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地域が誇れるクラブへ~横浜ビー・コルセアーズの地域・アカデミー戦略~

LTO活動20210605

プロバスケットボールリーグ・Bリーグの横浜ビー・コルセアーズ。横浜市という大きな経済圏を持つ地域とともに、横浜ビー・コルセアーズが目指す地域・社会への貢献とは?アカデミーの活動にも力を入れ、『プロ』を意識した取り組みとは?

広報担当の植木さん(以下、植木)と、アカデミー担当の山田さん(以下、山田)にお話を伺いました。

アウェーファンにまで広がるLTO活動

ーー横浜ビー・コルセアーズさんとしての地域貢献へのお取り組みを教えてください。

植木)横浜ビー・コルセアーズの地域貢献活動は、主にホームゲームでの活動とアカデミーでの教育的な活動の2つに分けられます。

ホームゲームでの活動の中では、昨シーズンからLTO(LEAD TO THE OCEAN)プロジェクトに賛同し、ホームアリーナである横浜国際プールでのホームゲーム開催時にごみ拾いをする活動をスタートさせました。

シーズン中のみの活動の予定だったのですが、オフシーズンになって横浜市歴史博物館さんにご協力をいただいて歴博の横の公園でのごみ拾い活動を行い、そこにはキャプテンの生原秀将選手も参加してくれました。

ーーLTOに賛同したごみ拾い活動は、地域の方の中でも盛り上がっていそうですね。

植木)そうですね。平日のナイトゲームの前でも20名ほどの方に参加していただいたり、特に親子で参加する方がすごく多かったです。

何度か開催をし、SNSでも告知していくと、アウェーのファンの方も興味を持ってくださって参加してくださるようにもなりました。スタンプカードを作って、一定の数以上集まった方はコート上で表彰をするなど、楽しめるような形も整えました。

ーーアウェーのファンも参加するのはすごいですね!親子で参加される方が多かったのは、地域的な特徴もあるのでしょうか?

植木)横浜ビー・コルセアーズのホームゲームでは、親子での観戦が多いなという印象を受けます。今年は会場が飲食禁止だった影響もあり、試合開始までの時間にちょうどこのLTO活動がハマった感じはありますね。保護者の方の中には、子どもの教育を考えたときに「せっかくならごみ拾いの活動の体験をさせてみたい」と思われた方も多いようです。SNSを見ていると、このLTO活動をきっかけに近所でもごみ拾いをするようになったお子さんもいるみたいで、嬉しいですね。

ーー地域のファン層にもあった社会貢献活動ということですね。コロナ禍の状況もうまく利用しながら、横浜ビー・コルセアーズの観戦にくることで社会貢献のきっかけが生まれるのは素晴らしいですね!

試合会場でのLTO活動©B-CORSAIRS

「プロが見える」アカデミー活動

ーー教育の面ではいかがでしょうか?

植木)昨シーズンはなかなか行えませんでしたが、地域の学校訪問や、授業は継続して行っています。選手はシーズン中だと難しいので、私たちスタッフがそれぞれの仕事内容を子どもたちに紹介していて、私であれば広報のことやグッズ製作の過程を紹介したり、アカデミー担当の山田が体育の授業でバスケットボールを教えたり。選手が稼働しなくても横浜ビー・コルセアーズを身近に感じてもらえるような活動という意味で力を入れて取り組んでいます。

ーークラブスタッフの方の仕事の話が聞けるのはいいですね!バスケットボールの普及活動の面ではいかがですか?

山田)基本的には小学校を中心に学校訪問をしているのですが、中学校になると部活動指導などをしています。アカデミーのスタッフが実際に中学校の部活動に行き、委託コーチとして週に1~2回くらい行くこともあります。

将来のプロ選手を目指す子どもたちを育てるということを目標に掲げた、スクール活動やユースの活動も行っています。トップチームの練習会場で練習を行うスクールもあり、「プロが近い環境」で練習を行えているのも特徴の1つかなと思っています。昨シーズンは横浜ビー・コルセアーズのアカデミー出身の選手がトップチームに加入し、ほかのチームでもアカデミーOB選手が何人か活躍していて、ユース(高校生年代)の選手たちにとっては「頑張れば彼らのようにプロになれる!」という目標が見えやすい形になっています。

小学校訪問©B-CORSAIRS

ーーバスケットボールにおけるプロクラブのユースチームと、高体連、いわゆる高校の部活動のチームとはそれぞれどのような立ち位置なのでしょうか?

山田)いま中学校のカテゴリーがサッカーと同じような形になってきていて、神奈川県リーグで部活動vsクラブチームの試合が実現したり、全国大会にもクラブチームも含めて県代表を決めるような動きも出てきました。

ただ、高校生年代でいくと、U-18(18歳以下)のBリーグユースチームの大会なども今年から行われますが、まだまだ部活動の強豪校に流れている傾向があります。

ーープロが近い環境の中で、より多くのプロ選手を輩出する環境が整いつつあるような状況ですね!子どもたちへの指導のところで、技術面体力面以外のところでなにか意識されていることはありますか?

山田)ユースチームにはなるのですが、自分たちは横浜ビー・コルセアーズのユースチームであるという自覚を持たせるようにしています。プレー面以外の挨拶、準備や片づけ、支えてくれる保護者への感謝など、頑張るのは当たり前で、それ以外の面でも見られているということを指導の現場で言うことは多いですね。

生活のすべてが試合に出るよ、という話もしていて、例えばバスケットボールはタイムマネジメントを大事にするスポーツで、普段の練習での集合1つとってみても、それが実際の試合でダラダラ集まってしまうと大事な作戦会議もできないよね、ということもあります。

©B-CORSAIRS

地域のためであり、選手のため

ーーホームページなどでも、地域に対して『近い』ということを表現されているのですが、このあたりにはどういった想いがあるのでしょうか?

植木)bjリーグ時代から地域の方に支えていただいて活動してきたので、その気持ちを忘れずにいたいという想いがあります。横浜ビー・コルセアーズのファンの方達の特徴として、特定の選手のファンというより、『地元だからチームを応援している』ファンの方がとても多いです。プロチームではありますが、ファンの方たちとの距離を近づけるために地域のイベントやお祭りには今まで積極的に参加してきました。横浜市だけの人口で見ると、Bリーグのクラブの中でもかなり多いにも関わらず、まだそれが集客につながっていない部分が課題としてはあるので、地域に『近い』活動を続けていき、さらにもう一歩地域に踏み込む活動も考えていきたいと思っています。

ーー今後の社会貢献や地域貢献で取り組んでいきたいことはありますか?

山田)トップチームのとしてもアカデミーとしても、学校訪問などでまずは横浜ビー・コルセアーズを覚えていただいて、「バスケといえば横浜ビー・コルセアーズ」と思っていただけるようにしたいです。もちろんホームタウンである横浜市もそうなんですが、スクールは小田原・相模原にも展開しているので、神奈川のバスケといえば横浜ビー・コルセアーズと言っていただけるようにしたいと思ってます。バスケットボールのファンを増やす活動をしながら、それが結果的に横浜ビー・コルセアーズのファンを増やすことにつながるようにしたいですね。

ーー選手たちの関わりもある印象ですが、感想等はいかがですか?

山田)先日、竹田選手(今シーズンからGM)が授業をしてくださったときに、夢をつくるためのきっかけになる活動をできたのはすごくよかったとおっしゃってました。

植木)ベテラン選手だけでなく、若手にも地域貢献活動がいい影響を与えているなと思っています。以前ルーキーの須藤選手が、恩師の方から職業講和に来てほしいというお話をいただきました。実際にはビデオメッセージでの実施になったのですが、事前にいただいた質問に答えたりする中で、「自分がプロ選手である」という自覚が持てたように思えています。その後実際に学校訪問に行った際も、子どもたちが横浜ビー・コルセアーズのTシャツを着てくれていたり、お話したりすることで応援されている実感を得ることができたようで、その後試合会場に「あの学校の子どもたち来てるよ」というとさらに頑張ろうという気持ちになれたようです。

ーー地域のためであり選手のためにもなっているんですね。

植木)そうですね。地域のために、というスタンスでするよりも、地域貢献活動をすることによって応援され、支えられていることを実感し、選手やクラブもそれに対してなにかお返しをしたいと思えるような、そんなスタンスで今後も活動を続けていきたいと思っています。

ーーありがとうございました!

LTO活動

©B-CORSAIRS

編集より

ホームゲームのLTO活動に対し、スタジアムでの飲食ができない代わりの選択肢になっていたり、親にとって子どもに教育するきっかけとしていたり、時期・地域にあった意味付けがなされているのが印象的でした!同じ活動であっても参加者それぞれにとって感じるものが異なるということを改めて考えさせられます。

そうした人たちに合うような施策を考え、実行されている横浜ビー・コルセアーズさん。アカデミーを中心とした地域へのバスケットボールの普及活動も含め、新しいシーズンの活動も楽しみです!(栁井)

 

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