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【対談】ANDROSOPHY×高橋秀人 vol.2~サッカー選手って育児どうしてる?~

男性の育児が当たり前になる社会を目指してー。

サッカー選手・高橋秀人×育児用品ブランドANDROSOPHYの対談。vol.1ではそれぞれの経験をお話しいただき、男性の育児“参加”について広い視点から意見をいただきました。

vol.2では、よりアスリート・サッカー選手と育児という視点にフォーカスしてお話をしただきます。

高橋秀人_プレー写真
【対談】ANDROSOPHY×高橋秀人 vol.1~男性育児を当たり前に~横浜FC・高橋秀人選手とベビーブランドANDROSOPHY山田代表の対談。男性の育児が本当の意味で当たり前になる世の中のために。ブランド側の視点と、3児の父であるサッカー選手の視点で対談していきます。...

サッカー選手の育児のリアル

ーー高橋さん、プロサッカー選手のスケジュールってどうなってるんですか?

高橋)おおよそ、試合が土曜日にある週について言うと、日曜日はリカバリーで1時間程度の練習です。月曜がお休みで、火・水・木・金で練習してまた土曜日試合、というのが基本的なスケジュールです。

ーー試合や練習で、稼働時間は少ないように見えて大きく負荷がかかる印象もあります。

高橋)そうですね。サッカー選手の特徴と言うか、どの世界でも一緒だとは思うんですが、やはりプロとして負けたら批判されるし、自分が試合に出ているかどうかという競争もあるので、非常にストレスがかかります。

先日のオフの日に、子どもたち3人と、ANDROSOPHYさんの抱っこ紐をつけて公園に遊びに行ったのですが、やはり子どもと公園に行ったり、SNS含めて自分への批判がない環境に行くと、自分でも心が落ち着いて、リセットされる気分になります。

高橋秀人 公園
写真提供:高橋秀人選手

ーー子どもと遊ぶことがリフレッシュになっていると。

高橋)その点ではそうですね。子どもと遊ぶことで自分に懐いてくれることも嬉しいことです。公園ではサッカーやバドミントンをしたのですが、体を使って動くのが男の子は好きなので、一緒に動くと本当にリフレッシュになります。なので自分としても、自分の心を落ち着かせるため、という意味でも子どもと遊ぶことの重要性を感じています。

山田)5歳、3歳だと遊びたい盛りですよね。

高橋)帰るよと言っても帰ってくれなかったり、そこでの苦労もまたあるんですけれど。(笑)

山田)1歳の女の子はかわいいですか?

高橋)本当にかわいいですね。私にもすごい懐いてくれていて。抱っこすると幸せを感じます。

サッカー選手が育児にかける時間

ーーオフの日・練習がある日では育児に対してどのくらい時間を取れていますか?

高橋)オフの日は、午前か午後どちらかは公園に行って遊んでいます。先日は午前中公園に行って、午後は自分の治療のあと、夕食をつくったりしました。

試合の日は1日、アウェイだと1日半家族とは離れ離れになりますが、練習が午後からの日は朝の幼稚園のバス停まで送ったり、逆に午前練習の日は午後の幼稚園へのお迎えから習い事の送迎などを自分でやっています。

なので、試合の日の1日と練習の半日は仕事で育児はできないですが、一般的に見るとサッカー選手は育児に関われる時間は多い状況なのではないかなと思います。

ただ、積極的に参加している選手もいますし、子育てに関しては奥さんにある程度任せている、という選手もいるのが現状ですね。

私自身の話でいくと、昨年新型コロナウイルスに感染してしまって、ホテル等の状況により自分の部屋での隔離期間が4日間ありました。そのときには、家族にうつしていないか、まだ生後半年だった娘はPCR検査大変じゃないのか、など本当にいろいろと家族のことを心配しました。そこで自分の価値観が少し変わったのもあって、今年は昨年よりも意識が変わっているかなと思っています。今までは奥さんが大変そうだから子どもの面倒を見る、という感覚があったんですが、子どもと遊びに行くことはもちろんバスの送り迎えですらも、子どものためというより自分自身も一緒に楽しむという感覚が少しずつ芽生えてきています。

ーー3人お子さんがいらっしゃいますが、1人目より2人目、2人目より3人目と意識が変わってきた面もあるのでしょうか?

高橋)自分としては変わってるつもりはないのですが、奥さんからは「1人目のときはこんなに抱っこしなかったのに」と言われることはありますね。(笑)

山田)1人目から3人目で抱っこの頻度が変わるって面白いですよね。そのくらい意識が上がったり、うまくリズムがつかめたりしているような印象を受けました。

子育てがアスリートに与える影響とは?

ーーアスリートの方は、ご自身のコンディションなど体に気を遣われることが多いと思うのですが、子育てと体力面などについてはどう考えていらっしゃいますか?

高橋)睡眠については大事にしているので、寝室を別にしてもらったりなどしていました。あとは試合前は家族にも配慮をしてもらっていて、子どもを早くお風呂に入らせて寝かせるなどの工夫をしています。それでも気になる選手は試合前は前泊をしたりする人もいます。

山田)やはり私たちも育児用品を作っているので、たくさん子どもを出産していただきたいという想いではあるのですが、子どもと接する時間が増えれば増えるほど、子どもの関心もこちらにも向いてきますし、要望も増えてきます。それがパパママとしてもとても楽しい時間というように、意識的に捉えることができればすごくよい育児ができるのかなと思いますし、そのような考え方のご家族が増えればいいなと思っています。

ANDROSOPHY
©ANDROSOPHY

カッコよく見える抱っこ紐

ーーアスリートはイメージも大事にしている面もありますよね。

高橋)先日ANDROSOPHYさんの抱っこ紐を使用させていただきました。今まではどうしてもベビーカーを押すということでダサく見えてしまうのではないか、という思いも正直あったのですが、ANDROSOPHYさんは商品自体がすごくスタイリッシュで、洋服ともマッチしていて、非常に自然体で着用させていただきました。

今まで奥さんが使っている抱っこ紐を使うこともあったのですが、ANDROSOPHYさんのカーキ色の抱っこ紐を着用した自分の写真を見返していて、「お、全然かっこいいじゃん!」と思っていました。(笑)

山田)ありがとうございます。育児をせっかくするのであれば、イヤイヤではなくて、自分が欲しいものを自分で買いに行くくらいの気持ちで男性にも育児をやっていただきたいなと思っています。洋服であれば、自分に似合うものを自分で選んで買うはずなのに、育児用品はママに任せる、となるのではなく、パパも似合うものを選ぶような育児の世界を作っていけたらなと思います。そうすることでママも楽になるはずなので。そういう意味では、かっこいい育児用品ってなかなかないので、それをどうやって作るかを目指しています。

高橋)たしかに、1人目のときに「ベビーカーとか抱っこ紐、何色がいい?」と言われたときに、「なんでもいいよ」と答えてしまっていましたね。今思うと恥ずかしいです。

山田)それは私自身も同じです。(笑)

高橋秀人
写真提供:高橋秀人選手

アスリートの育児制度

ーー少し話題を変えましょう。現状、サッカークラブとして育児に関わる制度の部分などはどうなっているのでしょうか?

高橋)その点で言うと現在は何もないですね。私の場合、奥さんが公務員で産休育休の制度を使って、給料も何割かは担保していただけていますが、サッカー選手が育児休暇をとれるわけでもないですし、職業としてサッカー選手をやってしまうと、どうしてもそこはイーブンではないというか。制度自体、これから何か作ろうという発想すら私の耳には入ってきていない状態です。

ーー今まで感じたことなどはありますか?

高橋)たとえば外国籍の監督の場合は、自分の子どもが生まれそうですという時には、「練習休んですぐそっちに行けよ」と言ってくれますが、日本人の監督だと「練習終わってから駆けつけて」と言われたり、そこの温度差を感じたことはありましたね。

サッカー界全体における現在の動きとしては、スタジアムには子どもを預ける場所があるところが多く、スペースや人員が確保されるといろんな人がサッカーに関わることができるのかなと思います。

ーー女子サッカーのWEリーグもこの秋から開幕します。育児は男性も自然にするものだ、というお話のベースではありますが、女性の負荷が大きいのが現状かと思います。

高橋)女子サッカーだと岩清水選手が出産から復帰予定でいらっしゃいますよね。ジェフ千葉レディースの大滝麻未選手もご懐妊されて、「待ってます」というようなコメントがクラブから出ていました。WEリーグもプロ化される中でも女性としてなのか、育児としてなのか、権利を主張しやすい流れは少しずつ出来てきているのかなとは思っています。

山田)サッカー選手は一般の方よりも“育児休暇”という意味では取りにくい環境にいらっしゃるんですね、やはり。

高橋)そうですね。女子サッカーに関しても、今まで出産して復帰される、という方はあまりいらっしゃらなかったです。プロ化されていなかったこともあるのかもしれないですが、結婚や出産が一つの区切りとする考え方が多かったと思います。

ーーこれから女性アスリートの活躍はどんどん増えてくると思います。その中で、WEリーグを例にとると、育児をクラブがサポートする事例が出てくるのかなと思いますし、それがJリーグにも広がっていって、「じゃあ今日は僕が育児する日だから、練習場に連れていって仕事(練習)の間は子どもを預けて、終わったら連れて帰るよ」のようなことにもなっていけばいいのではないかと思いますね。

ーーvol.3へつづく

編集より

サッカー選手の日常は、なかなか外からは想像しづらい部分もあり、「練習時間が短いから時間はあるのでは?」と思うこともありました。

今回は高橋選手の事例について詳しくお伺いしました。個人差はもちろんあると思いますが、試合前の配慮や、練習時間による送り迎えの分担など、アスリートとしての部分(=仕事)と育児を奥様とお互いに尊重し、工夫を重ねているように感じました。

次回はANDROSOPHY製品についてより詳しく伺います!そのかっこいいデザイン性がかなり気に入っている様子の高橋選手ですが、改めてどのような感想が飛び出すのか、注目です!

 

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