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高齢化を“プラス”にとらえる!レノファ山口「人生の先輩からのエール」

高齢化率が全国で3番目に高い山口県で活動するレノファ山口FC。昨年クラブが取り組んだ「人生の先輩からのエール」は、高齢化率の上昇を“プラスに捉える”活動でした。「主役にならない」という独自のスタンスで社会貢献活動に取り組むクラブの想いについて、運営部長・内山遼祐さん(以下:内山)に伺いました。

大切にするのは「主役にならない」スタンス

ーー「人生の先輩からのエール」について、どういった活動か教えていただけますか?

内山)県内19市町の高齢の方々から横断幕にメッセージを頂き、昨年12月のホームゲーム最終戦で、選手たちやファン・サポーターの皆さんに披露させていただきました。

 サントリーウエルネス株式会社様から、全てのJクラブに「高齢の方々を対象とした「運動不足の改善」、「社会参加」、「地域に身近に通える場所」 このキーワードを満たす、地域に根差したJリーグのクラブだからこそ実現できるプロジェクトをつくりたい」と問いかけがあったことがこの活動のきっかけです。

我々が活動している山口県は、日本で3番目(2019年時点)に高齢化が進んでいて、クラブの試合運営にご協力いただいてるレノファ山口FC公認ボランティア組織「TeamBONDS」も平均年齢が60歳ほど。クラブとしても高齢者の方々との付き合いは深く、高齢化率の上昇をマイナスではなく、プラスに捉えていきたいと考えていたため、サントリーウエルネス様と共に「Be supporters!(さぽーたーになろう!)」プロジェクトをさせていただくことになりました。
※出典:内閣府「令和2年版高齢社会白書」

ーーメッセージを頂いた「人生の先輩」とは、どのような方々ですか?

内山)「人生の先輩からのメッセージをいただく」という趣旨だったため、「高齢」の定義を、霜田正浩監督(当時)よりも先輩である55歳以上の方としました。

メッセージは、年齢以外の制限はなく、福祉施設に入居している方々、自治体の市長や職員の方々、ふれあいセンターを利用している方々などから幅広く寄せていただきました。

ーーサントリーウエルネスさんとの連携では、どのような点に良さを感じましたか?

内山)我々は普段の社会連携活動から「自分たちが主役になるべきではない」と思い、クラブは企業様や自治体の課題を解決するために「使われる側」だというスタンスを大切にしています。ですので、今回は自分たちが目指している仕組みで活動に取り組めたと思っています。

我々を「使ってくださる」サントリーウエルネス様という存在がいたことは、費用面でも人員面でも大きかったです。活動の中でクラブは、参加される地域の方々とサントリーウエルネスさんを繋ぐ役割を担いました。

ーーどんなメッセージが印象的でしたか?

内山)人生の先輩方の経験に基づく格言はインパクトが大きかったです。

メッセージの書かれた横断幕は、選手たちが試合前のウォーミングアップで使用する室内練習場に貼りました。ウォーミングアップ前などに、選手たちが時間をかけ、メッセージを真剣な表情で読んでいた姿は、今でもすごく印象に残ってます。確実に選手たちには響いてたのかなと、近くで見ていて感じました。

「やわらかい試合運営」を大切にしていきたい

ーー先ほど、ボランティア組織のお話もありましたが、クラブとはどのような関係性ですか?

内山)公認ボランティア組織「TeamBONDS」の皆さんには、主にホームゲームの試合運営でご協力いただいていて、日頃から良い関係性を築けていると感じています。今はコロナ禍ということで、あまり活動できていませんが、何か取り組むときは相談しながら一緒にやることが多いですね。

ーー心がけていることはどのようなことですか?

内山)今後J1リーグに上がって観客数が増え、セキュリティーを強化しなければならなくなっても、これまで通り「BONDS」の皆さんを中心とした試合運営を続けていきたいと考えています。アルバイトや警備員の増員をするクラブが多いかもしれませんが、我々はこれまでの運営体制を中心にやっていきたいです。

安心・安全は最優先ですが、警備員だけでなく、「BONDS」の皆さん中心の運営の方が安全なスタジアムができるのではないかと考えています。聞こえにくかったりしても、我々の色である人の暖かさによる、「やわらかい運営」は大切にしていきたいと思っています。

ーー今後、「高齢の方」にスポットを当てた活動は考えていますか?

内山)9月にある「敬老の日」は全国的に、“高齢者の方々に感謝する日”という位置づけだと思いますが、我々では、“高齢者が一番活躍できる日にしよう”と考えています。

敬老の日近くのホームゲームで、試合運営のほかにスタジアムDJなどもすべて高齢の方々にお任せしようという計画もありましたが、コロナ禍ということもあり、一回ストップしてしまいました。是非やりたい活動なので、来年以降実施できたらと思っています。

子どもだけでなく、高齢者からも目指されるクラブに

ーー高齢の方々との関わりについては、どのように考えていますか?

内山)サッカークラブは、一般的に子供たちから目標とされる存在だと思いますが、我々は子どもたちだけでなく、高齢の方々からも目標とされる存在になりたいと思っています。

「BONDS」の皆さんは、仕事をリタイアした後、次の舞台での活躍も望んでいる方も多いので、「仕事をリタイアしたら、『BONDS』で活躍したい」という存在になりたいです。
活動していただいているのは主にホームゲーム中心ですが、今後は活動の幅を日常に広げていき、日頃から高齢者の方々が生きがいとして地域課題を解決しているという状況を作っていきたいと考えています。

ーー今後の社会貢献の活動の中で、考えていることはありますか?

内山)プロスポーツチームを活用した、官民連携によるSDGs促進に取り組んでいきたいです。

クラブとしてSDGsに取り組むことも大切ですが、自治体や企業さんが抱えるSDGsの課題を、我々を使った官民連携により、解決し、さらに企業様にとっては、自社の事業に繋がるような取り組みにしていきたいと考えています。

我々スポーツクラブは、企業さんと自治体、地域の方とを「繋ぐ力」や、取組んだ事実を「発信する力」が強みだと思っているので、その2つの力を使っていただいて、企業と地域の課題を官民連携により、解決していくことが、我々の目指しているところです。

ーースポーツクラブならではの強みを活かした課題解決は面白いですね!本日はありがとうございました!