2022年10月9日に埼玉県宮代町で開催される「町民スポーツフェスティバル」。これまでの町民体育祭をリニューアルした本イベントでは、「ユニバーサルスポーツ体験」がプログラムのひとつとして行われます。
ユニバーサルスポーツとは、年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、皆が一緒に楽しむことができるスポーツ。
宮代町教育推進課の宮部俊周さん(以下、宮部)と伊藤遼平さん(以下、伊藤)に、イベント当日ユニバーサルスポーツ体験ブースのスタッフを務める「Sports for Social Lab」の運営メンバーである吉田がイベント開催前に、話を伺いました。
ユニバーサルスポーツ体験をプログラムのひとつに選んだ理由。そして、宮代町が「スポーツフェスティバル」を通じて、町民の方々に届けたいものとは?
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町民体育祭を新たに27種類のスポーツ体験の場に
ーーまずはじめに「スポーツフェスティバル」の概要を教えてください。
宮部)10月9日に、宮代町総合運動公園の体育館と屋外の運動施設で27種類のスポーツを体験できる「町民スポーツフェスティバル」の開催を予定しています。
スポーツ体験のプログラムだけではなく、元オリンピック選手のゲストを招いたスペシャルプログラムや、充実した飲食ブースを用意することで、小さいお子様から高齢者の方まで一日楽しんでいただけるようなイベントとなっています。
\10/9は…ぐるる宮代へ行こう/
明日はスポーツフェスティバル!
年齢や障がいの有無に関わらず、誰もが楽しめる“ユニバーサルスポーツ”。会場には、町内外のうまいものも登場♪
●日時
10/9(日)9:30−15:30
●会場
ぐるる宮代https://t.co/e0VB3KtXKr#みやしろまち pic.twitter.com/KPTstHlQhi— 宮代町 (@miyashiro_machi) October 8, 2022
ーー飲食ブースも充実しているのですね!
宮部)当日は、地元飲食店等の協力により、キッチンカーなど多数のお店が出店予定です。
普段スタジアムでしか食べられないようなスタジアムグルメが揃っていますので、スポーツで体を動かすだけじゃない「美味しいグルメ」の楽しみ方でもご参加いただけます。
地域のみなさんはもちろんのこと、近隣に住む方々も含めて多くの人に遊びに来てもらいたいです。ぜひ遊びに来てください!
ーースポーツが好きな人、スポーツをやりたい人だけではなく、どんな人でも楽しめるイベントというのは素晴らしいですね。
これまで開催していた「町民体育祭」から沢山のスポーツを体験できる「町民スポーツフェスティバル」にリニューアルした背景には、どのような想いがあったのですか?
宮部)元々の町民体育祭は、「体育祭を媒介にコミュニティを繋げる」という趣旨のもと、自治会ごとにチームとなって、玉入れや大玉転がし、リレーなどを行っていました。ところが、地域の方々の高齢化や自治会参加率低下による関係性の希薄化によって、年々参加者が減っており、地域から見直しの声が上がっていました。
その中で、新型コロナウイルスの流行があり、3年間町民体育祭が中止になっていました。そこで改めて体育祭の在り方を検討し、体育祭のように地区ごとに対抗種目で順位を決める形式ではなく、誰でも気軽に参加して、いろいろなスポーツを体験できるフェスティバル形式でやることに決まりました。
ユニバーサルスポーツを通じて、新たな人の繋がりをつくる
ーー今回のスポーツフェスティバルでは、『ユニバーサルスポーツ』である棒サッカーと卓球バレーの体験ブースを出展します。ユニバーサルスポーツをイベントに取り入れようと思った理由を教えてください。
伊藤)「誰でも参加できるようなイベントに」というコンセプトに当てはまるスポーツがないかと考えた時に、『ユニバーサルスポーツ』が頭に浮かび、スポーツフェスティバルにふさわしいと思い、プログラムに取り入れました。
ーー伊藤さんがユニバーサルスポーツを知ったきっかけを教えてください。
伊藤)前職でFC東京バレーボールチームでコーチをしていた時に、「バレーボール」を通して、シッティングバレーボール(※1)や風船バレーなど、いろいろな種類があることを知りました。
※1 シッティングバレーボール・・床に座った状態で行うバレーボール
例えば、風船バレーボールは視覚障がいを持った方でも一緒に行うことができるユニバーサルスポーツです。障がいの有無に関わらず一緒にできるスポーツこそ、スポーツフェスティバルで体験する機会を設けるべきだと思いました。
宮部)今回のイベントをきっかけに、「ユニバーサルスポーツ」の言葉と定義があることをはじめて知りました。
ーー実際に知った時はどう思いましたか?
宮部)これまでは「レクリエーションスポーツ」と混同しましたが、「ただ遊ぶだけのスポーツ」であったり、単なる「障がい者のためのスポーツ」ではないということを知り、驚きました。
ーーユニバーサルスポーツは、身体を動かしながら、参加する人たち同士で交流が促されたり、相互理解のきっかけになるのがとても良いですよね!
これまで「ユニバーサルスポーツ」を体験したことはありますか?
伊藤)私は風船バレーを以前体験したことがあり、現在もイベント講師活動も行っております。
宮部)埼玉県の東部地区のスポーツ推進委員の研修会で、ボッチャを体験しました。そこまで激しいスポーツではないのですが、戦略性の高いゲームですよね。一緒にプレーした高齢者の方も上手だったので、年齢も関係ないスポーツだと感じました。
ーーユニバーサルスポーツのブースに期待することを教えてください。
宮部)気軽に参加できるユニバーサルスポーツは、スポーツの楽しさを知る一番のきっかけになると思います。みんなで楽しんでスポーツに触れてもらいたいです。
伊藤)子どもと高齢者、障がい者が自然と「ユニバーサルスポーツをやってみようよ」とブースに集まって体験してもらいたいです。他にもたくさんブースがあり、人もたくさんいると思うので、ユニバーサルスポーツを一緒に行うことで地域の新たな繋がりを持つきっかけになってもらえたら嬉しいです。
今日は宮代町スポーツフェスティバルでユニバーサルスポーツとバブルボールのお手伝いに。お互い知らない家族やお婆ちゃんが一緒にスポーツしてて「あ、これがスポーツの良さで自分が離れられない理由だ」と改めて実感した。本当ありがとうございました!#みやしろまち @miyashiro_machi @heyzoo7 pic.twitter.com/nvYuCVrN1K
— 古田優|スポーツライフデザイナー (@furuyu6122) October 9, 2022
スポーツの勝ち負けだけじゃない価値や魅力を伝えたい
ーーユニバーサルスポーツ体験ブースでは、一緒にイベントに足を運んだ人たちだけでなく、その場に居合わせた“はじめまして”の人たちとも一緒に楽しめる設計にできたらと考えています。
今回、アンプティサッカー体験ブースも準備されていますね。
伊藤)今回スポーツフェスティバルの出展ブースを取りまとめている中で、障がい者の方々が楽しめるスポーツが少ないという課題がありました。そこで、パラスポーツ体験の検討を始めました。
浦和レッズが「このゆびとまれっず!」という社会連携活動『シャレン!』の取り組みを行っています。その活動で、アンプティサッカーチームのFC ONE TOPさんと協働事業をされているのを知っていました。また、私たちも2022年6月に浦和レッズと東武動物公園で事業をご一緒させていただいた縁もあり、スポーツを通したダイバーシティの実現に向けた種目に取り組めたらという想いでFC ONE TOPさんに相談させていただき、実施が決まりました。
ーーアンプティサッカー体験ブースに期待することはありますか?
伊藤)私自身アンプティサッカーを体験したことがないので、どうやってやるんだろうというワクワクがあります。また、FC ONE TOPのトッププレーヤーの方々が複数名来ていただく予定です。松葉杖を使ってどのようなサッカーのプレーをするのか、生で観ていただいて、スポーツ体験から障がい者に対する理解やチームを応援するきっかけが生まれてほしいです。
ーー「パラスポーツ=障がいのある方々のスポーツ」ではなく、「カッコイイ」「楽しい」という新しいイメージを知ってもらえるといいですよね。最後に、今回のスポーツフェスティバルに向けて、一言お願いいたします。
宮部)「町民スポーツフェスティバル」の目的としては、地域の活性化だと思っています。各スポーツ団体でも会員が減少したり、部活動が廃部になってしまったりと、スポーツが地元でできなくなっているという課題があります。今回のようなイベントをきっかけにスポーツを地元でもできる環境をつくり、そこから地域を活性化していきたいと考えています。
伊藤)ユニバーサルスポーツやパラスポーツ体験が出来ない地方では、スポーツの価値が、勝ち負けの競争のみ前面に出てしまっていると感じています。例えば、今回のスポーツフェスティバルで、スポーツの勝ち負けだけじゃない価値や魅力を感じて貰えたら嬉しいです。
宮代町 町民スポーツフェスティバル 概要
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