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野菜を持ってバスケ観戦!?~川崎ブレイブサンダース『&ONE』~

川崎ブレイブサンダース

バスケットボールBリーグ・川崎ブレイブサンダースでは、『&ONE』プロジェクトと題してチーム一丸となってSDGs達成に向けて取り組んでいます。

&ONE
ここまでやる。川崎ブレイブサンダース『&ONE』プロジェクトのその先へ2020-2021シーズン、Bリーグで最大に露出されたSDGsイベント。それは川崎ブレイブサンダースの『&ONE days』(3/26,27の2日間開催)です。 2020年9月からスタートした『&ONE』プロジェクト。その総括と未来について、自らプロジェクトリーダーを務め、活動を引っ張る元沢伸夫社長(以下、元沢)にお話を伺いました。...

今回注目したのは、川崎ブレイブサンダースのホームアリーナ(川崎市とどろきアリーナ)で行われているJAセレサ川崎直営の大型農産物直売所ファーマーズマーケット『セレサモス』による出張販売です。昨年3月の『&ONE days』で好評だった出張販売を今シーズンからは定例化し、12月以降月1回のペースで出店しています。『地産地消』のこの取り組みには、SDGs達成に向けた活動というだけでなく、「新鮮な野菜を川崎の人たちに食べてほしい」という強くあたたかい想いがあります。
JAセレサ川崎 総務部長 大久保巌さん(以下、大久保)、川崎ブレイブサンダース SDGsプロジェクトリーダー隠岐洋一さん(以下、隠岐)にお話を伺いました。

大久保さんJAセレサ川崎 大久保さん

「野菜を持って会場に行く人も」

ーー大型農産物直売所『セレサモス』の出張販売をサンダーススクエア(とどろきアリーナ前広場)で始められたのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

隠岐)川崎ブレイブサンダースでは、『&ONE』の取り組みとしてさまざまな活動をしています。もともとは、昨年『&ONEdays』(2021年3月)の際に実施をしたのですが、ファンの方をはじめとして、実際に購入いただいた方からの声が非常に好評で、「是非この取り組みを定期的に開催をさせていただきたい」ということで相談し、今シーズンから毎月1回程度開催させていただいています。

ーーJAセレサ川崎の大久保さんとしては、川崎ブレイブサンダースさんからこうしたお話を初めていただいたときはいかがでしたか?

大久保)私たちが運営する「セレサモス」では、川崎市内でつくっている野菜を中心に、地産地消で安心して食べていただけるよう販売しています。その活動をスポーツを見に来ていただいている方にも提供できる、ということは大変うれしいことです。昨年は、コロナ禍の影響もあり品評会の会場で販売ができなかった野菜を川崎ブレイブサンダースさんに寄贈させてもらったという背景や、試合前のイベントとして販売した経緯もあるのですが、また改めて声をかけていただき、今シーズンは定期的に開催をしています。ファンの方の中には、野菜を持ってアリーナに入り、そのまま試合を観戦される方もいるそうで、大変うれしく思っています。

ーーアリーナの中にも持って行ってしまうんですね!ファンの方にも非常に好評なのがわかるエピソードですね。

隠岐)大根などは、サイズが大きくて葉もしっかりついていて、かなり立派で新鮮です。1度買って、ご自宅に持ち帰って、試合観戦にもう一度来る、というような方もいらっしゃいます。大きくて立派な野菜がカバンから突き出た状態でアリーナに入って観戦されている方もいらっしゃいます。(笑)

大根©KAWASAKI BRAVE THUNDERS

ーー実際にはどんなものが売られているんですか?

大久保)多くの品目が売られています。その季節で採れる野菜のなかで、お客さんのことも考えながらその日のラインナップを決め、会場に持っていくようにしています。

隠岐)毎回同じ野菜ではなくて、季節にあったものが出てくる点もファンの方が楽しみにしている要素の1つです。大根もその月によって大きさが違う、というのも私は初めて知って勉強になりました。

『地産地消』のよさ

ーー神奈川県川崎市というと、都会の印象もありますが、野菜農家さんは多くいらっしゃるのですか?

大久保)川崎駅の方は少ないですが、川崎市中部・西部の方には多くいらっしゃいます。約500人が『セレサモス』の出荷者として登録されています。

ーー『地産地消』という点がこの活動のポイントだと思うのですが、改めて、地産地消のよさをどのようなところで感じてますか?

隠岐)川崎ブレイブサンダースとしてSDGsに取り組む中で、輸送によるCO2排出の削減などは地産地消の大きな価値であると思っています。ですが、実際取り組みをさせていただいて、とにかくおいしい野菜を地元のファンの方に知っていただくと、ご家族で来られている方は、親子で「これ川崎で採れた野菜なんだよ」という会話も生まれていて、教育という面でも価値があったり、「そもそもおいしいものが川崎で採れるんだ」ということをファンの皆さんに知っていただくきっかけになったのはすごくポジティブだなと思っています。

のらぼう菜川崎市の伝統野菜である『のらぼう菜』も売られています。(©KAWASAKI BRAVE THUNDERS)

ーーJAセレサ川崎さんから見ても「川崎で野菜って採れるの?」と思っている人はやはり多くいらっしゃいますか?

大久保)そうですね。しかし、昔に比べて今は野菜を選ぶときにも『生産者の顔が見える』ことで安心して食べられるようにもなっています。『川崎で作っている野菜』、ということで、一般の消費者としては信頼することもあるのではないかと思います。

ーー農家さんの立場からしても、自分の作ったものを食べてもらうという点で、地元の人に食べてもらうってなにか違う想いとかあるんですか?

大久保)やはり農家の人は、地元の採れたてのものを食べてもらいたいと思っています。採れたてのものは、味が全然違うんですよ。一度感じてもらうと、何度も何度もリピーターになることもあります。
自分の丹精込めて、心を込めた野菜を地元の人に食べてもらって、健康になってもらいたいと思っている農家さんは非常に多いですね。

ーーそうなんですね!川崎ブレイブサンダースさんの会場でもリピーターの方もいそうですね。

隠岐)リピーターの方はもちろん多くいらっしゃいます。「今日はこういうの売っているんだ」などのコメントが、出店回数を重ねるごとに増えているなというのは感じていて、そこには『新鮮でおいしい』という点がすごく大きいのだと思います。

スポーツの会場で野菜を売る

ーースポーツの試合会場、川崎ブレイブサンダースさんの会場で販売することに関して、どんな意義を感じていますか?

大久保)実際、農家さんの高齢化は課題となっており、若い世代の方々との交流の場として貴重な機会だと思っています。スポーツ観戦をされる若い方にセレサ川崎を知っていただき、「こんなおいしい野菜を売っているんだ」というところから野菜や農業に興味を持っていただけると嬉しいです。

ーー若い方にとっても、地元にこんなおいしい野菜があるんだ、というのは実際にこうした機会がないとわからないですよね。

隠岐)本当にそうですね。加えて、販売されているスタッフの方が素晴らしいなと思うのが、「野菜をこういう風に食べたらおいしいよ」とか、「この野菜はここで採れたんですよ」ということをご説明いただいたりしながら販売されているところです。「今日はこれが旬で、是非これを食べていって」など、そうした交流が生まれているのは見ていてすごくいいなと感じています。

始めた当初は、「もしかしたら重いものとかは売れづらいのかな?」と思っていたのですが、全然そんなことは関係なく、12月は大根などの大きなものも、「おでんにしよう」などと言いながら買っていただいていました。

川崎ブレイブサンダース©KAWASAKI BRAVE THUNDERS

これからの『川崎』と『農業』

ーー今後、セレサモスとして川崎ブレイブサンダースさんの会場での販売でさらに取り組んでいきたいことはありますか?

大久保)継続はさせていただきながら、さらに野菜や果物など多品種で展開したいと考えています。いろいろな新しい野菜、見たこともない野菜を品揃えし、若いファンの方に食べていただけたらいいなと考えてます。

ーー川崎ブレイブサンダースさんとしてはいかがですか?

隠岐)もちろん、引き続き販売は継続いただければと思っております。より取り組みを深くするために、季節ごとの商品に対する取り組みをしたり、我々のユースチームやスクール生に対しての教育にもつなげたいです。川崎に愛着を持った上でクラブの活動をしていただきたいですし、そのためにJAセレサ川崎さんとの取り組みは可能性がすごくあると思っています。

ーー地元の野菜を通して、地元への愛着、地域への愛着がつきそうですね!

大久保)JAセレサ川崎としても、本当は子どもたちに食農教育として農業体験などもさせていきたいと思っています。コロナになる前には、大根の種をまいて収穫も子どもたちにしてもらう活動を実施していました。子どもたちも自分で採って食べることで、かなり野菜に対しての気持ちが変わってきます。そうした活動も、川崎ブレイブサンダースさんと一緒にお話を進めて行けたらと思います。

ーーありがとうございました!

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