山下公園の氷川丸の横を泳ぎ、赤レンガ倉庫を駆け抜ける。そんな珍しい光景が見られるワールドトライアスロン・パラトライアスロンシリーズ横浜大会(以下、横浜トライアスロン)。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年は中止、2021年は無観客レースとなっていましたが、2022年5月に3年ぶりに観客が見守る中で大会が開催されました。
世界有数のトライアスリートたちを間近で目にすることもそうですが、今年の目玉となったのは『ハマトラ女子』企画。
完走者へのジュエリーの贈呈、女性向けトライアスロンセミナーの開催、日焼け止めなど試供品の提供など、複数のコンテンツを仕掛けた本企画について、大会組織員会事務局次長の中川修二さん(以下、中川)にお伺いしました。
大会当日の様子と合わせてご覧ください。
横浜トライアスロンとは?
ーー横浜トライアスロンの魅力はどんなところですか?
中川)全国でもさまざまな規模で約300大会のトライアスロン大会が開催されていますが、横浜トライアスロンは横浜という大都市で行われているのが大きな特徴です。
ここまで大きな都市で、交通規制をかけながら、観光名所を巡りながら競技ができることはなかなかないのではないかと思います。アスリートの皆さんからも高い評価をいただいていているのですが、それは観光名所だからだけでなく、多くの人から応援していただいてパワーをもらえることもあるようです。
ーー多くの人が集まり応援してもらえるのは、フィニッシュしたときの達成感も増しそうですね。
トライアスロンを通して横浜の海を守る
ーー横浜トライアスロンでは、水質改善にも取り組まれています。どのような取り組みをされているのでしょうか。
中川)横浜トライアスロンは、2009年の横浜開港150周年記念イベントの開催をきっかけに、開催が決定し動き始めました。しかし、開催会場の山下公園前の海域の当時の水質は、泳げるものではありませんでした。
そこで、横浜市は2009年の横浜でのトライアスロンの国際大会の開催に向け、「きれいな海をつくろう!」をスローガンに「きれいな海づくり事業」をスタートさせ、水質改善に継続的に取り組みました。
このような取り組みの結果、山下公園前海域の水質改善が図られ、水浴場水質判定基準で遊泳ができるまでに水質環境が改善しています。将来、市民の誰もが、夏のひととき、あそこで泳ぎたいと思えるように、大都市横浜の観光スポットの中心である山下公園のきれいな海を未来ある子どもたちへ残していきたいと考えています。
ーートライアスロンと海は切っても切り離せない関係ですからね。カーボンクレジットを活用した取り組みも特徴的ですね。
中川)選手からは『環境協力金』という名目で1人200円を参加費とは別にいただき、横浜ブルーカーボン事業のカーボンオフセットとして活用しています。海の環境を守るため、ワカメの養殖をする団体への寄付などに還元していく取り組みです。
大会としては、採れたワカメを『乾燥』させて、『完走』した選手に配るというような取り組みもしています(笑)
ーー選手参加型のカーボンオフセットは自分たちが使用する海の環境を考えるきっかけにもなる素晴らしい取り組みですね。
トライアスロンにおける女子参加率は10%!世界平均の30%との差は何か?
ーー2022年大会の『ハマトラ女子』企画についてお伺いします。今回の企画にはどのような意図があるのでしょうか?
中川)横浜トライアスロンとして、環境面には力を入れてきましたが、社会面に対しても力を入れていこうと考え、多様性あふれる大会にしたいと考えていました。
横浜トライアスロンは、エイジクラス(一般の部)での女性参加率は10〜20%ほどで、世界平均の約30%の割合から比べると低くなっています。女性にもアクティブに輝いてもらうことの1つとして、トライアスロンに参加して楽しんで帰っていただけるような取り組みをしたい、そんな想いでこの企画はスタートしました。
ーー具体的にはどのような取り組みをされているのですか?
中川)トライアスロン大会に参加することに関しては、まず第一に不安があると思います。そうした不安を取り除くため、女性限定の『ハマトラ女子』セミナーを開催したり、完走者にはSTAR JEWERLY様から記念のオリジナルネックレスをプレゼントしたりしています。ジュエリーは毎年デザインが変わるので、それをモチベーションに頑張っている方もいらっしゃいます。
ーー横浜トライアスロンで参加者はどのようなことを楽しみにされているのでしょうか?
中川)女性だけに限らず、横浜の独特なコースは楽しんでいただけてますね。山下公園からスタートし、赤レンガ倉庫を走ったり、ベイブリッジも見えたりもします。『走りながら贅沢な観光ツアーができる』ということはなかなか体験できないことだと思いますので、皆さんに是非この感覚を味わっていただきたいです。
ーーありがとうございます!
当日の様子
大会1日目は『ワールドトライアスロンシリーズ』として、世界トップレベルのトライアスリートが集結しました。
雨上がりのコンディションの中、それでも力強く横浜の街を駆け抜ける選手たちの姿に、多くのファンが拍手でエールを送っていました。
大会2日目はエイジクラス(一般の部)。『ハマトラ女子』企画も!