スポーツ

【シャレン!ジェフユナイテッド市原・千葉】ホームスタジアムの玄関口を「地域共生社会」の入り口に

Sports for Socialでは、2021年「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJクラブの「想い」を取り上げます。ジェフユナイテッド市原・千葉は、社会福祉法人オリーブの樹の皆さんと、ホームスタジアム周辺の除草作業を実施しました。

「クラブの活動と障がい者の就労機会に結びつけることはできないか」「障がい者と共生する社会を感じて欲しい」本活動の背景を、社会連携活動グループの高橋様にお話を伺います。

はじまりは特別支援学校の先生の「クラブと何か一緒にやりたい」の声

ーー今回のシャレン!活動「地域共生事業 蘇我スポーツ公園除草作業」を実施するに至った経緯を教えてください。

高橋)私は今年2月から社会連携活動グループの担当になりましたが、ジェフユナイテッド市原・千葉は2020年の4月からホームスタジアムであるフクダ電子アリーナを含む、千葉市蘇我スポーツ公園の指定管理者として運営を行なっており、昨年はその担当をしておりました。

ジェフでは、毎年千葉県の学校の先生を「長期研修生(企業等派遣研修)」として4ヶ月間受け入れているのですが、昨年の研修生だった特別支援学校の先生から「障がい者の報酬の得られる就労をクラブと一緒に作っていきたい」という話をいただいたのが新たな取り組みのきっかけでした。

しかし、当時のクラブにはすぐに一緒にできる取り組みがありませんでした。そこで、当時の社会連携活動グループのマネージャーから、指定管理の担当だった私のところへ相談が来ました。

「スタジアムならいっぱい仕事がある。最初は椅子拭きなどのスタンド清掃が障がいを持った方でも取り組みやすいのではないか」と考えていたのですが、スタンド清掃は天候や日程変更に左右されやすいので、定期的に行う取り組みとしてフィットしづらいと感じました。

そのような中で、スタジアム周りの樹木の除草作業の一部分だけ業者に発注されていない箇所があり、市役所から別途委託費を出すのでそこの除草作業を指定管理でやってほしいという話が出たのです。

この話を聞いた時に「これはいける!」と思って、「その仕事を我々にください」と伝えました。

ーー話が一気に繋がったのですね!

高橋)この除草作業の仕事の良いところは、10月末までという期限は決まっていて、その期限までに作業を終えることができれば、一日2時間ずつでも、一日中かけて一気にでも、自分たちのペースでやっていいというところです。障がいを持った方々にとっては、とても仕事をしやすいものでした。

研修に来ていた特別支援学校の先生が千葉県就労支援センターの方につないでくれて、この話をしたところ、「ぜひやりましょう!」とお返事いただき、ジェフと指定管理者と社会福祉法人オリーブの樹と三者で今回の取り組みを始めることになりました。

ーーこの除草作業の取り組みを通じて、感じられた変化はありますか?

高橋)最初は凄く大きなテーマだなと思ったのですが、きっかけがあったり、今回は指定管理者でしたが、他社が加わることで、できることがあっさり見つかったということに気が付きました。

今回フクダ電子アリーナの玄関口の除草作業を行ったことで、広くサポーターに障がいを持った方々の取り組みや就労の可能性を知ってもらえたことがとてもよかったです。

この活動を広く知ってもらうことができれば、同じような仕事を、自分たちも障害者の方々にお願いすることができると思ってもらうことができるようになると思います。それが障害者の就労仕事に繋がっていくと考えています。

オリーブの樹特製クッキーのスタジアム販売も大反響

ーーホームスタジアムの入り口で行うことで、単なる作業場所ではなく、取り組みを知ってもらう発信源となったのですね。

高橋)また、その直後のホームゲームで社会福祉法人オリーブの樹の方々が作ったクッキーやTシャツを一緒に販売したのですが、ほぼ完売になりました。

それは、皆で使うスタジアムを一生懸命清掃してくれたというのが、サポーターの皆様にも伝わったからだと思っています。

ーー選手の皆さんの反応はどうでしたか?

高橋)選手ももちろん参加してくれましたし、楽しそうに取り組んでくれました。

取り組みの中で、選手も感じることもあったようで、本村武揚選手は「僕たちがプレーするフクアリの裏側で、このように 仕事をして支えてくれている人がいる事を知れてよかったです。今まで以上に良いプレーを見せて、みなさんと一緒に喜びを感じ合いたいと強く思いました。」というコメントしていました。

「良い機会になりました」や「一緒にやれて良かったです」といったよくあるコメントではなく、選手の口からプレーしているスタジアムを綺麗にしてくれたことを「感謝したい」というコメントが出てきたことは、とてもよかったと思っています。

ーー支えてもらっているというのが責任感に繋がり、そこに留まらず、スタジアム販売などにも派生している、素敵な取り組みですね。

高橋)ジェフの色をモチーフに作ったクッキーを、当日VIPルームにも販売しに行ったのですが、あっという間に売り切れて、「もうないの?」「持ってきてくれたらもっと買ったのに」と言われてしまいました。

今回の活動をサポーターに留まらず、クラブをサポートしてくださっている企業様にも伝わったのは良かったですね。

クラブの取り組みを通じて、障がい者の社会参加を広げていく

ーー千葉県就労支援センターやオリーブの樹の方々の反応はいかがでしたか?

高橋)選手と一緒に出来たのはとても良かったですし、こういう取り組みを知ってもらえたのも良かったと言っていました。

この活動を行う際に、ハンディキャップのある人たちが仕事をしても、お給料をもらうのが大変だということが課題として挙がっていました。今回の仕事に関しては、最初から市から委託費が決まっていて、労働の対価がきちんと確保されていることがありがたいとおっしゃっていました。

それを聞いて、労働においてハンディキャップの有無に関わらず、成果に応じて正当な対価を支払われるべきなので、地域共生社会を実現する上でこのような活動を広げていきたいと思いました。

ーー今後、クラブとして取り組んでいきたいことを教えて下さい。

高橋)今年もフクダ電子アリーナの除草作業ともう一件の委託のお話をいただいたので、本取り組みは今年も継続して行なっていきます。

もうひとつ、我々は今度参入するWEリーグの女子サッカーチームのマッチデープログラム(チラシ)を配布する作業をお願いしようという構想もあります。

ハンディキャップのある方は、得意な仕事もあります。一緒に取り組みをしていて、決まったことを決まった通りにやることが得意な方も多いということがわかりました。

今年は就労支援センターを通して、WEリーグの試合運営業務に毎試合に何人かずつきていただこうという話は進んでいます。マッチデープログラム配布は試合前に作業が終わるので、そのまま試合を見ていただこうと思っています。

この取り組みをもう少し発展させていき、WEリーグの試合で経験を積んだ方々に、Jリーグの試合でも働いてもらう。「WEリーグで頑張って、Jリーグでもやるぞ!」とステップがあることでモチベーションに繋がる、そんな理想を描いて今年の取り組みを進めていきたいと思っています。