特集

『介護×スポーツ』スポーツチームが介護を活かす。ただ働くだけではないその価値とは?

アサヒサンクリーン株式会社

訪問入浴介護事業を中心に、介護事業を展開するアサヒサンクリーン株式会社は、2019年から東京都社会人サッカーリーグ1部アローレ八王子とスポンサー契約を結び、アマチュアサッカー選手たちが仕事として介護事業に従事しています。

「介護職は人が不足しているから、アマチュアスポーツ選手を雇っている」というだけではない、両者にとって価値あるその取り組みについて、アサヒサンクリーン株式会社多摩エリア長の遠藤成駿さん(以下、遠藤)、そして高尾事業所長として働きながらアマチュアサッカー選手としても活動する林慶之さん(以下、林)にお話を伺いました。

アサヒサンクリーン
“自分らしく”いられる介護とは?お風呂が持つ幸せと、介護がもたらす「優しい自分」超高齢化社会が訪れると言われている日本。中でも、介護の問題は大きな社会課題として多くの人々に認識されています。 静岡県に本社を置き、全国で訪問入浴介護を中心とする介護事業を展開しているアサヒサンクリーン株式会社。介護保険利用者のうち、訪問入浴の利用者は1.6%と言われる現在において、“お風呂の幸せ”はなぜ必要なのでしょうか? 自立支援のために行われる介護、そして“その人らしい幸せ”を求める介護のあり方について、アサヒサンクリーン株式会社代表取締役社長浅井孝行氏(以下、浅井)にお話を伺いました。...

地域に根差した活動をするためのスポーツチーム

ーーアサヒサンクリーン株式会社は、東京都社会人サッカーリーグ1部のアローレ八王子のスポンサーをしながら、選手の働き先にもなっています。

遠藤)アサヒサンクリーンは静岡に本社を置き、私たちの八王子・多摩エリアをはじめ全国各地に事業所を構えているのですが、それぞれの地域の介護事業者として地域に根差していきたいという想いを持って活動しています。
地域活動の一環で、たまたま総合型地域スポーツクラブであり、東京都社会人サッカーリーグにも参戦しているアローレ八王子さんとお話をする機会がありました。(たまたま自身のサッカー少年団の先輩が代表だった)当時のアローレ八王子では、アルバイトをしながらサッカーに真剣に取り組む選手がいて、雇用してくれる企業を探していました。一方で、弊社も人材不足に悩んでいるタイミングだったこともあり、スポンサードしつつ、社会人サッカーを頑張る選手を弊社で採用することになりました。

ーー協力関係が始まったのにはお互いのニーズの一致があったのですね。

遠藤)実は私自身も学生時代から社会人にかけて、プロを目指してサッカーに取り組んでいました。一般的に就職する23歳でも芽が出ず、将来への不安もあってアサヒサンクリーン株式会社に就職しました。サッカーを辞めたことで今の仕事に就くことができ、充実した日々を過ごせているとも思いますが、もしかしたらサッカーをやめなくても、会社の理解や上司の理解があれば両立できたのでは?と今でも考えますね。
そうした想いもあって、アローレ八王子の選手たちにも、仕事の面でもサッカーの面でももったいない時間にならないように支援したいと素直に思っています。

ーー林さんは介護の仕事に対して、抵抗感やネガティブなイメージはありましたか?

林)以前の就職先が建設業だったので、180度違う環境になりました。介護の現場を生で見ることがなかったので、初めての現場は新鮮さもあり、衝撃的でもありました。たしかにネガティブな印象はありましたが、逆にそれをするからこそ得られるものもあると思っていましたし、4年以上介護の仕事経験を積んだ今もそう感じます。
僕は話すことが好きなので、認知症の方など意思疎通を図れない方とでもたくさん話をしています。労働やきつい作業だけでなく、いろいろな方と話ができるという面ですごくやりがいを感じているし、スポーツ選手には向いてるのかなと思います。

遠藤)入社したときは、私も介護に対するネガティブなイメージが抜けきれませんでしたが、働く環境がその気持ちを変えてくれたところがあります。お客さんはもちろん、介護事業者はベテランの方が多く、若い社員であった私をすごくかわいがってくれました。当時勉強も何もできなかった自分が、“若い”というだけでお客さんにも喜んでいただけて、そうしたことがやりがいに繋がり、一歩ずつ仕事のことも積み上げられていきました。

アサヒサンクリーン 遠藤さん、林さんアサヒサンクリーン株式会社 遠藤 成駿さん(左)、林慶之さん(右)

「この仕事のおかげでサッカーが上手くなった」仕事との両立で得られるものとは?

ーー仕事をしながらサッカーにも真剣に取り組む、というのはなかなか大変な環境とも思えます。

林)サッカーだけでなく仕事もするということは、体力や金銭的なことを考えると負担になるかもしれませんが、決して無駄ではないと思います。私は「人の心を少しでも動かせるように」という想いで35歳になる今までサッカーを続けてきていますが、“一生懸命やる姿で心が動く”というのはスポーツでも仕事でも変わらないのではないかと思うので、どちらも全力で取り組めています。

ーー仕事とサッカーの両立で何かプラスな面はありますか。

林)正直私は、この仕事のおかげでサッカーが上手くなったと感じています。学生時代は自分本位に考えていましたが、社会人になって仕事もするようになったからこそ見えることがたくさんありました。
サッカーでもチームメイトへの寄り添い方、振る舞い方が変わったと感じています。仕事の中でも、声をかけることによってお互いの意思疎通が図れますし、お互いを気遣う部分はサッカーともリンクしていると感じます。

遠藤)林さんもそうだったと思うんですけど、年齢が2〜3歳程の幅の人としか活動してこないことは、私も含めスポーツだけに集中してきた人たちの弱みにもなると気づきました。社会に出るといろいろな年代の人と関わり、幅広い世代の考え方に触れコミュニケーションを重ねることができます。林さんも、そうした生き方がそのままサッカーに活きているのではないかと思います。

林慶之選手としても活躍する林慶之さん(写真提供:アローレ八王子)

必要としている人に「お風呂」で「幸せ」を感じてもらう

ーーこの仕事をしていてよかったと思う場面はありますか?

遠藤)私が印象に残っているエピソードが2つあります。

1つは、入社当初にこの先1週間以内に亡くなることがわかっているお客さまを訪問したことです。行く前はビクビクしていましたが、私たちのサービスがお客さんの最後のお風呂になって、結果的にきれいになってお亡くなりになることができました。お風呂の気持ちよさを全身で感じる、人生の最後にそんな「幸せ」を感じてもらえる瞬間に立ち会えるのはなかなかない仕事だなと思っています。こうした“必要としてる人のためにサービスをする”という想いは忘れずにやっていきたいです。

2つ目は職員のエピソードです。学生時代ろくに勉強もせず、まわりからも期待されず、家庭環境もあまり良くなかった職員がいました。社会人としてもスポットライトを浴びる機会が少なかったのですが、この仕事を頑張り続けた結果、国家資格である介護福祉士を取得して、社内でも出世し、家庭を築き、家も建てました。いろいろな方が集まる介護の仕事で、お客さんから感謝をされたりする中で成長する、そうした職員の姿を見届けられることもこの仕事をしていてすごく嬉しい場面です。

林)私も一般職の立場から所長になり、また、サッカーチーム内でもベテランとして活動する中で、お客様から「アローレのこの子がいいよ」という良い評判を聞くことがあります。訪問入浴の仕事は、どうしても一緒に集まって仕事をすることが少ないので、外からは見えなくてもしっかりやってくれていることを知ることができるのは嬉しいですね。
また、介護を受けるお客様は、自分の人生を語ってくれる人もとても多いです。お風呂に入る解放感からかわかりませんが、ケアマネージャーさんでも知らないエピソードを赤裸々に話してくれることもあります。話好きな私にとって、人生の先輩からたくさんのお話を聞けることはすごく楽しいです。

スポーツ選手×介護の可能性 相互にもたらす相乗効果とは

ーースポーツチームと介護の会社が一緒になって取り組む意義をどのように感じていますか?

遠藤)私はこの八王子地域の出身なので、地域のスポーツチーム、そこから地域の子どもたちに貢献するための恩返しのような気持ちで取り組んでいます。
アサヒサンクリーンもいろいろな地域に事業所があり、それぞれ地域に根付いています。地域によって特色が違うように、事業所ごとに雰囲気も全然違うので、その地域や雰囲気に合ったスポーツチームなどを応援することは、お互いにとっていいことなのではないかと思っています。この地域を盛り上げよう!ということはスポーツチームと一緒にやるとわかりやすいですよね。

ーーサッカーにも真剣に取り組む選手たちは、仕事の面でも活躍できていますか?

遠藤)仕事自体はしっかり責任感を持ってやってくれていますし、なにより事業所の雰囲気がよくなると思っています。スポーツを頑張っている人の特徴として、意見をしっかり言い、問題を解決しようとしてくれるところを評価しています。事業所の風通しもかなり良くなっていると感じますね。

ーースポーツをやってる人からしたら当たり前のことが会社にとってプラスになる部分はありますね!林さんはサッカーチームの立場からするとどうですか?

林)単純に、自分たちのことを観てくれて、応援してくれる人が増えることに意義を感じます。職場での誠意、一生懸命な姿を見せると、そんな僕たちのサッカーの試合も観てくれる人が自然と増えてきます。実際に、アローレ八王子の試合でもアサヒサンクリーンの社員だけでなく、僕たちが仕事の中で関わる地域の方々もたくさん観に来てくれています。
また、スポーツチームを通して地域に認知され、地域に貢献してるというのはとてもいい形だと思います。介護業界の人手不足は継続してある問題ですが、スポーツクラブを支援している、選手が仕事でも活躍しているとなれば、お互いにとってポジティブな地域へのメッセージとして伝わるのではないでしょうか。

遠藤)サッカーも全力でやるし、仕事も全力でやる。どちらか手を抜いてしまうとうまくいきません。介護のこと、サッカーのこともお互いにリスペクトし合って、いろいろな立場の人の意見も取り入れながら進めていくことがこれからも大事になってくると思います。

ーーありがとうございました!

アサヒサンクリーン株式会社では、介護に関する豆知識などの情報などをInstagramで発信しています!

アサヒサンクリーン

是非ご覧ください!(アカウントはこちら

アサヒサンクリーン株式会社 公式HPはこちら

多様な従業員のために~業界初の家族介護手当を導入~

記事内でもありますが、スポーツ選手が働いているように多様な従業員がいることが特徴の介護業界。従業員を“会社の財産”として大切にするアサヒサンクリーン株式会社では、「家族介護手当」の制度を業界で初めて導入します。両親に限らず、範囲を広げることによってできる限り多くの従業員に行き届くこの制度。在宅介護サービスという仕事で家族の負担や現状を見ているからこそ、自社の社員にも還元できるものがあるのではないでしょうか?

プレスリリースはこちら

アサヒサンクリーン
“自分らしく”いられる介護とは?お風呂が持つ幸せと、介護がもたらす「優しい自分」超高齢化社会が訪れると言われている日本。中でも、介護の問題は大きな社会課題として多くの人々に認識されています。 静岡県に本社を置き、全国で訪問入浴介護を中心とする介護事業を展開しているアサヒサンクリーン株式会社。介護保険利用者のうち、訪問入浴の利用者は1.6%と言われる現在において、“お風呂の幸せ”はなぜ必要なのでしょうか? 自立支援のために行われる介護、そして“その人らしい幸せ”を求める介護のあり方について、アサヒサンクリーン株式会社代表取締役社長浅井孝行氏(以下、浅井)にお話を伺いました。...
RELATED POST

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA