スポーツ

子どもたちとともに成長していく~ヴァンラーレ八戸『ヴァンラーレタイム』

八戸市を中心とした青森県内16市町村をホームタウンに持つヴァンラーレ八戸では、ホームタウンであることを実感してもらうために、サッカー教室の開催や出前授業を行う『ヴァンラーレタイム』に取り組んでいます。
子どもたちに「夢を持ち、楽しんで取り組むことの大切さ」を伝えていき、子どもたちと共に成長していくことを大切にしているこの活動。
自らもヴァンラーレ八戸で選手として活躍し、現在はフロントスタッフとしてクラブに携わっている金井隆太さん(以下:金井)にお話を伺いました。

さらに“地域に密着した”クラブへ

ーーヴァンラーレ八戸が行っている『ヴァンラーレタイム』とは、どのような活動なのか教えてください。

金井)ホームタウンに住む小中学生にヴァンラーレ八戸をもっと知ってもらうため、2016年からスタートしたのが『ヴァンラーレタイム』です。ホームタウンの小中学校を訪問し、サッカー教室や講話授業を行っています。
講話授業は小学校高学年~中学生を対象で、選手が学校に赴き、プロサッカー選手になるためにこれまでどのように取り組んできたのかを子どもたちに自ら伝えます。
コロナ禍の厳しい状況ではありますが、今年は上半期までに30校ほどに訪問し、年間では約2,000人弱の小中学生に教室や授業を行う予定です。

――どのようなきっかけで『ヴァンラーレタイム』を始められたのですか?

金井)2006年に地域リーグからスタートしたヴァンラーレ八戸は、今年で15年目になります。当初は1試合に100人お客さんが来場してくれれば多いと感じるほど日の目を浴びていませんでしたが、そのような状況でも地道に支援の輪が広がっていき、今はJ3に所属することができています。
そういった経緯から、ヴァンラーレ八戸では“地域密着”という考え方をとても大切にしているので、この活動を行っています。

八戸

子どもたちと選手に“非日常”の経験を

――講話授業では選手たちが発信しているとおっしゃっていましたが、選手たちはどのようなお話をされているのですか?

金井)ありきたりかもしれませんが、夢や目標を持つことの大切さを伝えています。
夢や目標を叶えるためには「こういう行動をしたら良いよ」「こういうマインドを持って生活したらいいよ」というアドバイスが多く、私が聞いても面白い!と思う話がたくさんあります。
選手たちが口を揃えて言うのは「“継続”することが大事」「サッカーを“好き”であり続けることが大事」ということです。やはり、夢を叶えた人は「そういうマインドでやっているんだ!」と何度聞いても感じます。

――講話授業への、話を聞く子どもたちと話をする選手の反応はいかがですか?

金井)選手たちの話に対して、児童・生徒の皆さんは素直に反応を示してくれます。
八戸の子どもたちは首都圏の子どもたちと比べて少し内向的なところがあり、想いを発信したり行動したりするのが苦手な印象があります。そのため、プロ選手が教室に来て、生の声を聴けるという“非日常”の経験はとても貴重だと思います。先生方からの反応も良く、手ごたえを感じています。
選手にとってもこうした活動は“非日常”なので、行く前はとても緊張していました。しかし、実際に行ってみると、子どもたちからエネルギーをもらって、とても楽しそうに笑顔で活動しています。帰りの車では、選手がいつも充実した顔をしているのがとても印象的です。

八戸

“地域のため”でありながら、“選手のため”にもなる活動

ーー金井さんご自身も数年前まで選手としてこの活動に関わってこられたと思いますが、この活動に対してどのような想いを持っていますか?

金井)“ヴァンラーレ八戸”の選手と“サッカー教室のメインコーチ”という2つの立場で『ヴァンラーレタイム』に関わってきた私としては、『ヴァンラーレタイム』を通して選手たちには様々な経験をしてほしいと思っています。そのため、なるべく全ての選手が均等に学校に訪問できるよう調整しています。
この活動は、さまざまな方に支えられてサッカーができていることを知るための絶好の機会だと思います。さらに、“地域のため”でありながら、自分自身の価値を高めていくことができ、“自分のため”にもなる活動でもあり、選手のセカンドキャリアにも繋がると期待しています。

ーー選手も経験された金井さんならではの想いもあるんですね!
この活動は広がりを見せていると伺いましたが、いかがでしょうか?

金井)「赤い羽根共同募金」様からお声掛けいただいて、『ヴァンラーレタイム』とタイアップしたサッカー教室も実施しているんです。
その教室では、来てくれた子どもたちに募金がどのように使われているのかを伝えています。
名前はよく知られている「赤い羽根共同募金」ですが、子どもたちはお金の使い道をあまり知らないため、僕たちが橋渡し役になり、子どもたちがより親近感を持ち、共同募金のことを理解できるようにしています。

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課題解決のアイデアはたくさん

――これまでのお話を聞いて、ヴァンラーレさんがホームタウンを大切にしていることがすごく伝わりました!

金井)最近は、サッカーをすることの楽しさを教えるだけでなく、他の団体さんとタイアップするなど、我々が間に入って行う活動にも取り組んでいます。
子どもたちをスタジアムに連れてきてくださるのは、ご両親やおじいちゃん・おばあちゃん世代の方々です。子どもを中心としていろいろな世代との繋がりをつくっていくことは、ホームタウン活動としてすごく大切なことだと思っているので、その世代にも興味を持ってもらうことをこれまで以上に大切にしていきたいと考えています。

――最後に、今後の社会貢献活動についての展望を教えてください

金井)挙げればキリがないですが、SDGsとの関連で“ジェンダー差別”や“貧困の差”という問題・課題に取り組んでいきたいと思っています。詳しいことはこれから考えたり決めたりしていきますが、こうした課題を解決していくためのアイデアはたくさん持っています。
『ヴァンラーレタイム』をさまざまなものに関連付けて課題を解決できる可能性を感じているので、今後はさらに活動の幅を広げていきたいです。

ーーありがとうございました!!

写真提供=ヴァンラーレ八戸

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