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【見どころ紹介!】Session.2「社会的な活動はプレイヤーとしてのパフォーマンスアップに繋がるのか」

Sports for Social Summit 2021は終了いたしました。

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12月17日(金)~12月19日(日)にかけて行われる、スポーツ×社会貢献のオンラインイベント「Sports for Social Summit2021」。その見どころをセッション毎に紹介していきます!

Session.2は「社会的な活動はプレイヤーとしてのパフォーマンスアップに繋がるのか」。
登壇者の山田 大記さんとSports for Social 代表の山﨑が事前打ち合わせした際の様子をお伝えします。

プロサッカー選手は幸せじゃない?

山﨑)まずはじめに、今回のサミットでお話いただく「社会的な活動はプレイヤーとしてのパフォーマンスアップに繋がるのか」というテーマ。非常に興味深いタイトル設定だと感じました。一方で、どんな話になるのか?ゴールが想像できない部分もあります。

山田)前提部分をお伝えすると、まず、サッカー選手やプロアスリートは精神的に不安定になりやすい立場だと思っています。その理由として、1つは、競技に対する熱量が大きい分、結果が出なかった時のマイナスな感情というものも大きくなってしまうためです。それ自体が悪いことではありませんが、そういう傾向にあると思っています。
もう1つは、他者の評価が、サッカー選手にとって切っても切れないものだということです。監督であったり、サポーターであったり、特にこの時代は、SNSなどを通じて選手たちの目、耳に入ってきます。他者の評価に振り回されたり、その他者の評価が週末の試合の内容や結果によって180度変わったりもするため、不安定な感情に陥りやすい。
そんな不安定の中で、一生懸命ポジティブさを保ち、モチベーションを保ってプレーをしなくてはいけない立場ということを、プロ11年目を終えようとしている今感じていることです。

少しネガティブに聞こえてしまうかもしれませんが、そういった前提の中で多くのサッカー選手を見てきたり、自分自身を振り返ってみたときに、多分周りから見えているほどプロサッカー選手ってのは幸せじゃないなと思っています。
焦っていたり、落ち込んでいたり、カリカリしている選手がすごく多い。
それは先ほども少し話をした、競技に対してすごく大きな熱量を持っている・大きな目標を持っているからこそのものなので、そういったネガティブな感情もやりがいであったり幸せの一部かもしれないですけどね。
ただ、実際に「今、すごい幸せですか?」という質問を多くの選手にしたら、「今、本当に幸せです」とか、「順風満帆です」みたいな回答をする人はすごく少ないんだろうなって思っています。
これが、パフォーマンスアップのスタート地点になる前提というか、僕自身だけではなくて、周りの選手を見ていても感じている、Jリーガーのリアルなのかなと。

社会と繋がることで自分の存在意義を感じる

山﨑)なるほど。その前提の中で社会的な活動をすることは、アスリートにとってどんな意味や影響、それこそパフォーマンス向上に繋がるのでしょう。

山田)多くのサッカー選手は自分の存在意義を、他者からの評価を得ることで見出してきているし、今も見出そうとしているように思うんですね。
当然、プロになれている選手たちなので、育成年代では自分が1番だったり、多くの称賛を得たり、そういった経験をしてプロの世界に飛び込んできたはずです。しかしいざプロの世界に入ると、育成年代に比べて他者からの評価を得られないとか、自分が今まで1番輝いてきたサッカーというもので周囲から叩かれたり、罵倒されたりすることがある。それはすごくショッキングな出来事だと思うんですよ。

その中で社会的な活動というのは、一貫して他者と繋がりながら、自分の存在意義を感じられる活動になってくると思います。
当然、社会的な活動をしているアスリートは自分よりも他者のためにという想いで始めてはいると思うんですけど、僕個人としてはそういう活動をしてきた中で、自分自身も得ているものがあるなというところと、その空間が心理的な安心感だったり、自分の存在意義を感じる場になっているなと。
例えば、僕だったらジュビロの練習着を着て、小学校・施設に遊びに行ったりするのですが、別に直近の試合で負けていても、変わらずすごく喜んでくれます。
アスリートは、こういった社会的な活動をすることで、自分の影響力や存在意義みたいなものを感じやすい。サッカーの評価は週末の試合ごとに180°変わることもあるけど、社会的な活動を通しての評価というものであったり、周りに必要とされることは、一貫性があり、ブレがないので、評価や存在意義を感じることができる。それが自己肯定感みたいなものに繋がり、パフォーマンスの向上に繋がると思っています。

他者の評価から自分の価値基準へ

山﨑)安定した他者からの評価、それによる自己肯定感がプレイヤーとしてのパフォーマンスにも影響するということですね。

山田)はい。でも、それは個人的には、理想の状態ではないと思っていて。

山﨑)これが究極の状態ではないと?

山田)これはセッション中でも特に話をしたい部分ですが、少しだけ説明しておくと。
サッカーだけに振り回されている状態が多くのアスリートが陥っている状態だとしたら、それを打破するために、サッカー以外の社会的な活動を通して自分の存在意義を見出し、精神的に安定した状態をつくることはファーストステップとしては良いアプローチと思います。ただ、その次のステップは自分の価値基準みたいなものを内側に持ってくることが必要です。

ファーストステップっていうのは、まだまだ他者の評価を得るっていうことを目的にしていたり、自分の安心する材料にしている状態だと思うんですけど、最終的に辿り着くべきところは、自分の中にしっかりと、自分の人生観だったり価値観だったりというものがあって、そういった価値観を基準として行動をしたり、自分の行動を評価したり、他者の評価からどんどん離れていくことがアスリートとしては理想なのかなと思っています。
他者の評価から離れるためには、これまでのサッカーが上手ければちやほやされる、試合に勝つ、活躍すれば賞賛されるというコミュニティから少し距離を置く場面も必要だと思っています。その距離を置く場所は色々あると思いますが、勉強でもビジネスでも良くて。
その中でも、社会的な活動は、自分の人生観とか価値観というものを、大きく揺さぶられる機会ではあると思うので、「何のためにサッカーやってるんだっけ?」、「自分にしか出来ないことってなんだろう」とか、そういったことを考えることに繋がるなと思います。

山﨑)つまり、社会的な活動によって安定した他者の評価を得ること、存在意義を見出すことがファーストステップかもしれないが、そういった活動を通して本当に大切だと思うことや、自分がどう生きたいかを探すこと。今でいうところのwell-beingの実現に繋がる。そんなイメージですかね。

山田)そうですね。極論ですけど、ピッチで良いプレーをして喜んでもらうっていうのは、サッカー選手としては幸せなことですけど、本当に社会に対して価値を提供しているのは、もしかしたら良いプレーをすることよりも子供たちの未来に貢献することだったりするかもしれないなと。
社会的な活動を通して、自分の人生観や価値観というものを磨いていくことや、そういうプロセスを踏むことで、他者の評価に捉われない良い状態で競技に向かえるのではないかと思います。

山﨑)すごく共感できるテーマです。当日は、今日お話をした3ステップについて深ぼっていくイメージでよろしいですか?

山田)そうですね。だいぶ抽象的だったと思うので、より具体性をもって話ができればと思います。
「サッカー選手、実はあんまり幸せじゃないと思う」という前提から入り、それって他者の評価に捉われているからで、でもサッカーでの他者の評価はかなりアンコントローラブルで自分でどうにもできないよね。
でも、社会的な活動を通して得られる他者の評価だったり、自分の存在意義みたいなことは結構普遍的でコントロ―ルができる。そんな話ができたら良いなと思います。

1番伝えたいことは、他者の評価から離れ、自分の中に行動を決めるための価値基準を持つ事こそが生きる上でも大切だということ。
アスリートとして批判やネガティブな評価から影響を受けないで、ずっと自分が良い状態をつくれれば、幸せな状態でいられる、ピッチ上でのパフォーマンスも自然と良いメンタルコンディションで挑める。
この部分ですね。

山﨑)山田さんが話していることは、アスリートだけでなくビジネスパーソンにも共通することがあるなと感じました。アスリートと単純比較はできませんが、ビジネスパーソンも他者の評価を気にして、どうすれば認められるのかを考えて行動する人はたくさんいます。そういったプロセスで仕事をしてしまうと、自分のやりたいことや本質的なことを見失ってしまう。幸せな人生から遠ざかってしまう。
何の仕事をしているかは関係なく、人間として行き着く先はやっぱり価値基準を明確にすることだと思います。
とはいえ、人と人でできた社会なわけなので、一定の評価は気にしなくてはいけない。守破離じゃないですけど、基礎があって、色んなことを取り入れて、自分をみつける。
改めて勉強になる話でした。

山田)確かに守破離っぽいかもしれませんね。人間社会で生きる以上、他者の評価っていうのは絶対離しきれないので、一旦はそこには身を置きながら、ちょっと身を投じた先で型を破り、そして離れていく。最初から自分の道しか行きませんみたいな感じだと、社会の中に居ない状態になってしまうので、自分は自分、他人は他人ではいけないなと思います。

山﨑)今日の事前打ち合わせを経て当日ますます楽しみになりました。ありがとうございました。

プロサッカー選手は幸せじゃないという究極のメッセージからスタートした事前打ち合わせ。
それが意味するものは何なのか。
このセッションは、アスリートだけではなく、それぞれが自分の立場に置きかえて考えることができるテーマになっています。

多くの方の参加をお待ちしています。

チケットはこちらから
https://peatix.com/event/3083142/view

◆Session.2 概要
12月17日(金)18:00~18:45
タイトル「社会的な活動はプレイヤーとしてのパフォーマンスアップに繋がるのか」
登壇者:山田 大記(現役Jリーガー・ジュビロ磐田所属)

◇登壇者プロフィール
山田 大記 氏
Jリーグ・ジュビロ磐田所属の現役Jリーガー。元日本代表。

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