『ミソジニー』とは「女性に対する嫌悪や蔑視」を意味します。男女平等が目指される現代社会において、「女性嫌悪」「女性蔑視」とも訳されるこの言葉が知名度を上げています。今回は『ミソジニー』の意味や対義語、その心理についてわかりやすく解説していきます。
ミソジニーとは
『ミソジニー』とは「女性に対する嫌悪や蔑視」を意味し、そのような感情を持つ人を「ミソジニスト」と言います。ミソジニーはギリシア語の「misos(憎しみ)」と「gune(女性)」が語源とされています。
「女性嫌悪」と聞くと、「自分は女性が好きだから関係ない」と思う男性や、「自分は女性だから大丈夫」と思う女性もいるかと思います。しかし、『ミソジニー』は露骨な「女性嫌い」やゲイの人のことを指すわけではありません。『ミソジニー』の心理や例を知り、一緒に学んでいきましょう。
ミソジニーの例や心理
『ミソジニー』は男性が女性に対して抱くものと思われがちですが、女性が同性に対して抱くこともあります。男性と女性ではその心理も違うことが多く、今からその例を見ていきましょう。
まず、男性の『ミソジニー』の根源にあるのは「自分は男性だから無条件に女性よりも上」という心理です。例えば、「男らしいね」を褒め言葉として受け止め、「女々しいね」をからかいのように受け止めることがあるでしょう。この例には、受け止める側も発言した側も「男性の方が優れている」という感情が隠れていることがあります。
そうした感情を持っている上で、自分よりも優れている女性、利益を得ている女性、社会からの恩恵を受けている女性を見たとき、女性に対する憎しみを抱くことがあります。これが『ミソジニー』なのです。
一方、女性の『ミソジニー』は自身の女性性に嫌悪感を持っている人が多い傾向にあります。例えば、身体に対する嫌悪感が拒食症を招くことがあります。他にも、男性に対する劣等感から「女性は一歩下がって男性を立てるべき」と考え、そうでない女性に嫌悪感を抱くことがあります。
こうした背景の一つとして、「家父長制」が考えられます。これは、父が絶対的な権利をもつ家族形態のことで、こうした考え方により女性自身が「自分は無条件に男性よりも下」という意識が残っているのかもしれません。
ミソジニーの対義語
『ミソジニー』の対義語で、「ミサンドリー」という言葉があります。「ミサンドリー」は「男性嫌悪」「男性憎悪」とも言われ、男性に対して嫌悪感を持ったり憎しみを感じたりすることを意味します。例としては、人間の中で “男性” を一つのくくりとし、「男は汚い」「男は裏切る」といった嫌悪感を持ったり攻撃的な発言をしたりすることが挙げられます。
その他関連用語として、「フェミニズム」や「マスキュリズム」といった言葉があります。これらについては別記事で解説しているため、是非読んでみて下さい。
性差別のない社会に向けて
現代では男女平等に向けたさまざまな動きがありますが、まだ女性が不平等を訴える場面はたくさんあります。こうした男女不平等の現状については、別記事「ジェンダーギャップ指数」にて解説しております。
『ミソジニー』「ミサンドリー」「フェミニズム」など、世界には性別に関連する考え方がたくさん存在します。それらは、扱われ方の違い、権利の違い、見た目の違いなど、性別による “違い” があるからでしょう。
自分と誰かの “違い” を取り除くのは、とても難しいことだと思います。しかし、その“違い”を捉えなおすことならできるかもしれません。性別による、学歴による、家庭環境によるものだと思っていた違いを、一人ひとりの “違い” と考えてみましょう。もちろん、大きな括りによる不平等や差別があるのは事実です。しかし、それを一人ひとりの“違い”として捉えることで、「女のくせに」「男のくせに」「片親だから」「中卒だから」という決めつけをなくすことができるのではないでしょうか。そしてそれは、誰かに優しく接することにつながるかもしれませんね。