3分解説

【じっくり解説】コーチングとは?その意味をわかりやすく解説!

『コーチング』とは、対話を通じて相手の内面にある答えを引き出す関わり方で、自ら考えて行動する人を育てるためのコミュニケーションスキルです。子育てや学校教育、またビジネスでの人材開発スキルとして注目されています。今回は、コーチングについてティーチングやカウンセリングとの違い、基本的なコーチングスキルなどのほかに、コーチングによりキャリアアップする方法についてもまとめてご紹介します。

コーチングとは

コーチングとは、自ら考えて行動する人を育てるためのコミュニケーションスキルです。適切なコーチングを受けた人は、モチベーションの高い目的や目標を発見したり、行動する時の指針が明確になったり、課題の解決方法がわかったりすることで、組織や個人の目標達成や自己実現に向けて自分らしく進んでいくことができるようになります。

現在の日本では、自分で自分の人生を切り開いていく「自律」や、課題に対して主体的に行動する「主体性」のある人材育成が求められており、家庭や学校ではコーチングを取り入れた子育てや学校教育、また会社ではコーチング型マネジメントが取り入れられています。

コーチング1

コーチングは、馬車を意味する英語の「Coach」が語源です。馬車が乗客をその人が望む場所へ送り届けるように、コーチングも相手(コーチングを受ける人など)が望むその人ならではの目標へ連れていくという意味が含まれています。そして大切なことは、相手を無理矢理に引っ張って連れていくのではなく、本人の主体性を尊重する関係性やコミュニケーションで連れていくことです。ここがほかの対人支援とは大きく違うコーチングの特徴です。

コーチングとティーチングの違い

コーチングとティーチングには関係性やコミュニケーションの方向に違いがあります。ティーチングは、知識やスキルを知っている人が知らない人に教える関わり方で、基本的には上下関係になります。またそのコミュニケーションは、立場が上の人が下に人に教える(教えてあげる)一方通行なコミュニケーションなりがちです。

一方でコーチングは、上下関係ではなくヨコの関係が基本となります。相手のヨコに立ち、寄り添いながら、対等な立場での双方向のコミュニケーションによって、相手から気づきやヒント(時には答えそのもの)を引き出す関わり方です。

コーチングとカウンセリングの違い

コーチングとカウンセリングには目的やアプローチの観点に違いがあります。カウンセリングは相手の悩みや不安などを解消すること(マイナスをゼロにすること)が目的です。ヨコの関係で寄り添いながらより良くなる方向へ導くことはコーチングと共通していますが、主に扱うコミュニケーションの内容は過去の話題であり、過去の自分と向き合うことを促すアプローチをとります。

一方でコーチングは、目標を定めその目標を達成する過程で自己成長を促すことが目的です。コミュニケーションの内容において過去の話題も扱いますが、目指すところは未来にあり、目的志向や未来志向を促すアプローチとなります。

コーチングに必要な3つの基本スキル

コーチングにはいくつかのスキルがありますが、その中でも基本となる傾聴、承認、質問の3つのスキルについて解説します。

傾聴スキル

傾聴スキルとは、相手のことを深く理解するためにしっかりと話を聴く技術です。相手が話している言葉だけでなく、仕草や表情、また声色や抑揚の変化なども観察するため、積極的傾聴(アクティブリスニング)とも言われます。また話を聞きながら、出来事の内容だけではなく、その時に相手がどう感じ、どう考えていたのかの感情面や思考面についても注目し、よりその場面の感情や思考を想起できるように話を聴くことが大切です。

承認スキル

承認スキルとは、成果だけでなく相手の変化や成長、また努力したことなどのプロセスについて相手に伝える技術です。そして、「Aさんがいてくれると、安心して取り組めるよ」のように存在そのものについても感謝の気持ちや貢献感を伝えることも大切です。このような関わりにより相手の自己肯定感が高まることで、自律や主体性が育まれていきます。

質問スキル

質問スキルとは、相手の思考を促すことで成長するための気づきを与える技術です。話を深掘りする質問や、話を広く展開する質問、話を集約する質問などその種類は数多くあります。またコーチングでは、「最近仕事は楽しい?楽しくない?」の二者択一のクローズドクエスチョンよりも、「最近仕事はどう?」のように相手が自由に回答できるオープンクエスチョンをとることを推奨しています。ただし、質問をしすぎたり、難しい質問をすると相手が回答に悩んでしまいコーチングが止まる懸念があるため注意が必要です。

コーチングに必要な3つのあり方

コーチングが機能するためにはスキルだけでなく、コーチングをする人がどんな態度や信念で相手に接するのかそのあり方も大切です。

「人生の主人公」として相手を見る

人は本来、誰もが人生の主人公です。自分で自分の人生の舵を握り、自分で行く先を決め自分らしく進むことができます。コーチングをするタイミングや、相手の状況によってはそのように見えない時もあるかもしれませんが、それは例外です。本来は主人公であることを肝に置いて相手に関わりましょう。

「相手の関心」に関心をもつ

コーチングで相手の話を聴く時の態度として、相手の関心に関心を向けることが大切です。相手が話している時の表情や仕草などの非言語を気にしすぎたり、次の質問をどうしようか考えたりしている時には関心が相手の関心に向いていません。意識の矢印を常に相手の関心に置き、「相手は何を大切にしたいんだろう」と興味を持ちながら話を聴きましょう。

「体験から学び、この瞬間から成長できる」と信じる

たとえ今がどんな状況であれ、また過去にどんな体験をしてきたとしても、必ず今この瞬間から成長できると信じて、コーチは相手に関わることが大切です。スキルが優れたコーチが結果を出せるコーチではありません。スキルは大切ですが、相手のことを本気で信じて関わるコーチの存在そのものが、相手の行動変容に繋がります。

コーチング2

コーチングを取り入れるメリット

コーチングは、個人だけではなく組織に対しても効果があります。ここでは、コーチングを受けることによる3つのメリットについて解説します。

行動が主体的になる

コーチングは、相手の主体性を育てる効果があります。相手の主体性を軸に目標達成に向けて行動し、その途中で過程や結果を振り返ることで気づきを得て行動を改善していきます。この一連のサイクルを通して自己成長が促され、主体的な行動が身についていきます。

たとえば、目標を達成できなかった場合でも、過程を振り返ることで成長できたことや新たな伸びしろに気づくことができます。そして、気づいたことを次に活かすことで目標達成の可能性や自己成長が高まり、主体性も養われていく好循環が生まれます。

信頼関係の構築

上司と部下のように役職上どうしても上下関係になりがちな関係性でも、信頼関係を築きやすくなることはコーチングのメリットです。上司からの指示は一般的にはティーチングが多く、部下は上司の指示に従って盲目的に業務を行いがちです。

しかしコーチング的な関わり方を上司が取り入れることで部下は自分の意見を伝えやすくなり、一方通行だったコミュニケーションが双方向へと変わります。これにより率直に話し合えるようになり、お互いの理解がさらに深まることで信頼関係が築きやすくなります。

総生産性の向上

コーチングを組織に取り入れることで、総生産性が高まります。総生産性が低い状態が続いている時に組織の中で起こっていることとして、低いモチベーションの中での長時間残業や成長の仕組みがない組織環境が考えられます。

コーチングを取り入れることで、本当にやりたいことが別にあると気づき離職する人も出るかもしれませんが、それ以上にモチベーションが高まり成長を促すコミュニケーションや仕組みが組織に浸透することで、中長期的な総生産性の向上が期待できます。

コーチングを取り入れる際の注意点

コーチングにはメリットもたくさんありますが、取り入れる時に注意しておいた方がよい点もあります。あらかじめ注意点を知っておくことで、実践でコーチングが機能しやすくなりますので、ここでは注意点を3つご紹介します。

コーチのスキルや相性で効果が変わる

コーチングには専門的なスキルが必要となるため、コーチングをする人(コーチ)のスキルによって効果が変わることに注意が必要です。また、コーチングには流派がいくつもあり、流派によって関わり方も変わります。そのため、どのような関わり方で、どんな効果を出すためにコーチングを受けたいのかを明確にした上で、適切なコーチを探すことが大切です。

コーチングを継続的に受ける場合は、まず最初に1回のお試しコーチングなどで依頼し、お願いしたいコーチとの相性やコーチングの関わり方が自分に合うかどうかを確認してみるのがよいでしょう。

一度に多くの対象者にアプローチできない

コーチングはコーチと相手のマンツーマンの個別アプローチが基本のため、集合研修では実施しづらいという注意点があります。ただし、流派によってはグループコーチングを得意としているところもあり、一概にコーチングは集合研修ではできないというものでもありません。

グループコーチングを実施するためには、コーチにはコーチングスキルのほかにファシリテーションスキルも必要となりますので、依頼をする際には両方のスキルを兼ね備えているか確認するとよいでしょう。

短期間では効果がわかりにくい

コーチングは、短期間で効果が出るとは限らないという注意点があります。コーチングで大切にしたいことは、目標に向かう過程の中で成長(相手の主体性の育成)にもフォーカスすることです。そのため、短期間だけを見た場合には、相手本人の中では主体性や成長に変化を感じている場合でも、側から見ると感じられないケースもあります

主体性と即効性は基本的にはトレードオフの関係になりますので、コーチングを取り入れて人材育成をする場合にどのくらいの期間をかけるのかを明確にしておくとよいでしょう。

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コーチングが向いているシーン

コーチングのメリットや注意点を踏まえて、ここではコーチングが向いているビジネスシーンの3つとりあげて説明します。

業務量がそこまで多くないのに、残業が減らない

業務量が少ないにも関わらず、残業時間が一向に減らない場合があります。このようなケースで考えられるのは、残業時間があることによるメリットの獲得です。人は行動や感情に無意識でメリットを反映させている場合があります。残業時間が減らない場合のメリットとして一般的には残業代が考えられますが、人との繋がりや貢献感を感じていたいなどのほかのメリットが反映されていることも考えられます。

このようなケースでは、残業することをいきなり否定するのではなく、残業時間の中で特にやりがいを感じる時などの話を傾聴、承認、質問することで、相手自身が感情の裏側にある価値観(自分が大切にしたいこと)に気づく関わり方が大切です。仮に相手が貢献感を大切にしたいのであれば、残業以外でその貢献感を満たす行動を一緒に考えてあげましょう。

必要な業務知識はあるのに、業務が円滑に進まない

OJTやこれまでの業務経験を通じて必要な業務知識を習得しているにも関わらず、業務が円滑に進まない場合があります。このようなケースで考えられるのは、何らかの理由によるモチベーションの低下です。

コーチングを通して、業務の目的などを再発見することでモチベーションを上げることや、モチベーションが低下している原因を明確にして取り除くことでモチベーションを取り戻すことが大切です。

会議でいつも同じ人が発言してばかり

このようなケースの多くの場合、心理的安全性を確保することが大切です。この時にはコーチングスキルの中でも承認スキルを活用しましょう。承認スキルを使う場合には、何に対して承認するのか、どのように承認するのかを明確にするとよいでしょう。

心理的安全性を確保することで考えると、たとえば、発言の内容に対して承認するのではなく、発言してくれたことに対して承認することが考えられます。また承認の方法も、ただ拍手をするというだけではなく、笑顔で目を合わせたり、「発言してくれてありがとう」とコメントするなど工夫するとよいでしょう。

コーチングによるキャリアアップ

コーチングでキャリアアップを考える場合には、「仕事でコーチングを活かすケース」と「プロコーチとして生計を立てるケース」の2通りが考えられます。ここでは、それぞれのケース別に役立つコーチング機関や発行資格について紹介します。

仕事でコーチングを活かす

【1】コーチ・エィ アカデミア/(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格
コーチ・エィ・アカデミアの(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格とは、仕事やマネジメントで活用できる資格です。「コーチング型マネージャー」として資格を取得することができ、認定コーチ、認定プロフェッショナルコーチ、認定マスターコーチの3つのレベルに分かれています。

【2】現場変革リーダー養成コース/平本式講師認定資格
現場変革リーダー養成コースとは、リーダーに求められる5つのコミュニケーションスキルとして、コーチング、カウンセリング、アサーション、プレゼンテーション、ファシリテーションを学べるコースです。知識を学ぶだけでなく3ヶ月間の中で実際に現場を変えることを目的としており、インプットとアウトプットを両立できる実践者を育成しています。

プロコーチとして生計を立てる

【1】プロコーチ養成スクール/プロコーチ養成スクール認定コーチ
(株)アナザーヒストリーのプロコーチ養成スクールでは、アドラー心理学の理論と哲学をベースに、自分軸の発見、目標の達成、課題の解決という各領域について、「思考」「五感・感情(身体知)」「アクション」で解決するスキルと資格を得られます。エッセンシャルクラス(初級)、プロコーチ養成スクール(中級)、アドバンスクラス(上級)の3つのレベルに分かれています。

【2】国際コーチ連盟(ICF)
国際コーチ連盟(ICFは、1995年にアメリカで設立されたコーチング業界最大級の非営利団体です。国際コーチ連盟の資格は歴史があるうえ、国際基準で評価されています。ACC(アソシエイト・サーティファイド・コーチ)、PCC(プロフェッショナル・サーティファイド・コーチ)、MCC(マスター認定コーチ)の3つのレベルに分けられています。

編集部より

『コーチング』を機能させるためには、相手に本音で話してもらうことが前提です。だから「あり方」と「スキル」の2つがとても大切。どれだけスキルが卓越していたとしても、他人を下に見たり、他人を自分の思い通りにコントロールしようとする人には、本音で話したいとは思わないですもんね。

2020年頃から日本では第3次コーチングブームが訪れ、いろいろな流派のコーチングスクールやコーチが誕生しています。ひょっとしたら、今これを読んでいるあなたも、学んでみたいと思っているかもしれませんね。どこで誰から学ぶとしても、「あり方」と「スキル」は2つで1つ。コミュニケーション系の技術はその場限りではなく一生の財産になるので、ぜひ自分の考えや価値観にあうスクールや人を見つけて、『コーチング』を学んでみませんか。

井筒陸也
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