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ユーグレナ社がスポーツに力を注ぐ~ミドリムシ(ユーグレナ)がつくる健康をスポーツにも~

ユーグレナ顕微鏡画像

理科の授業で習うことも多い『ミドリムシ』。
ミドリムシは学名をユーグレナといい、そのユーグレナを用いて環境問題や貧困問題など社会問題を解決することを目指している企業が株式会社ユーグレナ(以下、ユーグレナ社)です。

ユーグレナの豊富な栄養成分で、スポーツ選手の健康を考えたブランド『SPURT(スパート)』(以下、『SPURT』)が販売されています。創業当時からのユーグレナ社の社会問題解決に対する想い、そこからなぜスポーツ選手の健康に結びつくのか、ユーグレナ社の執行役員 ヘルスケアカンパニー営業・D2C担当の福本さん(以下、福本)にお話を伺いました。

ユーグレナ社 福本氏福本 拓元 氏

創業から変わらないユーグレナ社の想い

ーー福本さんは創業から関わっていらっしゃいますが、そもそもユーグレナという会社はどのように始まったのでしょうか?

福本)ユーグレナという会社は、社長の出雲が大学時代にバングラデシュで貧困の現状を目の当たりにした経験を軸に、世界がこのままだとよくないな、という想いからスタートした企業です。バングラデシュに栄養豊富な素材を届けるために彼が探し当てたのがユーグレナという微細藻類です。そのキャッチーさと話題性を軸に、我々が何をしたいのかを幅広い方々に知っていただく。我々の入り口は社長・出雲の経験ですが、ユーグレナを活用して『人と地球を健康に』することを目指し、商品やサービス・事業を通じて幅広い方々に知っていただきながら想いを共有していく、ということをやってきた16年間(2005年創業)だったと思います。

ーー昨今、SDGsというキーワードが話題になっていますが、ユーグレナさんは創業当初から社会のために事業をされる、いわゆるソーシャルビジネスをされてきた企業だと感じています。

福本)そうですね。創業から我々が言っていることは何一つ変わってなくて、会社の成り立ちそのものがSDGsと言えるのではないかと感じています。
私が出雲と出会って、その後創業前に渡された事業計画書があるのですが、その内容の主な軸は2つでした。

・微細藻類ユーグレナのバイオ燃料で環境問題を解決する
・微細藻類ユーグレナの栄養で世界の貧困問題を解決する

この2つの軸はもう16年経った今も変わらないですね。
現代の流れとして、SDGsという言葉をきっかけに人々の意識が環境や社会のことに向いていることは、我々としては非常にウェルカムです。「レジ袋にお金がかかるからもらわない」というような、結果的に環境を守ることにつながるような行動を取れるようなことも良いと思っていて、今後より一層、どうしたら環境を守ることができるのか、という考え方が増えていくのではないかと思っています。

貧困博物館をつくる

ーー世界の貧困問題を解決する、という点でどのような取り組みをされているのでしょうか?

福本)出雲と、ノーベル平和賞受賞者で出雲の師であるムハマド・ユヌス先生との共同目標に、『貧困博物館をつくる』というものがあります。恐竜博物館は恐竜が絶滅したからあるもので、将来的に貧困というものが珍しい状況になり、それを歴史として記録する博物館をつくる、そして二度とそのような状況が来ないように平和な地球を維持していく、という状況を作りたいということです。
我々は日本で事業を行っているので、まずは『日本人も栄養バランスがよくない』という現状を正しく知ってもらう必要があると思っています。「バランスよく栄養を取れていますか?」という質問には、99%の人が「いいえ」と答えるでしょう。日本は食が豊かですが、食が理由で病気になってしまうことも多く、そこは事業で解決していきたいです。

ーーたしかに、思ったものを食べれている=栄養バランスがいいということにはならないですね。ユーグレナの栄養ってどんなものなのでしょうか?

福本)ユーグレナは、人間に必要な栄養素のうち、ビタミンB12以外はすべて含まれていると言われています。極論、エネルギーとユーグレナさえ摂取しておけば生きていける、とも言われています。
この栄養豊富なユーグレナを世の中に広めていくことで、「いまの栄養状態は偏っていますよ」「食生活が豊かでも栄養問題がないわけではないんですよ」ということを事業を通じて先進国の皆さんに知っていただきたいと思っています。
これが先進国で達成できたのちに、発展途上国の食料がなく食べたくても食べられない方へのユーグレナの供給に取り組んでいきたい、と思っていますが、現状でもやれる範囲でやろうということで、2014年から『ユーグレナGENKIプログラム』(https://www.euglena.jp/genki/)に取り組んでいます。
このプログラムでは、ユーグレナグループの売上の一部を協賛金として充て、バングラデシュの子どもたちに「ユーグレナ入りクッキー」を無償配布しています。プログラム開始以来、配布数は累計で1000万食を超えました。まだ持続可能な取り組みとしては不完全なので、どのように事業としていくかは現時点の課題になっています。

今後は、ユーグレナが国民食になることを目指しているのですが、そのときにも我々が変わらず『栄養のバランスが大事』というメッセージを発信し続けていきたいと思っています。商品が皆さんに認識され、栄養バランスの重要性も日本の皆さんに認識してもらうことを目指しています。

ユーグレナ社 GENKIプログラム「ユーグレナGENKIプログラム」で配布されるユーグレナ入りクッキーを食べるバングラデシュの子どもたち

ーー『栄養のバランス』という意味でユーグレナはどのような力を発揮するんでしょうか?

福本)バングラデシュで夜盲症が発生するのは、ビタミンAが不足していることが大きな理由と言われています。しかし、バングラデシュの生鮮食品が手に入りにくい食生活ではビタミンAは摂ることが困難です。
ユーグレナの何が良いかというと、人間が生きていくのに必要とする成分が、バランスよくほとんど摂取できるということです。大阪府立大学の中野先生がおっしゃっていたことで強く印象に残っているのは、「ユーグレナを1g摂取できれば命の危機から救える」ということです。1gというと、量は多くはないかもしれませんが、ビタミンやミネラルなど必要最低限の量が摂れます。
あまり無理に完璧な栄養バランスを求めても難しいので、日常である程度気を付けつつ、ユーグレナを摂ることで少しでも栄養バランスを整える、ということが大事だなと思っています。

ユーグレナ栄養素

『ハイパフォーマンスかつ持続可能なカラダ』

ーーそんなユーグレナさんが、『SPURT』という商品でスポーツの分野に取り組まれたのはどのような背景があるんでしょうか?

福本)私自身もスポーツが好きで、サッカーも好きですし、社内で野球チームを作って活動したりもしています。そんな中で、引退するときのプロアスリートの体がまともに生活できる状態でなかったり、一般人と比較して平均寿命が少し短かったりします。人生100年と言われている中で、アスリートとしてトップでいる短い数年間に体を酷使しているがゆえに、そのあとの生活が不自由になったりすることもあります。完全燃焼するということは大事なことだと思いますが、理想的な形は『ハイパフォーマンスで、かつ持続可能なカラダ』だと思います。引退後もスポーツを楽しみながら人生を謳歌できる、というのが目指すべき姿なのかなと。

また、アスリートの現状で、栄養の指導を受けているアスリートがすごく少ないということを知りました。独学で栄養の勉強に取り組んでいて、正確には理解していない、例えばたんぱく質だけたくさん摂っているなど、間違った栄養摂取をしているケースなどがあります。もちろん商品として売っていきたい気持ちもありますが、『SPURT』という商品を通して、リカバリーのための栄養バランスが、パフォーマンスやアスリート寿命にかなり大きく関わるのだということをまずは正しく知っていただきたいと思っています。ジュニアアスリートからトップアスリートまで、ほとんどの方が栄養に対する知識をあまり正しく知っていないので、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取して、疲労を蓄積せずにリカバリーしながら体を維持していくことがいかに大事なのかを知ってもらうことで、アスリートの方もハイパフォーマンスを出しながら人生を長い目で見てもスポーツを楽しんでもらえるような環境づくりをしてきたいと思っています。

SPURT(左:パウダータイプ、右:ゼリータイプ)

(#1/2 第2回は8/28公開予定)

編集より

『栄養』という問題は、皆がわかっているようでわからない人が多いのではないでしょうか。福本さんのお話にあるように、「バランスよく栄養を摂れていますか?」と聞かれると自信を持って「はい」と答えることはなかなかできません。それは、『バランスのよい栄養』とはなにか、知らないことも大きいのではないかと気づかされました。

そうしたメッセージを発信し続けているユーグレナ社。第2回の記事では、SPURTを開発した岩城さんのお話を中心に伺います!

 

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