サッカークラブがSDGsに取り組む方々を応援し、SDGsを体験できる場を創る?
Jリーグ・モンテディオ山形は2021年から「SDGsブース」と「ユニバーサルスポーツ体験コーナー」を設置しています。どんな場所なのか?どんな想いで活動を進めているのか?
モンテディオ山形で営業を担当している髙﨑さんにお話を伺いました。
SDGsコーナーとは?
モンテディオ山形は2021シーズンから「SDGsブース」と「ユニバーサルスポーツ体験コーナー」を【SDGsコーナー】として運営しています。
ーモンテディオ山形の「SDGsコーナー」がとても興味深いです。実際にどのようなことをされているのでしょうか?
髙﨑)SDGsや社会貢献活動に取り組む企業・NPO/団体・個人の活動を応援し、ファン・サポーターの方にとってSDGsを身近なものにするためのプラットフォームとしてSDGsコーナーを始めました。
大切なことは、このSDGsコーナーはモンテディオ山形が取り組んでいるSDGsの活動ではなく、自分たちがハブとなってSDGsに取り組んでいる企業・NPO/団体・個人を紹介し、応援するという立ち位置で活動しているということです。
プロサッカークラブには集客力や情報発信力があり、その価値を活用することがサッカークラブがこの活動をする意義だと考えています。
ーSDGsコーナーは、「SDGsブース」と「ユニバーサルスポーツ体験コーナー」の2つがあると思います。それぞれどのようなことをやっているのか教えてください。
髙﨑)SDGsブースでは、SDGsに取り組んでいる企業・NPO/団体・個人をご紹介し、ファン・サポーターの方にも実際にSDGsを体験・体感していただくことを目的にしています。このブースを通してSDGsが「自分ごと」になるきっかけを作りたいと考えています。
パンフレットを設置したり、SDGsに配慮した商品を展示したり、SDGsパートナーの企業と一緒にワークショップを実施したり、SDGsに触れる場を提供しています。
とにかくSDGsを押し付けないことを意識しています。
©MONTEDIO YAMAGATA
髙﨑)ユニバーサルスポーツ体験コーナーでは、障がいの有無や年齢にかかわらずみんなが一緒に楽しめる「ユニバーサルスポーツ」を体験できる場を提供しています。
毎試合違うスポーツを体験していただき、健常者と障がいのある方とが交流し、相互理解を深められる場にしたいと考えています。スポーツだけでなく、”見えない世界”の体験なども実施しています。
https://twitter.com/montedio_sales/status/1393757574831378437?s=20
©MONTEDIO YAMAGATA
モンテディオ山形が提供する価値
ークラブの価値を、今まで以上に活かして活動しているのですね。この活動に対して、企業さんの反応はいかがでしたか?
髙﨑)SDGsに取り組みたいと思っている企業はたくさんあるので、プラットフォームを提供できることは、クラブのひとつの価値と感じていただいていると思います。
集まった人たちにワークショップをしていただいたり、モンテディオ山形代表の相田との代表対談などの形で記事として残したりできる。SDGsへの活動を形にできることがモンテディオ山形が提供できる価値だと思います。
ー今シーズンからSDGsコーナーをスタートして、実際にファン・サポーターの方の反応はどうでしたか?
髙﨑)ご年配の方々は「SDGs」と言うと近付きづらいこともあってか、まだ遠目で見ている方が多いような印象があります。
一方、若い世代は授業でSDGsについて習っていて、SDGsの事を踏み込んで聞かれてもある程度答えられるので、割と抵抗感は少なく来てくれるような傾向があります。
30代以上の方は、SDGsを難しいと捉えているのかなと感じました。
やはり、「SDGs」という言葉を使ったアプローチをしようとすると近寄り難く感じられてしまうので、日常生活の中に寄り添ったこんな活動がありますよという紹介の仕方がいいのかなと思っています。
コンポストという生ゴミを堆肥に変える活動があるのですが、実際に「生ゴミがたくさん出るのは嫌じゃないですか?」という声のかけ方をすると興味を持って来ていただけたりします。そういった工夫をしていきたいです。
©MONTEDIO YAMAGATA
ー約3ヶ月を終えて、手応えは感じていますか?
髙﨑)数字だけをみると、総来場者数に対するSDGsコーナーへの来場率は右肩で向上しています。
ただ、まだまだ課題はあります。
特に「SDGsブース」は来場者の体験価値、CustomerExperienceをどのように高めていくのかがこれからの鍵になります。サッカーを観に来た人にSDGsを学んでもらうのではなく、今のサッカーの価値であるエンターテイメントに溶け込ませるイメージですね。
その点、「ユニバーサルスポーツ体験ブース」では回を増すごとに盛り上がりが増し、体験価値も向上していると感じます。小さい子からおじいさんおばあさんまで一緒になって参加してくださり、とても微笑ましいですし、知らない人同士の対話が生まれるなど、これまでにない機会が創出できています。
アルビレックス新潟戦の時に、モルックという木を投げる競技の体験を開催したのですが、新潟のサポーターの方も参加してくださって「試合前にサポーター同士のダービーができて楽しかった」と仰っていただけました。ユニバーサルスポーツ体験を楽しみながら、交流を深められる場になっていることがとても意義深いと感じています。
この場を通して、互いを理解し、知ることのきっかけになれば嬉しいです。
モンテディオ山形SDGsコーナー体験記 vol.3 4月11日 vs アルビレックス新潟
©MONTEDIO YAMAGATA
新しいコミュニティが生まれるきっかけに
ー活動をする中で、苦労したことはありましたか?
髙﨑)いちから始めた活動なので、「SDGsコーナーがなかなかイメージできない」中で協力してくれる方々を集めるのがとても大変でした。
山形県内の障がい者スポーツ団体にコンタクトを取り、一緒に活動しませんか?とお声がけしたのですが、はじめはピンとこないという方が多かったです。一緒に楽しく体験コーナーを作っていきませんか?ということから声をかけ、初めに活動が決まったのは目が見えない方が行うパラリンピック競技のゴールボールというスポーツでした。そこから、紹介していただくこともあり、協力してくれる方々の輪が広がっていきました。
ー今はどのくらいまで協力団体や企業が増えているのでしょうか?
髙﨑)今は10を超える障がい者団体が協力してくださっています。パートナー企業も9社になり、NPOや運営に協力してくださる学校も入れると50くらいの団体に協力いただいています。
選手も関わってくれています。営業部のTwitterでSDGsコーナーを始めると発信した時に、國分伸太郎選手があしたパートナーズという団体を紹介してくれました。
ーどんどん新しい輪が広がっているんですね。今後、この「SDGsコーナー」をどういったものにしていきたいですか?
髙﨑)新しいコミュニティが生まれるきっかけにしたいと思っています。
SDGsという文脈があることで、今まで接点のなかった企業さんと新しいコミュニティやパートナーシップを作っていったり、SDGsコーナーに来ていただいたファン・サポーターの方にとっても新しいコミュニティができるきっかけになっていきたいです。
サッカーの会話だけではなく、SDGsの会話をすることで、また違う人とのコミュニティが広がったらいいですし、モルック体験のようにアウェイクラブのサポーターの方との繋がりができることも素敵だなと思います。
そして、Jクラブの中で、一年を通じて、最も多くの企業・NPO/団体・個人とSDGsに取り組んだチームになりたいと思っています。SDGsに多くの項目があるように、多くの方がいろいろな視点から関わることのできる活動にしていきたいです。
ー素敵なお話をありがとうございました!今後の活動も楽しみです!
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