中山亮太様(以下:中山)と石崎昭彦様(以下:石崎)にインタビューしました。

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第1回目 『アサヒビール×パナソニックの共同開発!おいしくビールを飲みながら、環境への配慮もできる「森のタンブラー」』

アサヒビール×パナソニックの共同開発!おいしくビールを飲みながら、環境への配慮もできる「森のタンブラー」vol.1使い捨てプラスチックの削減とSDGsへの貢献のために、アサヒビールとパナソニックが共同開発した「森のタンブラー」。 使い捨てをプラスチックを減らす取り組みの例として、リユースカップの使用が挙げられます。なかでも「森のタンブラー」は植物繊維を原料とした世界初のエコカップであり、昨年のSC相模原ホームスタジアムでの販売などで現在注目を集めています。 この「森のタンブラー」は、ビールをおいしく味わいながらも環境に配慮することができる、サステイナブルでエコなプロダクトになっています...
第2回目 『「使い捨てゼロ」を目指して。森のタンブラー開発者古原さんが考えるサステイナブルな社会』

「使い捨てZERO」を目指して。森のタンブラー開発者古原さんが考えるサステイナブルな社会 vol.2アサヒビールとパナソニックの共同開発より環境に配慮したリユースカップとして使用できる「森のタンブラー」。 vol.1では「森のタンブラー」のコンセプトである環境への配慮について、アサヒビール株式会社の古原さんにお話しを伺いました。 今回は引き続き古原さんに、自身が考える「これからのサステイナブルな社会」についてお話ししていただきました。...
第3回目 『産学連携でSDGsに取り組む!麻布大学と森のタンブラーによる、SC相模原でのマイタンブラー制導入の背景』

産学連携でSDGsに取り組む!麻布大学と森のタンブラーによる、SC相模原でのマイタンブラー制導入の背景 vol.3第1回では森のタンブラーの概要、第2回では開発者であるアサヒビール株式会社の古原さんの想いについて紹介しました。 第3回では森のタ...

サポーターの方に聞く「SC相模原」について

――石川)本日はよろしくお願いします。早速ですが簡単な自己紹介と、それぞれが感じているSC相模原の魅力について教えてください。

――中山)SC相模原のサポーター歴は5年目になります、中山です。観戦頻度は昨シーズンの観客を入れても良いホームゲームは全試合に駆けつけました。また、2019シーズンはアウェイも遠方を含め6、7割はスタジアムに行きました。

SC相模原は人口密集地と閑散部が一体となっている地域がホームタウンであり、望月代表が立ち上げた市民クラブということで、ホームタウンと共に歩む成長ストーリーにサポーターが関われるところに魅力を感じています。

――石崎)石崎です。サポーター歴は2018年の川口能活選手が在籍していた頃からなので今年で4年目になります。

私は相模原出身で、5・6年前に世田谷から相模原に戻ってきたのですが、その時に地元なのになぜかアウェイ感を感じたんですね。そんなところにSC相模原と出会って、そのおかげで地元を身近に感じることができたんです。つまり地域の人との距離が近くて、同じものを応援していることを共有できることが、相模原市の財産としてチームに価値を感じています。

森のタンブラーの販売を実際に体験してみて

――石川)実際にプロジェクトが始まると聞いて、サポーターとしてどう感じていたか教えてください。

――中山)まずこのタンブラーについて、買って終わりにするのでは意味がないと思っていて、これまでの使い捨て容器を森のタンブラーに置き換えて、トータルとしてスタジアムから出るプラスチックごみ、そしてCO2を減らしていくことを目指すべきだと考えています。そのためコロナ禍において入場制限がかけられているスタジアムで、中途半端にならないか懸念はありましたね。そのため、昨年についてはサポーターの中でいかに盛り上げるか、という想いが強くありました。

――石崎)最初に話を聞いた時は正直懐疑的で、中身が見えないタンブラーにビールを注いで本当に美味しくなるのかということが疑問でした。

――石川)最初はワクワクよりも疑問が大きかったのですね。

――中山)そうですね。コロナのシーズンでちゃんと試合を消化してシーズンを終えることができるかという勝負でしたので、プロダクトが良いことがわかっていても使うサポーターに管理が委ねられたオペレーションの部分で少し不安はありました。

――石川)では、取り組みが開始され、実際に参加されてみてどう感じましたか?

――石崎)麻布大学がブースを設けて、そこでタンブラーを買った人たちでは結構話題になりました。ただ、シーズン後のブランクもあると思うので、SNSで発信したり、スタジアムで実際に使っているところをアピールしたりして、一過性のものにならないように広めていければと思います。

――中山)私もシーズン後のブランクで、温めなおさないといけないなというのは感じています。その中で自分にできることとして、森のタンブラーに合わせたアクセサリーパーツを作ったりしています

SC相模原_森のタンブラー

これからはクラブと麻布大学とサポーターでより連携して、スタジアムでタンブラーを持ち歩くという観戦スタイルが浸透するように利用シーンを考えて、もっと使いやすく、少しでもスタジアム観戦が楽しくなるようにしていきたいですね。そのためにクラブの手がとどかない部分でサポートしていきたいと考えています。

森のタンブラーについて

――石川)それでは次に、タンブラーそのもののデザインやコンセプトについてどう感じたか教えてください。

――中山)このタンブラーは国内の間伐材を使って作られているということで、政令指定都市の中でも比較的自然の多い相模原の地域性をアピールするためにも重要なアイテムになると感じています。また、地域のPRと絡めてタンブラーの誕生秘話も一緒に広まると、地域の魅力度だけでなくこのプロダクトとしての魅力も伝わると思うので、今後が楽しみです。

 

――石崎)タンブラーとして一番わかりやすい使い方は飲料の持ち運びだと思いますが、350mlのビールをタンブラーに移し換えるには少し小さいかなと感じています。泡もきめ細やかに出るので一回で注ごうとするとテクニックがいるんです。他のサポーターさんの中には500mlの缶ビールを移し換えられる大きさのものがあると嬉しいという声もありますし、私はそんなに飲まないので350mlで十分ですし、そんな感じで、人によってタンブラーへの要望は違うと思うんです。
ビールの泡立ちに関しては本当に良いんですよ。

――石川)先日アサヒビールの古原さんともお話させて頂いたのですが、「まだ未完成」とおっしゃっていたので期待できますね!
ちなみに、普段森のタンブラーはどんな時に使いますか?

――中山)私はお酒が弱いので、飲料を入れるというよりは唐揚げなどのフードを入れるものとして使いました。昨年はタンブラーを持っていってキッチンカーの店員さんに名物となるフードを入れてもらっていました。その際、まだこのタンブラーの全貌を理解していない店員さんとコミュニケーションを取りながら、どんなものなのか説明するようにに意識していました

SC相模原_森のタンブラー

――石崎)私もあまり量を飲む方ではないので1杯を美味しく飲むために、そのクラフトビールの個性にあったグラスに注いだりするんですね。それで、試しにタンブラーを使ったところ先ほど話したように風味がだいぶ変わってしまうんですね。例えばキレがおいしいアサヒスーパードライでは炭酸が抜けてクリーミーな味わいのいわば別のビールになってしまうんですよ。それはそれで美味しいのですが、それがデメリットとして伝わらないように、人に勧める時には銘柄によった風味の変化をプラスに伝えるようにしています。

――石川)なるほど。植物由来が故の難しさもあるのですね。
今後は繰り返し使えるという利点を活かして、もっと色々な場面で活用できたら良いですよね。

Jクラブとして社会貢献プロジェクトに取り組むこと

――石川)次に、SC相模原がこのようなプロジェクトに取り組むことについて、どう思われますか?

――石崎)このタンブラーは親と子供の環境への意識を繋げる役割があると思います。昨年はコロナ禍で行われませんでしたが、SC相模原はキッズファーストという施策をしていて、非常にファミリー層の来客が多いクラブなんですね。芝生席があることもあって、たくさん小さな子供連れの家族がいるんです。

今の子供はSDGsについて学校で教わっていて、地球温暖化について少し習った程度の親世代よりも環境への取り組みに対する意識は高いと思うんです。だから、親世代は子供たちの模範となる行動を取れるように環境に対して考え直し、そういう意味でもこのタンブラーが入門ツールとなれば、子供たち世代とのギャップを埋めることができると思います。

――中山)多くのJクラブは人と人とを繋ぎ、時に人と企業を繋いだりと地域のハブ的な存在です。プロスポーツの特徴として、関わるステークホルダーが多いということが挙げられると思いますが、その中心でこのようなSDGsに対する取り組みがなされることは、それが地域の中へ浸透していき、今後クラブの垣根を超えて競技全体としての取り組みへと広がっていく可能性を秘めていると思います。SC相模原が行った取り組みがどんどん色々なところへ広がった結果、より多くの人がSDGs達成に向けて取り組むようになればいいなと思うので、その核となる存在になることを期待しています。

――石川)ありがとうございます。続いてJクラブとしてこういった社会貢献活動を行うことにどんな意味があると感じていますか?

――石崎)Jクラブがこういった活動を行う意味は、地域としてより一体感が生まれるということだと思います。冒頭にお話したしように、私は相模原に戻って来たときに地元感を感じられなかったのですが、地域の人たちがSC相模原を応援する輪の中に入ることで一体感を感じることができました。これはクラブチームが地域と共に創ってきたから入り込めたのだと思います。

――中山)SDGsのような世界的な取り組みが始まる前から、多くのクラブチームは“スポーツの力で地域を盛り上げる”といった取り組みを、次世代の子供たちに何かを残そうと行ってきたと思います。今は、そこに新たにSDGsという指標が出てきて、どのクラブもスポーツとどう絡めようかと試行錯誤を繰り返している現状だと思います。

これからはただサッカーの楽しさを伝えるだけでなく、森のタンブラーのような、地域の人たちとスポーツを通じて行う社会貢献活動を、もう少し広く展開できたら、次世代の子供たちに伝えていくという意味でも価値があると思います。

SC相模原はこうして森のタンブラーがありますし、他のクラブも独自の取り組みをすることで相互に作用しあって、本当に良い取り組みはクラブや競技の垣根を超えて発展していけたらいいと思いますね。

――石川)コロナ禍であるが故に盛り上がりに欠けていたり、運営が難しいというお話も聞きました。では、今後このような活動の頻度や取り組みの打ち出し方についてサポーター目線からどうしていったら良いんじゃないかという意見はありますか?

――石崎)このような活動は人から人へ伝えていく必要があると思いますが、現状スタジアムでは難しいんですよね。

例えばこのタンブラーを主役としたオンラインサポーターミーティングにクラブに協力してもらって、そこに選手を呼んでくれたりすれば、参加人数も注目度も上がってうまく打ち出すことができると思います。現在所属している選手の誰かを立ててもらえたらサポーターはすぐについていくと思います。

――中山)石崎さんの意見がよかったのでそれに補足するような形で言うと、最初からアンバサダー的な肩書きを誰か選手に与えて、こういうことをPRする大使として活動してもらうとかは良いのではないかと思いました。

また、これとは別の話ですが、昨年相模原市でチームマスコットのガミティを採用して、食育に関する講座を、相模原市の公式YouTubeチャンネルで、2ヶ月に1回くらいのペースで配信してました。こういったものの派生企画として、今年度はもっと広く食を捉えて、容器にスポットを当てて、食をどのような形で消費するかという視点で考えてもらうというのは良いのではないかと思います。それはこれまでの食育でやってきた栄養バランスやフードマイレージなどに加えた、+αとして森のタンブラーを利用して環境負荷を減らしていかにおいしく楽しい食事ができるかを考えてもらうきっかけにしたらどうだろうかと考えました。

SC相模原_森のタンブラー

――石川)この活動を通して、それぞれ環境に対する意識に変化はありましたか?

――中山)個人でというよりはクラブの活動に協力することがメインになっているので、森のタンブラーの存在はそういった意味でも大きいかなと。まだまだ小規模かもしれませんが、引き続き考えて行きたいですね。

――石崎)私はホームスタジアムまで車で通っているのでそのような協力はできていませんが、森のタンブラーを使った後自分で洗浄する際に、洗剤の量や水の出しっぱなしなどに意識が向きます。自分が協力している環境に優しい活動があると、ふとした瞬間に環境について考えたりするので、意識が徐々に変わっていくと思っています。なので、この活動がもっと規模として大きくなるとその効果も大きくなると思うので、このようなきっかけ作りとしても、森のタンブラーを普及していくことに大きな意味を感じます

――石川)ありがとうございます。そう聞くと地域のクラブがこのような取り組みを行うことに大きな意味がありそうですね。森のタンブラープロジェクトの背景というのもうまく伝わっていけばより広がっていくのかなと感じました。

最後にJ2での戦いに向けて一言!

――石川)では最後に、J2の戦いが始まりますが意気込みを教えてください!

――中山)状況的に声ではなく手拍子での応援になりますが、できる限りの後押しをしたいです!スタートダッシュで転ばないようにまずは無難に今までやってきたことを実践して勝ち点を取りこぼさないようにして欲しいです。

――石崎)J2初年度なので経験したことがない戦いが始まりますが、私たちはJ2昇格した時同様にどんな時でも後押しをする姿勢を伝えて行きたいと思います。また、スタジアムの設営や撤収のボランティアもできる限りしていきます。

編集者より

まず、クラブが打ち出している森のタンブラープロジェクトの背景や目的を理解し、サポーターとしてできることに尽力している姿勢に感銘を受けました。周りの仲間に説明したり、アクセサリーパーツを作ったり、非常にクラブ愛を感じます。前回の麻布大学と、相模原サポーターが同じベクトルを向いていて、このプロジェクトに懸ける思いも伝わってきました。

記事の中でタンブラーへの要望もありましたが、新しいバージョンのタンブラーが発売されているみたいなので、こちらも使ってみてほしいと思います。

この記事をもって、アサヒビール森のタンブラープロジェクトの連載が終わります。このプロジェクトに関わる方にお話を聞くことで、それぞれ環境への想いというのを持っていることが伺えました。この記事を通じて森のタンブラーを知った方も、以前から知っていた方も、関わる人の想いについては初めて聞いたかと思います。これを聞いて、これからは自分が環境問題、SDGsというところに意識を持っていただけたら、私たちとしてはとてもうれしいですし、そういった人を増やすためにも、これからも発信を続けていきます。

最後に、インタビューに協力していただいた方々、誠にありがとうございました。

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