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【3分解説】フェミニズムとは~その意味をわかりやすく解説!

『フェミニズム』とは「女性の権利を主張する行為」を意味します。最近では、関連する本や映画も多くなりました。しかし『フェミニズム』の定義は曖昧で、国や歴史によって捉えられ方が大きく異なることから、偏見や差別が多く存在しています。今回は、『フェミニズム』の意味を分かりやすく解説していきます。

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フェミニズムとは

先ほどもお伝えした通り、『フェミニズム』とは「女性の権利を主張する行為」を意味します。ラテン語の「femina(女性)」から発生した言葉で、一般に「女性尊重主義」「男女同権主義」と訳されます。そこから、女性の地位向上や経済格差の解消、ジェンダー観による不当な扱いに対して声を上げるなど社会運動そのものとして解釈されるようになりました。そうした「女性の権利を主張する行為」をする人を「フェミニスト」と呼びます。

『フェミニズム』が抱える問題として、「フェミニスト=男性嫌悪」という偏見が根付いていることが挙げられます。本来フェミニストは、性別に関係なく全ての人々の平等な権利を願う人のことであり、その中には男性の権利も含まれています。要するに、単に「フェミニスト=女性だけを支持する人」ではないのです。このことを踏まえ、『フェミニズム』の歴史から現在の社会運動に至るまでの動向を辿っていきましょう。

フェミニズムの歴史と4つの波

『フェミニズム』という言葉が「女性の権利を主張する行為」として使われるようになったのは、19世紀末からだと言われています。そこから現在に至るまで、『フェミニズム』が特徴的な盛り上がりを見せる4つの波がありました。まずはその特徴を見ていきましょう。

第1波

第1波は、19世紀末から20世紀前半にかけて欧米で起こりました。これは女性の参政権、相続権、財産権などの公的な領域や法制度の平等を求めた運動です。イギリスではサフラジェットと呼ばれる女性たちが中心となり、男性が独占していた政治に女性が参加する権利を勝ち取りました。こうした動きが、各地の政治や行政に女性が参加するきっかけとなりました。

第2波

第2波は、1960年代後半から70年代前半にかけてアメリカ合衆国で起こった女性解放運動です。第1波が公的な領域や法制度に対して権利を求めたのに対し、第2波は「男性は仕事、女性は家事」というジェンダー観や、性的な自己決定権を欲求したのが特徴です。「ウーマン・リブ」とも呼ばれたこの運動は日本でも広がりを見せ、この時提起された問題の多くは現在も議論が続けられています。

第3波

第3波は、1980年代終わりから1990年代にかけて起こりました。特徴としては「インターセクショナリティ」「ダイバーシティ」という2点が強調されたことです。
「インターセクショナリティ」とは、差別は性別によってのみ引き起こされるものではなく、人種、宗教、性的指向など様々なアイデンティティが組み合わさっているという考え方であり、差別の理解や解消において大切な視点です。
「ダイバーシティ」は「多様性」を意味するように、個人の自由を尊重しようという主張がなされました。女性がスカートを履くことについて「女性だから」ではなく「好きだから」といったジェンダー観に縛られない主張が支持され、『フェミニズム』の視野を広げることとなったのです。また、第3波では多くの著名人がフェミニストを公言するようになりました。

第4波

そして現在、第4波として『フェミニズム』が盛り上がりを見せています。特徴としては、オンライン上での問題提起、運動参加など、SNSの拡大が盛り上がりを加速させている点です。

例えば、日本でも話題になった「#Me Too」運動は、セクハラや性的暴行の体験についてハッシュタグ「#Me Too」を付けてSNSで発信する運動です。ハリウッド女優など、多くの著名人が発信したことで注目を集めるようになりました。この運動は、今まで沈黙されてきた問題を公言することで世の中を変えていこうという願いが込められています。

また、「HeForShe」という運動も一つの例です。これは、性別に関わらず全ての人々がジェンダー平等を推進する取り組みで、各国首脳や世界的な著名人が「HeForShe」に賛同することをSNS等で表明しました。以前Sports for Socialでも、「HeForShe」に取り組むサッカーチーム「ジェイリースFC」の記事を掲載しています。

このように、SNS上で容易に意見共有や情報の取得ができるようになったことは、現代の『フェミニズム』を盛り上げる要因となりました。こうした背景は、時にフェミニストの極端な言動を誘ったり、それに対する議論や炎上を起こしたりすることがあるのです。そうした騒動は、男性に限らず女性までもが「フェミニストは男女不平等について大げさである」と意見したり、「フェミニスト=男性嫌悪」という偏見を持ったりなど、『フェミニズム』に関するネガティブイメージを生んでしまったのかもしれません。

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さまざまな対義語

アンチ・フェミニズム

「アンチ・フェミニズム」とは、フェミニズムに反対する思想や運動を意味します。フェミニズムが不要だと感じたり、フェミニストの言動が過激だと感じたりなど、様々な理由により否定的な立場を示している人が多く存在します。

マスキュリズム

「マスキュリズム」とは、男性に対する性差別の撤廃を求める思想や運動を意味します。フェミニズムにおいて「女性らしさ」が問題提起されましたが、男性も同様に「男性らしさ」を求められる場面が多数あります。また、自殺者や過労死者、野宿生活者の多数は男性であり、世の中の「もっと女性の権利が保護されるべき」という風潮を疑問視するかたちで「マスキュリズム」が存在しているのです。

ミソジニー

「ミソジニー」とは、女性に対する嫌悪や蔑視を意味します。「女性蔑視」「女性嫌悪」とも呼ばれ、男性が女性に対して持つだけではなく、女性が同姓に対して持つこともあります。例えば、2018年に話題を呼んだ「新宿駅タックル男」の件は「ミソジニー」に関連する例として挙げられます。

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編集部より

今回は『フェミニズム』とは何か、その意味や歴史についてお伝えしました。以前にもSports for Socialでは、サッカーを通じて女性活躍やジェンダー課題の解決を目指す取り組みとして「大和シルフィード」というサッカークラブを取材しました。様々な取り組みや考え方を知ると、『フェミニズム』の見方も変わってくるのかもしれません。この記事が、そうした関心のきっかけとなることを願っています。

 

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