特集

なぜフォントメーカーが、パラスポーツを支援するのか?【Morisawa × Para Sports Vol.1】

モリサワvol.1

Sports for Socialでは、株式会社モリサワが発信するパラスポーツに関する取り組みを応援し、全3回にわたって株式会社モリサワの記事を紹介します。
モリサワはPC・スマートフォンや書籍、広告デザインなど、あらゆるシーンで使用される文字である“フォント”を開発、販売している企業です。

第1弾の内容は、「フォントメーカーであるモリサワが、なぜ、パラスポーツを支援するのか。」パラスポーツを支援することとなった経緯と思い、生み出される効果や期待することについてお伝えします。

(全3回のうちの1回目、#2#3

※株式会社モリサワHPからの転載記事です。(元記事はこちら

パラスポーツ支援の経緯

2013年に東京2020オリンピック・パラリンピックの開催が決まったことで、スポーツとの関係構築を模索しはじめたのがきっかけです。もとを辿れば、1964年に東京でオリンピックとパラリンピックが開催された際に、テレビ局からの依頼によって放送用テロップの文字を開発、提供したという歴史もあります。その当時の活気と盛り上がりを知っているからこそ、再びスポーツを通じて社会のために貢献できないかと考えていました。

スポーツにはさまざまな競技があり、関わり方も多様ですが、モリサワの社是である“文字を通じて社会に貢献する”を軸に、今求められている共生社会の創造に少しでも貢献できればと考え、パラスポーツを支援するという形を選びました。支援の始まりとして、2015年1月に現在の公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)に協賛させていただき、現在では、パラアスリートやパラスポーツ団体、パラスポーツの大会などへの支援を行っています。
※2022年11月現在

モリサワ パラスポーツ支援イメージ2015年にJPSAに協賛したことから始まり、2022年現在では佐藤友祈選手、日本パラ陸上競技連盟などの団体へと支援の輪が広がっている。

事業とパラスポーツの接点

モリサワはかつて写真植字機という印刷原版の制作に必要な機械の製造・販売していました。その写真植字機を使う写植オペレーターという職業には、身体に障がいを抱えた方々も多く従事されていたため、そのような方々に対して写真植字機を障がいの部位や程度に応じてカスタマイズして提供するということもあり、障がいを抱える方々と事業を通じた直接的な接点が古くからあったのです。

モリサワ パラスポーツ支援障がいのある方々向けに、写植機を片手で操作できるようにした専用パーツ(ボタンスイッチ)

時代が変わり、モリサワの事業も写真植字機からデジタルフォントへと変わりましたが、現在もフォント開発において障がいがある方々にご協力をいただくことがあります。それは、当社が開発している、ユニバーサルデザインフォント(以下UDフォント)という、より多くの方にとって読みやすくなるよう工夫されたフォントの開発に際し、意見やアドバイスを求めることがあるからです。そして、東京2020大会の招致を契機に接点をパラスポーツにも広げて活動したところ、デジタルフォントとパラアスリートには多くの共通点があることに気づきました。

私たちは、読むことを目的とした書籍や、デザイン性の高い広告などで使われているフォントなど、1,500書体以上の多様なフォントを提供しております。そして、それら多彩なフォントを使っていただくことで、文字による情報伝達を、より魅力的なものに変え、クリエイティブ活動や、コミュニケーションをもっと楽しんでいただけるようにと努めています。

同じく、パラアスリートが躍動する姿は、あらゆる違いを魅力へと変えて、課題と向き合うことや挑戦することで、世の中にたくさんのメッセージを伝えています。

どちらも、「さまざまな個性」を「魅力」に変えるという共通点があります。そのような性質をもつフォントを作る当社だからこそ、パラスポーツを支援することは、社内をはじめ、社会においてもとても意義のあることだと考えています。

パラスポーツによって広がる世界

支援の輪を広げていくことで、企業としても社員ひとりひとりにおいても、世界が広がってきています。

企業としての広がりは、パラスポーツを支援する企業間のつながりです。事業では接点がない企業様ともパラスポーツを通じて多くのつながりをいただいています。社会を良い方向に動かしていくには企業間の連携が不可欠であり、その一員としてさまざまな企業からお声がけいただけることは、とても意義のあることです。本業のみに注力していたら、おそらく当社はこのような接点を持つことができなかったに違いありません。

社内の活動としては、自由参加で社員の家族も含めたパラスポーツ観戦を呼びかけています。部署の垣根を超えて一緒に観戦することで、業務上では接点のなかった社員同士がつながることも多く、そこから生まれるコミュニケーションは大きな資産です。また、パラアスリートが躍動する姿をみて、社員やその子供たちといった家族までもが刺激を受けており、家庭でも良い変化をもたらしてくれているようです。

モリサワ パラスポーツ支援モリサワ社員による観戦・応援の様子(2022年6月パラ陸上競技日本選手権)

また、社員の大会ボランティアへの参加も新たな取り組みとして始めましたが、社会に貢献することを体感する良い機会になっています。企業は利益を上げないと存続できないので、どうしても売上や利益に目線が行きがちです。社員が大会ボランティアを通じて社会に触れることで、我々がなぜ社会に存在しているのかを感じ、社員ひとりひとりが社会におけるモリサワを考えるきっかけになってくれればと願っています。

ユニバーサル・コミュニケーションをめざして

モリサワの事業は、デジタルフォントを主軸としています。そして、フォントは何のために社会に存在しているのかを考えると、「人々のコミュニケーションを豊かにする」ということに行き着きます。

情報として文字の意味だけが伝われば良いという簡素なコミュニケーションであれば、多種多様なデザインのフォントは不要です。ではなぜ、様々なデザインのフォントが必要とされているのか。それは、気持ちや雰囲気まで伝えたいという想いがあり、その手段としてフォントを選んでいただいているのだと考えています。手軽に連絡が取れるようになったからこそ、伝える人、受け取る人がもっと豊かになる感情あふれたコミュニケーションを実現するために、彩り豊かなフォントが求められているのだと信じて、フォントを提供し続けています。

また、経済活動だけでは解決できない課題が生まれつつある現代には、それぞれの違いを認め合うユニバーサル社会が求められています。ユニバーサル社会の中で求められるコミュニケーションも、ひとりひとりの違いを受け入れ、魅力へと変えるユニバーサルなコミュニケーションなのではないでしょうか。

モリサワは、伝える人、受け取る人が共に豊かになるコミュニケーションがある社会を目指して、また、パラスポーツもユニバーサル社会に通じるコミュニケーションを生み出すものであると信じて、これからもパラスポーツを支援していきます。

モリサワ パラスポーツ

株式会社モリサワの記事はこちらから

モリサワvol.2
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モリサワvol.3
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