3分解説

【3分解説】「エコーチェンバー現象」とは~その意味と対策について解説

SNSでは、似た価値観や似た環境の者同士でフォローしあうと、同じ情報だけが耳に入ってくるようになります。そして、その情報が真実だと思い、信じ込んでしまいます。このような状態を「エコーチェンバー現象」と呼びます。これは、誤った“意思決定”“行動選択”をしてしまう危険性があるので注意が必要です。
今回は、SNSが発達した現代に陥りやすい「エコーチェンバー現象」について、身近な具体例を交えながら、対策についても解説をしていきます。

エコーチェンバー現象とは?

「エコーチェンバー現象」とは、ソーシャルメディアを利用する際に、自分と似た興味関心を持つユーザーばかりをフォローする結果、似た情報ばかりが行き交う状況を「閉じた小部屋(共鳴室)で音が反響する物理現象」に例えたものです。
同じ価値観を持った人たちだけとコミュニケーションを取る閉鎖的な状況では、同じような意見を見聞きし続けることになります。これにより、自分の意見や思想に対する確信が増幅され、あたかも世の中の一般的な正解であるかのように誤解をしてしまいます。これは、誤った意思決定や行動選択をしてしまう危険性があるので注意が必要です。

また、エコーチェンバー現象と似た意味の言葉として、「フィルターバブル」「サイバーカスケード」があります。これら二つは、エコーチェンバー現象とも密接に関連しているため、押さえておくことが大切です。

フィルターバブル

「フィルターバブル」は、インターネットのアルゴリズムによって分析された情報ばかりに触れている状態を、一人ひとりが「情報の泡」に包まれていると表現した言葉です。「YouTubeで自分が興味のある関連動画ばかりを視聴すること」などが例として挙げられます。

サイバーカスケード

「サイバーカスケード」は、同じ考えや思想の人々がインターネット上で強力に結びついた結果、異なる意見を一切排除した閉鎖的なコミュニティを形成する現象のことです。これは、集団極性化の一種で、オンラインサロンなどに入会する際は、そのコミュニティが“極端ではないか”をチェックすることが大切です。

エコーチェンバー現象の問題点

自分と同じ価値観を持った人が集まる「心地よいコミュニティ」に所属すること自体が問題というわけではありません。「エコーチェンバー現象」の問題点は、常に同じ意見を見聞きしていることによって、それ以外の認識が間違っていると思えてくることです。
これは、認知心理学・社会心理学の用語である「確証バイアス」と似ています。「確証バイアス」とは、何らかの思い込みがあると、それを立証するための情報ばかりに目が行ってしまい、そのことによって「もともとあった思い込みが正しいものである」という認識をさらに助長してしまう“思考の歪み”のことです。

エコーチェンバー現象の具体例

例えば、twitterやInstagramなどのSNSでの自分の投稿に対して、たくさんの「いいね」「リツイート」がされると、自分の投稿内容が正しいと思ってしまいます。さらに、自分のタイムライン上に流れてくる、たくさんの「いいね」「リツイート」がついている情報は、“正しいもの”だと思い込んでしまいます。

このように、SNS上で自分と同じ考えや価値観の人の意見が行き交うと、その情報がすべて正しいかのように思い込んでしまうことがあります。しかし、これらの情報は、アルゴリズムで最適化された、「フィルターバブル」の状態で流れてきた偏った情報です。
実際、新型コロナウイルス感染拡大の際には多くのデマ情報が流れ、社会が混乱しました。

そもそもインターネットには、一生かかっても把握できないほどの多様な情報・意見・感想があふれています。

そのため、サイバーカスケード(集団極性化)やフィルタ-バブルによって、自分と異なる意見や考えを排除していると、エコ-チェンバー現象が生じ、断絶や分断に繋がってしまいます。

エコーチェンバー現象の対策について

「エコーチェンバー現象」は、分断や断絶に繋がってしまう危険性があるため、その問題点を認識し、しっかりと対策することが大切です。現在、多くの企業が、「エコーチェンバー現象」の対策に取り組んでいます。しかし、企業の対策だけでは不十分なので、個人で対策することが重要です。ここでは、個人で出来る対策について、いくつか紹介していきます。

「フィルターバブル」対策

  • ブラウザ上で、履歴を残さない(シークレットモードに設定する)
  • Googleアカウントからログアウト
  • 広告のカスタマイズをオフにする

“多様な情報が入手出来る環境”に設定しておくことが大切です

「エコーチェンバー現象」対策

  • 「エコーチェンバー現象に陥っていないか?」と自分自身を客観視する
  • 安易な情報に飛びつかず、一次情報にアクセスする
  • インターネットには、自分と違う意見の人がたくさんいることを認識する
  • 「因果関係」「相関関係」の違いを理解し、誤った解釈をしない
    (例:インターネットが普及するにつれて、地球温暖化が進行した。だから、インターネットは地球に悪影響を与えている。⇒『インターネットの普及率』と『地球温暖化の進行率』は「相関関係」であり、直接的な「因果関係」があるとはいえません。)

このように、「エコーチェンバー現象」に陥らないためには、自身の「メディアリテラシー」を高めることが何よりの対策になります。
日頃から、正確な情報、多様な意見や考えに触れるようにしていきましょう。

子どものために大人がつくる「いじめのない世界」とは~『BE A HERO』プロジェクト~“科学的”なアプローチによって、『いじめ撲滅』を目指す『BE A HERO』プロジェクト。SNSが普及し、複雑化した子どものいじめの問題。大人が持つ経験則や価値観だけでは、解決しきれません。 こうした、『子どものいじめの問題』に対して大人が出来ること、やるべきこととはーー。保護者や学校の先生向けにも講座をされている『BE A HERO』プロジェクトの特任研究員 木村匡宏さん(以下、木村)、特任研究員兼事務局 新保友映さん(以下、新保)にお話を伺いました。...