毎週土曜の朝8時、世界各地の公園で parkrun(パークラン)というイベントが行われているのをご存知ですか?
決められたコースを5km、速く走ってもゆっくりでも、歩いてもベビーカーを押してもいい。それぞれの方法で完走を達成するその魅力的なイベントは、イギリスで始まり世界中に広がっています。
パークランは世界のどこでも『土曜の8時、5km』と決まっていて、各地でボランティアの方々に支えられて成り立っています。
東京都練馬区・光が丘公園でパークランのイベントディレクターを務める小林將人さん(以下、小林) にお話を伺い、同時に筆者もパークランを体験してきました!
パークランとの出会い
ーーパークランに出会う前から、元々走ることやランニングがお好きだったのですか?
小林)そうですね。40 歳を過ぎてから街歩き、登山、家庭菜園と、健康を意識した趣味が増えていきました。
山歩きのスキルアップとして走ることを始め、50 歳にして初めてマラソン大会に出てみたら陸上競技人口の多さとスポーツマンシップに溢れた人たちの爽快さをとても感じました。
ーー小林さんは地元のお祭りなどでもご活躍されているそうですね。
小林)50 歳手前で、娘の活躍する晴れ姿を見たくて付き添いで練習会場に行ったら、自分の方が祭りの楽しさに気づきました。積極的に人と交わることの意義や地元への貢献などということを意識したきっかけになりましたね。 気がつけば、私の住む練馬区のイベント、照姫まつりと練馬まつりに関わるようになり、会社と家との往復以外に新たな居場所や価値観が生まれました。
ーー走ること、地域への貢献、どちらもパークランに通ずる要素ですね!パークランとの出会いはどのようなものだったんでしょうか?
小林)2019年二子玉川において、日本で初めてパークランが開催されました。その初上陸の宣伝動画をたまたまを見て興味を持ち、地元練馬区のもうひとつの名物イベントにしたい!と思いすぐに動き出しました。
パークランってどんなもの?
ーーパークランは毎週土曜朝8時、5km とすごくわかりやすいシステムですよね。
小林)パークランは2004年にイギリスの公園から始まり、その仕組みが現在23か国、 2,200か所以上の公園や広場などに拡がっていった無料の健康増進イベントです。日本では2年半前に上陸し、現在27か所にまでに開催場所が増えています。公園内に定めたコースで、どなたでも参加可能(※4歳以上で11歳まではひとりずつに保護者と参加のこと)で自分のペースで歩いたり走ったりできるというのがいいところですね。また、原則開催の毎週土曜日の朝8時からスタートと決まっているので、開催有無の確認や予約の概念が無くなります。
ーー毎週必ずやっている!というのは安心感がありますね。参加の方の中には、結構本格的なランナーの方からウォーキングされるお年寄り、お子さんまでさまざまな方がいらっしゃいますよね。
小林)厳密な競技会レースではありませんが、ひとりひとりのタイムが計測され、その記録はホームページで過去にさかのぼって蓄積されていきます。本格的なランナーさんも、そうした点で積極的に参加されています。そうでない方も、毎回タイムがホームページ上に表示され、過去の記録が増えていくとモチベーションアップにつながりますよね。
ーーたしかに、私も少しずつタイムが上がってきました。(笑)自分の健康状態を測る上でもいい指標になっています。
ボランティアの応援力
小林)もうひとつ重要なことは、無料で参加できることです。これはボランティアの協力によって実現しています。
ーーボランティアの方々は大変ではないのですか?
小林)全世界で行われているイベントなので、オペレーションもかなり容易になるように進化しています。そのおかげでボランティアの内容はそう難しくはありません。光が丘公園パークランでは、20名ほどの方がボランティアとしており、毎週その中から8名ほどで運営しています。
ーーボランティアとして参加するにはどうすればいいのですか?
小林)最初はまず歩きや走りで参加してみて、ボランティアスタッフに声掛けしていただければ誰でもできます! ボランティアをすることは、とても素晴らしい人生の第一歩になると思っています。誰かを喜ばせる、奉仕する心は、実は自分自身にも返ってきて、代えがたい喜びにつながることを私自身すごく実感しています。
ーー走っていても、ボランティアの方の応援が身に沁みます。1 人で健康維持やトレーニングとして走るより、応援してもらえることでの充実感は大きいですね。
これからのパークラン
ーーパークランが参加者、ボランティアの方たちにもたらすものは何でしょうか?
小林)まずは健康増進というところですね。個人で走る方はたくさんいますが、多くの人は長続きしなかったりします。パークランでは仲間がいる、毎週土曜8時には必ず開催される。これは長続きさせる大きな要因になると思います。また、毎週のこの活動は地域にとっての財産にもなります。地域で緩やかながら立派なコミュニティとなり、顔の見えるコミュニケーションという意味でも、5 kmの運動の機会を楽しんでもらうイベントは魅力的なものになり得ます。
ーーparkrun touristという、海外を回る方もいらっしゃるそうですね!
小林)現在はコロナ禍で叶いませんが、各国のパークランを巡る愛好者がいます。そうでなくても海外出張や海外旅行の滞在中に土曜の朝はいつも通りパークランに行きたいニーズがあります。国際交流という意味でも格好の場になってくれたらいいですね。 このような楽しみ方の副産物が、今後、私の世代には思いもつかない、ぜひ若い世代の方々が来ることによって生まれることを期待しています。
ーーありがとうございました!
編集より
土曜日朝の光が丘公園、本当に多くの方が集まっていました!コロナ禍で開催できない時期もありながら、やっと再会できたパークラン。多くの方が、仲間で集まって歩くことや走ることを楽しんでいました。 私自身もなまった体に鞭を打ってのランニング。チェックポイントのたびに、「がんばってください!」 と言ってくれるボランティアの方々。『応援される』ということがこんなにもパワーになるのか!と実感しました。
全国各地で行われているパークラン。皆さんも参加してみませんか?