私たちの想い

「スポーツ選手は難病児のスター!」〜“記憶に残る時間”を家族に届ける団体の想い~

「みなさんの人生に夢の彩りを加えるお手伝いさせてください」
公益社団法人「ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO」では、難病と闘う子どもとその家族が旅行し、楽しい時間を過ごすため尽力しています。
2020年には社会人と大学のラグビーチームと、2021年は大学チームと協力し、クラウドファンディングを実施するなどの方法で支援の輪を広げています。
「スポーツが持つ可能性」を信じる理事/事務局長の津田和泉さん(以下、津田)の話からは、難病児やその家族に対する想いを改めて感じることができました。

家族の『夢』をお手伝い

ーー「ア・ドリームア・デイINTOKYO」では、どのような活動をされているのですか?

津田)日本に約15万人いる難病と戦っている子どもとその家族を東京旅行に招待して、「夢の時間」を過ごすためのお手伝いをしています。
自分では身体を動かすことができなかったり、人工呼吸器などを使っている病児、ターミナルステージに至る可能性のあるお子さんを対象にしています。こうした子どもの多くは24時間のケアが必要で、介護をする家族もお出かけの機会があまりありません。
我慢することも多い家族も含め、家族全員を旅行に招待し、つかの間かもしれませんが夢のような時間を楽しんでもらおうと考え、『記憶に残る大切な時間を家族にお届けする』ことを2007年の立ち上げ当初から団体のミッションにしています。

ーー1年間で、どれぐらいのご家族を旅行に招待されているのですか?

津田)新型コロナウイルスの影響で今は旅行を長く休止していますが、その前は年間10〜12組ほどを旅行に招待できる規模になりました。
ただ、準備の途中で体調を崩したり、亡くなってしまう子も毎年います。その事実だけ見ると“悲しいこと”と捉えられがちですが、「旅行には行くことができなかったけれど、旅行のための時間は家族全員にとって大切なものでした」という家族の方からのメッセージをいただいたこともあります。プロセス(過程)の部分も「夢の時間」なのだと思います。
もちろん旅行を実施できることが一番ですが、それが叶わなかったとしても「家族が一緒に夢をみる」時間をお手伝いできたら嬉しいです。

「難病児の夢を叶えるスターになって!」

ーースポーツチームとのクラウドファンディングも何度か実施されています。団体とスポーツチームとの関わりはいつからなのですか?

津田)スポーツとのご縁は、ラグビー・リーグワンの三菱重工相模原ダイナボアーズさんが団体を支援してくれた2017年が最初です。
私の兄もラグビーをしていた影響で、小さい頃からスポーツは身近な存在でしたし、なかでもラグビーは見慣れていて特に好きなスポーツでした。ラグビー選手のように身体の強い人たちは、子どもたちから見ると憧れの存在だと思います。
ラグビーが大好きな私個人の想いも込めて、「みなさんには、難病児たちのスターになってほしい!」とお伝えしました。

ーー「難病児のスター」という言葉は素敵ですね!

津田)関わっていただくからには、子どもたちだけではなく、チームの方々にも幸せになってほしいと考えています。「選手の存在が誰かを幸せにしているんだ」「チームから幸せを感じている人が、自分以外にもたくさんいるんだ」と知ることができれば、チームを応援するファンにとっても嬉しいと思いませんか?
私自身、がんの研究助成をしている『delete C』という呼びかけから、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスの他のCSR活動に興味を持ち始めました。このように、チャリティ活動をきっかけにスポーツを好きになってもらうことも、社会の閉塞感を打破する一助になるのではないでしょうか。

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ーースポーツには周囲の人を幸せにするチカラがあることを感じさせますね。

津田)「熱」や「夢」、「笑顔」という面で、私たちの活動とスポーツには親和性があると感じます。
病気であること、病気と共に生きることはとても大変です。ご家族の本当の気持ちを代弁することさえ憚られますし、私たちにできることは一期一会の家族旅行をお手伝いすることだけです。しかし、「気の毒だから助けてあげる」という前提は私にも『ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO』の小児科医メンバーにもまったくありません。スポーツの力を借りて、「一緒に楽しい夢を実現するチームメート」として事業を進めていきたいです。
余談になりますが、『ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO』の小児科医の理事にも、元ラガーマンがいますし、2019ワールドカップでボランティアに携わった医師もいます。実は、とてもラグビーとのご縁が深い公益法人でもあります。

普段はライバルでも、「医療児の夢を叶えるチーム」

ーーラグビーチームと一緒に活動を始めるとき、チームからはどういった反応がありましたか?

津田)お声がけした時は、チームの皆さんに手間をかけてしまうことが心配でした。ですが、「できなければできないと言うから、どんどん声をかけてください!」とお申し出いただき、気持ちが楽になりました。
大学チームのみなさんも本当に親切でした。クラウドファンディングでは早稲田大学と慶應義塾大学、2021年からは明治大学にご協力いただきました。普段は熱戦を繰り広げるライバル校同士ですが、『難病児の夢を叶えるワンチーム』の一員として、シーズン直前にもかかわらず手を組んでいただきました。OBの方々、チームスタッフの方々の協力も厚く、ラグビー関係者がファンを巻き込んで大きな『難病児支援スクラム』を組んでくださったことが本当にありがたく、難病児と一緒にその夢を叶える仲間になれたように思います。

ーー大学生チームと関わるなかで、なにか感じることはありましたか?

津田)大学生の皆さんは、「社会貢献」「SDGs」という言葉や活動を見聞きする機会が増えているのか、興味を持ってくださる方が多いと思いました。チームミーティングの時に法人の概要紹介の時間を設けていただくなど、ありがたかったです。慶應義塾大学では、野球部の皆さんが病気のお子さんをチームの一員に迎える「Being ALIVE Japan」の「TEAMMATES」にも取り組まれていますよね。自分が大学生のときは、そうした活動に意識が向いておらず、素敵だなと思って各大学の社会貢献活動を見つめています。

BeingALIVEJapan
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「彩りを叶えるのをお手伝いさせてください」

ーースポーツとの関わりという面で、何かこれから考えていることはありますか?

津田)次のステージとしては、チームやそのファンと難病児やご家族とチームとの直接の交流の機会を増やしたいと思っています。
私たちが旅行のお手伝いをする難病児とご家族は、外出の機会が少ないので社会との接点が希薄になりやすいです。でも、遠出は大変でも地元のスポーツチームの応援やオンラインでアスリートとの交流ができれば、ご家族に新しい夢の時間がお届けできると思います。チームに新しいファンが増えるのもいいですよね。

新型コロナウイルスの流行以前は、ラグビー選手がご自身の地元に住む病児と兄弟姉妹に会いに行ってくださることも多く、帰省時にボールを持って地元の公園でキャッチボールをしてくれたり、強いラガーマンの優しい一面を見せていただき、すごく嬉しかったです。子どもたちには、きっと何か響くものがあったと思います。「遠出はできないけれど、近くのチームの試合になら応援にいきたいです」と、子どもたちがラグビーが観戦に来たことも多くあります。
「じゃあ観戦ツアーを組もう!」と意気込んでいたところコロナ禍になってしまいました。ですが、病児はもちろん、チームの皆様も安心して試合ができる時期が来たら、観戦ツアーを実施しようと今からウキウキしています。

ーー病気などで人工呼吸器など日常的に医療的ケアが必要な子どもたちを支援する法律が施行され、これから世の中の関心が高まることが期待されますね。

津田)今回の「医療的ケア児支援法」では、今までの制度では支援の手が届いていなかった「福祉と医療の狭間」にいる子どもたちに、やっと光が当たりはじめると思います。気づいてくれる人が増えるだけでも、世界は大きく変化するはずです。
ただ、法律によって医療的ケア児の日常生活に対する支援の裾野は広がる反面、「生きるための必要最小限の支援」だけがカバーされて解決するわけではないんです。遊びのための外出や楽しい時間へのサポートが希薄である点は変わらないですよね。
だからこそ、彼らの「生きがい」や「夢を叶える時間」をどうやって一緒にかなえたりお手伝いをするのか、私たちの団体は御用聞きとして存在し続けたいと思っています。ニッチなニーズや小さな夢を拾い上げていく団体として、「みんながかなえたい夢に、彩りを加えるのをお手伝いさせてください」という存在であり続けたいです。

ーーありがとうございました!

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