お正月の風物詩『箱根駅伝』は、これまでも多くのドラマを生んできました。
100年以上の歴史を“繋いできた”大会は、数えきれないほど多くの人が関わり、想いを繋ぎ、さまざまなことをもたらしました。2026年明けに開催される102回大会に向けて、その“コース”について解説します。
今回は1区~5区、往路のコース解説です。花の2区、山登りの5区だけでなく、区間ごとにみどころが満載です。箱根駅伝が好きな人なら是非コースの情報も少し詳しく押さえておきましょう。
▼“にわか”ファン向けのわかりやすい解説はこちら▼
第102回大会出場校
第102回大会は20校+関東学生連合の21チームが出場します。
出場校一覧
- 青山学院大学(18年連続31回目)
- 駒澤大学(60年連続60回目)
- 國學院大學(10年連続19回目)
- 早稲田大学(50年連続95回目)
- 中央大学(9年連続99回目)
- 城西大学(4年連続20回目)
- 創価大学(7年連続9回目)
- 東京国際大学(2年連続9回目)
- 東洋大学(24年連続84回目)
- 帝京大学(19年連続27回目)
- 中央学院大学(3年連続25回目)
- 順天堂大学(15年連続67回目)
- 山梨学院大学(6年連続39回目)
- 日本大学(3年連続92回目)
- 東海大学(2年ぶり52回目)
- 東京農業大学(2年ぶり71回目)
- 神奈川大学(3年連続56回目)
- 大東文化大学(4年連続54回目)
- 日本体育大学(78年連続78回目)
- 立教大学(4年連続31回目)
区間説明
1区
21.3km(東京・大手町 読売新聞ビル前→(品川駅前)→(新八ツ山橋)→(蒲田(京浜急行電鉄・京急蒲田駅))→(六郷橋)→鶴見中継所)
区間記録<吉居大和(中央大学)2022年・1時間00分40秒>
スタートしてすぐ皇居脇のビジネス街を駆け抜ける2区
23.1km(鶴見中継所→(横浜駅前→(権太坂)→戸塚中継所)
区間記録<リチャード・エティーリ(東京国際大学)2025年・1時間05分31秒>
保土ヶ谷駅から難所である「権太坂」、「戸塚の壁」に挑む3区
21.4km(戸塚中継所→(遊行寺坂)→(茅ヶ崎)→(湘南大橋)→平塚中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2020年・59分25秒>
開けた一本道は、天候の影響も受けやすいが、前を走る選手の背中も見える4区
20.9km(平塚中継所(大磯)→(二宮)→(酒匂橋)→小田原中継所)
区間記録<イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学)2023年・1時間00分00秒>
見どころは、終盤の酒匂橋のアップダウン5区
20.8km(小田原中継所→(箱根登山鉄道箱根湯本駅前)→(大平台ヘアピンカーブ)→(宮ノ下富士屋ホテル前)→(小涌園ユネッサン前)→(恵明学園前)→(芦の湯)→箱根・芦ノ湖)
区間記録<若林宏樹(青山学院大学)2025年・1時間09分11秒>
往路フィニッシュに待ち構える雄大な芦ノ湖各区間の見どころ
1区~箱根路はじまり~
大手町読売新聞ビル前から鶴見中継所までの21.3kmを走る。各校のスピードランナーが集まるすべての始まりの区間。
流れを決めるスターター
箱根駅伝のスタートを切る区間であり、流れを決める重要な役割を持つ。
ひしめき合う各校の戦術
スピードランナーや準エースクラスの投入が多く、集団になると牽制などでスローペースになる傾向がある。その一方、スタート直後に飛び出して逃げ切りを狙う(俗に言う「大逃げ」)学校もあり、各校の戦術が現れる区間の1つ。
見ごたえあるスプリント勝負
新八ツ山橋と六郷橋のみ大きなアップダウンがあり、六郷橋から川崎市街にかけての区間では、橋からの下りを利用してスパートをかける選手も。集団から抜け出し、ラストのスプリント勝負が壮絶を極める。
<Pick up!>
オリンピアン大迫傑も破れなかった平成の大記録(佐藤悠基(当時東海大2年)が樹立)を2022年大会で”超先行逃げ切り”で吉居大和(中央大)が塗り替える。
<第102回大会はどうなる!?>
前哨戦となる出雲駅伝を制した國學院大学、全日本大学駅伝を独走で制した駒澤大学、そして前回覇者の青山学院大学に注目が集まる今大会。
駒澤大学は前回1区で2位だった帰山侑大を補欠に回しており、当日エントリー変更も予想される布陣。流れをつくるための重要な1区は、昨年通り、各校エース級の選手がしのぎを削る様相は変わらず。スタート早々からスピーディーな展開が予想される。
2区~花の2区~
鶴見中継所から戸塚中継所までの23.1kmを走る。各校のエース級の選手が集い、「花の2区」と呼ばれる重要な区間。
「花の2区」の異名
各校がエース級の選手を揃えて争い、競技の中でも最も激しい区間。
留学生をエントリーする大学が多い
2区は留学生を擁する大学が多く、留学生をエントリーさせることが多い区間。留学生のごぼう抜きも魅力の一つ。
後半の上り坂がポイント
後半にある権太坂や「戸塚の壁」の上り坂がポイントであり、どう攻略するかが結果に大きく影響するため、選手たちは慎重にペース配分を考える必要がある難コース。
<Pick up!>
最大の悲劇「途中棄権」 第78回大会(2002年)の徳本一善(法政大)のスタートから28.6km地点での途中棄権が箱根駅伝史上最短。
その悲劇を乗り越え、2003年と2004年に日本選手権男子5000m連覇。
<第102回大会はどうなる!?>
前回大会同様、「エース区間」として外国人留学生と日本人エースの激しい争いが見どころ。外国人勢では現役最強留学生との呼び声高く、昨年区間記録を更新したリチャード・エティーリ(東京国際大学)をはじめ、ヴィクター・キムタイ(城西大学)などが高速ペースでレースを引っ張る展開が予想される。
そこに喰らいつく日本人選手候補であった学生マラソン日本記録を持つ黒田朝日(青山学院大学)は、補欠エントリーで当日のエントリー変更があるのか注目されている。
この区間で勢いをつかむことが往路優勝や総合優勝に直結するため、各大学の戦略にも注目が集まる。レース全体を左右する熾烈な戦いが期待される。
3区~隠れたエース区間~
戸塚中継所から平塚中継所までの21.4kmを走る。往路では最も気温差が大きく、海岸線を走るため風の影響を受けやすい区間。
遊行寺坂から海岸線への下り
戸塚中継所を出発すると、最初の約10キロメートルは遊行寺坂などの下り坂が続きます。この区間は脚力のある選手がアタックしやすく、レースの流れを左右する。
湘南海岸沿いの景勝地
この区間は、相模湾や富士山を望む絶景スポットとして知られており、箱根駅伝の中でも一番の景勝地といわれている。ただし、海風が強いため選手たちは風に注意しながら走らなければならない。
選手の気温調整
3区は往路で最も気温差が大きく、また海風の影響を受けやすいため、選手たちは適切な装備や水分補給を行いながら、気温調整にも気を配らなければならない。レース中に体調を崩す選手も多いため、体調管理が求められる。
<Pick up!>
第96回大会(2020年)では、令和最強留学生のイェゴンヴィンセントが唯一の前人未到の59分台の区間新記録を樹立。
エースとして、入学した大型ルーキーが出走し、好走することも多い区間。
<第102回大会はどうなる!?>
箱根駅伝3区は中盤へのつなぎとして年々重要さを増している区間であり、スピードランナーが集う。チームに勢いを与え、ここでトップに躍り出るか。この区間ではチーム全体の流れを決定づける重要な局面が多く、ここでの順位変動が優勝争いに直結する。熾烈なタイム争いが見どころ。
4区~戦略が問われる~
平塚中継所から小田原中継所までの20.9kmを走る。海から山へと向かう選手たちにとって重要な区間。
一人で走る強い選手が必要
選手たちは4区に入るとだいぶばらけてくるため、一人で走ることができる力が求められる。そのため、我慢強く走れる選手が必要になる区間。
10個の橋がある
4区には10個の橋があり、それぞれの橋で緩やかなアップダウンがある。これらの細かなアップダウンが積み重なって疲労を増幅させるため、選手たちは橋の数に合わせて力の配分を考えなければならない。
各校の戦略が問われる
4区は往路において、箱根登山鉄道ガードからの残り1kmが特に厳しい場所。このため、各校の戦略が問われる。
<Pick up!>
第72回大会(1996年)で優勝候補の一角でもあった神奈川大が途中棄権。翌年のその悔しさを糧に第73回大会(1997年)で初優勝。
同大会で複数棄権チームがあったことにより、給水制度導入の流れとなる。
<第102回大会はどうなる!?>
箱根駅伝4区は最短区間ながら、スピードランナーの実力が試される重要なパートであり、実力者たちが、タイム差を詰めて順位を上げる展開も注目。この区間は短い分、わずかな差がチーム全体の流れに大きく影響するため、各選手のスピード勝負と駆け引きが鍵となる。僅差での熱い戦いが見どころ。
5区~天下の険~
小田原中継所から芦ノ湖フィニッシュまでの20.8kmを走る。往路の最も過酷な区間であり、箱根駅伝の象徴的な区間の1つ。この区間は、小田原から始まり、標高差800m以上の山を一気に駆け上がり、最高地点を越えると一転して下り坂が続くため、上りはもちろん下りに入ってからの走りも重要な区間。
山上りのコース
往路5区は箱根の山を駆け上がる区間で、最後の4.5キロは逆に下る難コース。この区間は、「天下の険」と呼ばれるほど険しい山道で、選手たちは激しい山岳地帯を駆け上がる。
大差がつく可能性が高い
山上りのコースであるため、選手の力量差によっては大差がつくことがある。さらに、この区間での選手の走りによっては、後続チームとの差が詰まることもあるため、注目される区間の一つ。
厳しい自然条件
箱根の山岳地帯は厳しい自然条件があり、突風や雪、凍結した路面などが選手たちを苦しめる。過去には、選手たちが脱水症状や低体温症になるなど、激しいレース展開によって、さまざまなドラマが生まれた。
<Pick up!>
第82回大会(2006年)から第93回大会(2017年)までは全区間の中で最長区間。
5区で順位を一変させる『山の神』がこの頃から、続々誕生。(今井正人(順天堂大)、柏原竜二(東洋大)神野大地(青山学院大)etc…)
<第102回大会はどうなる!?>
前回大会で新たな『山の神』として区間記録を樹立した若林宏樹(青山学院大学)が卒業。それでも「山には自信がある」と話す原晋監督は、5区に1年生の松田祐真をエントリー。『山の名探偵』工藤慎作(早稲田大学)もエントリーされており、レースは混迷を極めること必至。
往路優勝の大逆転劇もこの区間で起きる可能性もあり、芦ノ湖のゴールテープを切るまで、一瞬たりとも見逃せない。
