「スマートモビリティ」とは交通や移動をより安全で効率的にする新しいテクノロジーの総称のことです。カーナビやカーシェアリング、自動運転車などが例として挙げられます。今回は、スマートモビリティについて日本における取り組みやメリットに触れながら解説していきます。
スマートモビリティとは
スマートモビリティとはAIなどのテクノロジーを用いて、従来の交通や移動をより良くしていくための新たな技術や概念のことです。具体的な例としてはカーシェアリングや自動運転技術、MaaS(Mobility as a Service)などがあります。
人々の移動や交通をより安全で効率の良いものにするとともに、大気汚染や交通渋滞などの問題を解決できるという点が「スマート」であると言えます。スマートモビリティは交通に関わる幅広い課題を解決することができるのです。
スマートモビリティのメリット
交通渋滞の緩和
冒頭でも紹介したMaaSはルートや乗り換えなどの交通情報の検索やチケット予約、支払いまでをワンストップで行うことができます。MaaSであれば別のサイトにアクセスする手間を省くことができます。よって、公共交通機関を利用しやすくなり交通渋滞の緩和に繋がるのです。
安全性の確保・向上
代表的な例としてADAS(先進運転支援システム)があります。ADASとは「死角」などの見えない危険をドライバーに警告することで安全を守る機能です。車の動きの制御や緊急時の急ブレーキなどを人間よりも早く反応し行うため、交通事故の発生を抑えることができます。
経済的損失の軽減
交通事故の発生による賠償金や治療費、警察の裁判費用、渋滞などによる公的機関の費用など、交通には様々な金銭的負担が存在します。しかし、スマートモビリティがあることで渋滞の緩和や交通事故発生が抑制されると、金銭面の負担軽減にも繋がります。
環境汚染の抑制
スマートモビリティによって公共交通機関の利用が増え自家用車の利用が減少すると、排気ガスの抑制に繋がります。また、電気自動車や燃料電池車といったゼロエミッション車の普及による環境政策も期待されています。
日本におけるスマートモビリティ
スマートモビリティチャレンジ
スマートモビリティチャレンジとは経済産業省と国土交通省によるプロジェクトで、新たなモビリティサービスの実現と地域課題の解決を目指し、地域と企業の協働を促すことを目的としています。2020年にはこのプロジェクトの実証地域として全国52地域が選定されており、今後の動きにより注目が集まっています。
▶スマートモビリティチャレンジとは | SmartMobility Challenge
国内企業の事例
トヨタ自動車
自動車メーカーであるトヨタはスマートモビリティ社会の実現に力をいれている企業の一つです。「協調型ITS」は交通事故の減少に役立つ機能で、車間距離を測定し自動的に減速する機能が例としてあります。他にも、新たなカーナビシステム「次世代テレマティウス」や「ワンマイルモビリティ」など様々な取り組みがあります。
パーク24株式会社 「タイムズカー(カーシェアリング)」
カーシェアリングとはスマホのアプリで車両の貸し借りの手続きを行うことができ、都市に多い駐車場不足問題の解決に役立ちます。また、タイムズカーはトヨタと連携し借りた場所への返却(ラウンド方式)と乗り捨て可能(ワンウェイ方式)の両方に取り組んでいます。
スマートモビリティの今後
紹介した事例のほかにも、国内カメラ大手のキヤノンは2020年までに車間距離測定などでの活用を視野にいれた100万画素SPADイメージセンサーを開発しています。この他にも自動運転領域の様々な取り組みを行っており、スマートモビリティに参入している企業は増えているのです。
フィンランドのヘルシンキは2025年までに「自動車がいらない社会」を目指してMaaSアプリの運用やライドシェアリングに取り組んでいます。他にも韓国やスペインなどもスマートモビリティに取り組んでおり、世界でもスマートモビリティは広がっていると言えます。
より安全で効率の良い交通が求められることで、スマートモビリティのニーズはより高まっていくことが予想されます。
今後のスマートモビリティの進化に注目です。