近年、各方面から注目度の高い『eスポーツ』。世界における大会の賞金額の大きさや、プレイヤー・観戦者の多さだけでなく、「どのようにeスポーツを楽しむか」など、その活用方法にも注目が集まっています。
eスポーツチーム『Rush Gaming』は、シューティングゲーム『Call of Duty(以下、CoD)』での世界大会への出場を経験した国内屈指のチームです。「このチームは“ギルド”のようなもの。メンバーそれぞれが個人で活動しても大丈夫なほどに力を持っている」と社長の西谷麗さんが話すほどに成熟したこのチームが感じる、eスポーツの可能性とはどのようなものなのでしょうか?
『Rush Gaming』をスポンサーとして支える、コンタクトレンズ通販サイト『レンズアップル』、見えるをデザインするオリジナルブランド『WAVE』を運営する株式会社パレンテさんとともにお話を伺いました。
取材対象
ハセシン
YouTube登録者81万人を誇る実況者、そしてRush Gaming総隊長としてチーム全体を率いるリーダー。さまざまなジャンルのゲームをプレイし、持ち前の明るさで大人気のプレイヤー。
GreedZz
YouTube登録者約20万人の人気ストリーマー。2014年頃からCall of Duty競技シーンで活動し、Call of Duty 日本大会、アジア大会優勝などCoD元日本代表リーダーとしても活躍。現在はストリーマー活動を主軸としながら、筋トレ好きとしてフィットネス活動、アパレルのインフルエンサー等としても活動中。
Gorou
2017年からCall of Dutyのesportsを開始し、初めて出場した大会でBest4入りを果たす。その後プロゲーミングチームSunSisterに所属し、第2回CoD:WWⅡプロ対抗戦に出場。CoD:BO4シーズンではRush Gaming所属のGPに代わり、Rush GamingのCoD部門に所属し、CoD:BOCWシーズンからはリーダーとしてチームを牽引。2023年9月にCoDプロ選手から格闘ゲーマーへ転身。
『Rush Gaming』が発信するウェルビーイング
ーーeスポーツチームとして、社会課題やウェルビーイングなどにも積極的に取り組んできたいと話す『Rush Gaming』さん。なぜそのような発信をされるのでしょうか?
ハセシン)僕たちが思うeスポーツに関する魅力の1つに、“若い世代に対しての影響力”が挙げられます。若者に対して、「これからの未来にはもっとできることが増えてくる」ということや「新しいチャレンジをすることはすごく素敵なことだ」というメッセージを送れることに大きな社会的意義を感じています。
eスポーツというと、お子さんが好きで、僕たちのような選手を目指したいという子もたくさんいてくれますが、「学業はちゃんとやれよ」というメッセージはよく発信していますね。学業にしっかり取り組むことで、“ここは絶対にやらなあかんという場面”で踏ん張ってできると思うんです。「逃げたくなる場面」って人間ならどこかで訪れるはずで、学業を耐え抜くことができているとそうしたときの頑張りのもう一押しに繋がるのではないかと思っています。
ーー学業に関することに関しては、大学生ながらeスポーツ選手として活躍していた時期もあるGreedZzさんも積極的な印象です。
GreedZz)ちょうど先日、「子どもがプロゲーマーになりたいと言っているのですが、どうしたらいいですか?」という質問がきて、僕はそこで「勉強は大前提としてやらせるべき。勉強ができた上でなら、ゲーム活動を好きなようにしていいのではないか?」と答えました。
やはり、僕たちの配信などの活動を見ると、「プロになってゲームの世界で生きていきたい」と思う子も多いです。しかし、ほかのスポーツ選手と同様に誰でも簡単になれるわけではないですし、それ相応の覚悟と熱意が必要です。夢を見ることは大事にしつつ、現実も見ながらいいバランスで伝えられるようには意識しています。
ゲームが好きだからこそ、勉強も頑張れる
ーーeスポーツ選手は、皆さんの親世代の人にとっても新たに出会う職業だったと思います。どのように説明されたのでしょうか?
ハセシン)僕は、2011年からYouTubeで活動し始めて、7年ほどは親に隠れて配信者をやっていました(笑)。大学生のときに、5歳上の兄と相談した上で、「就職するのではなく、この活動で頑張ってみたい」と打ち明けました。それまでの時点の数字などもデータ化し、いわゆるプレゼンのような形で話しましたね。親も受け入れてくれて、目指す数字を出すために頑張ってみなさいと言ってくれました。言うときには本当に緊張しましたね(笑)。
Gorou)僕の場合は、小学生から中学1年生までは、家庭の方針でゲームは1日30分までしかやってはいけないという決まりがあったんです。学業面をしっかり頑張って、「これだけ成績も出てるから、ゲームをやらせてほしい」と親を説得しました。“ゲーム”というものに対してそれ以降理解もしてくれるようになり、19歳のときにプロチームへの所属の話が来た時にも、「自分で頑張ってみたら」と背中を押してくれました。
ーー学業の部分にも力を入れていたのですね。
Gorou)ハセシンさん、GreedZzさんからもありましたが、ちゃんと勉強をした方がいいということは僕も思いますし、学業で成績をしっかり出すことが、好きなことにもっと時間を割いてチャレンジするための説得材料にもなると実感しています。「大好きなゲームをやるために、勉強も頑張らなければならない」というように、逆に勉強へのハードルも下がるのではないかと思っています!
学校にいけない子どもたちにとってのeスポーツ
ーーeスポーツのこれからの可能性の1つとして、競技としてだけではない価値の部分もあるのではないかと思います。なかでも、Gorouさんが講師となるBranch(発達障がいのある子や不登校の子のためのオンラインサービス)について、どのような活動か教えてください。
Gorou)学校に行けなくなってしまった小・中学生に、好きなことを通して、人間関係などを育むサービスの中で、『Call of Duty』などのゲームを一緒にプレイしています。子どもたち側からゲームをしたいという声が上がり、僕のところに打診がきて協力することになりました。
ーーこうした活動の打診がきたとき、Gorouさんはどのような印象を持たれましたか?
Gorou)正直、年齢が離れた小さい子を相手するのが得意なタイプではないんです。「大丈夫かな」という気持ちもありながらですが、「好きなゲームを通じて誰かに貢献できるならやってみたい!」と思ってチャレンジしました。
苦手と思っていた子どもたちとの交流も、自分が思っていた以上に普通でした。やはり、“同じものを好き”という共通点があることで、年齢関係なく楽しめましたね。プロとしてやるゲームとは違い、純粋に子どもたちとゲームを楽しむ機会にもなって自分にもプラスになっています。
ーーGorouさんにとっても、eスポーツの持つ価値を実感する場になっているのですね!子どもたちの元気にもすごくいい影響がありそうです。
Gorou)この活動がきっかけで、Rush Gamingのオフラインイベントに来てくれた子もいました。もとは不登校などの悩みを抱える子だったかもしれないけれど、ゲームがきっかけとなって、外の世界でも活動の幅が広がっていることを実感できてとても嬉しかったことを覚えています。
GreedZz)昔からチームメイトとして一緒にやってきたGorouですが、加入当初から比べると協調性の部分などはすごく成長したのではないかと感じています。チームでの活動の中で身についたものが、外でも活かされているのはチームメイトとしても嬉しいですね。
ーーこれからのeスポーツの広がりに注目ですね!ありがとうございました!
パレンテがスポンサードする理由
コンタクトレンズの通販サイト『レンズアップル』、見えるをデザインするブランド『WAVE』を展開する株式会社パレンテ(以下、パレンテ)は、2022年より『Rush Gaming』のスポンサーとして活動しています。
バスケットボール・Bリーグの千葉ジェッツ、プロサッカークラブ ヴィッセル神戸のスポンサーもするパレンテは、「スポーツを活用した“共感”づくりや、レンズアップルを選ぶ理由づくりを考えると、eスポーツでも同じようなことができるのでは?(スポンサー担当:高野澤さん)」と考え、『Rush Gaming』と取り組みを始めました。
1日8時間練習する日があるなど、目を酷使するeスポーツにおいてそのケアの重要性は非常に高い。その健康を守るための独自のアイマスクの開発、eスポーツプレイ時にも使いやすい眼鏡の開発など、eスポーツの特性を消費者の悩み解決に活かすその取り組みは、日々新しい発見を与えてくれます。
「蓋を開けてみたら、ゲーム好きのメンバーが意外に多かった(パレンテ 吉田社長)」と言うように、社内でも人気のeスポーツ。社内ゲーム大会や、有志でのRush Gamingの試合応援など、新しい世界に会社としても踏み出しています。
『Call of Duty』の2on2大会もレンズアップル協賛で開催し、総勢70チームがエントリー!
「ゲームの世界で活躍したいと思う子どもたちに対して、目標や活躍できる場所を提供するためにも、こうした活動は増やしていきたい(Rush Gaming 西谷社長)」
「もっとシナジーを高め、熱量のある場所を生み出していきたい(パレンテ 高野澤さん)」
と語る両社の今後の活動に期待です!