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「多様性とは“一人ひとり、みんな違う”ということ」Rebolt × Sports for Social〈中編〉【連載 #女性のコトを考える vol.1】

Rebolt対談中編

生理への「恥ずかしさ」は日本の文化?

話しづらいからこそ、隠れている問題。その背景にはきっと、声を上げづらい人たち、そして声をかけづらい人たちがいる。だからこそ、今ここから、カジュアルに話していく意義がある。

今回の中編では、海外との生理に対する考え方の違いや、多様性について、現役/元サッカー選手であり、株式会社Rebolt共同代表の下山田志帆さん(以下:下山田)と内山穂南さん(以下:内山)、Sports for Socialを運営する株式会社HAMONZ代表取締役・山﨑蓮(以下:山﨑)に、オープンかつラフに、対談形式で語っていただきました。

<前編>「生理は“女性”だけのものなのか?」

国によっても異なる“生理”に対する考え方

ーーお二方とも、サッカー選手としてドイツとイタリアに滞在されていましたが、日本国内と他国との生理に対する考え方の違いはありましたか?

下山田)海外に行く前までは、生理は“誰にも言っちゃいけない”もので、生理痛があったり、ナプキンが気持ち悪いと思っていたりしても、言ってはいけないことだと思っていたんですよ。言えないからこそ、解決策も見つからないし、どうしたらいいかも分からないけどそれが当たり前というのが生理への認識でした。

ドイツに行ってびっくりしたのが、シャワー室がすごくオープンだということです。

日本だと、個室だと思うのですが、ドイツだとシャワーが上についていて、ひとつの空間にみんなで集まって、ジャーっという感じで浴びるんです。ドイツに渡ってすぐ気づいたのですが、シャワー室にいる何人かの選手が股の間から紐を出してたんです。

山﨑)紐?

下山田)はい。女性の股の隙間から紐が出てたんですよ。「えっ。何これ?!なんでこの人たち紐出してるんだろう?」と思って見たら、1割2割くらいの選手が紐を出していたんです。

結論、それは何かと言うと、タンポンだったんです。

山﨑)タンポン?

下山田)タンポンって知ってますか?

山﨑)言葉しか知らないですね。

下山田)ナプキンが落ちてくる血を受け止める紙だとしたら、タンポンはそもそも膣の中に入れて血を吸収してしまうものです。

山﨑)なるほど。

下山田)日本でも普通にタンポンを使っている方はいますが、ドイツはほぼ100%タンポンでしたね。しかもその紐を股の間から出して、人に見える状態にしてしまうという考えが、私にとってはかなり衝撃だったんです。

山﨑)紐がついてるんですか?

下山田) はい。抜くときのために紐がついて、紐は股の下に出ています。日本だと、その紐も誰かに見られるのが恥ずかしい方が多くて、シャワーに行く前も絶対抜いてから行ったりします。

それに対してドイツだと、その紐を出してシャワーを浴びていたので、見たらわかるんです。あの子生理だなという感じに。でも、それぐらい自分が生理である事に関して、とてもオープンだったし「何が恥ずかしいの?」と言わんばかりのスタンスだったのが、私には凄く衝撃的だったんです。それは、イタリアもそうだよね?

内山)タンポンについては、自分も目にした光景でした。それを見て、「それぐらい普通なんだな、その光景は特別視するものじゃないんだな」と感じました。

山﨑)それはアスリートだから、というのはあるんですか?一般の人も隠す文化はないんですか?

下山田)ないですね、たぶん。私はジムに行ってたんですが、ジムでもみんなそうでした。

山﨑)その衝撃が、創業のきっかけになったりしたんですか?

下山田) ダイレクトなきっかけではないのですが、自分の中の価値観が変わったひとつのきっかけでしたね。

下山田志帆_ドイツ写真提供:下山田志帆氏

海外で感じた “自分”を持つということ

ー生理に限らず、男性の「女性に向き合う姿勢や理解」に違いはありましたか?

下山田) 本当に、男性の女性への理解は違いを感じました。簡単に言うと、私は女性がとても強い、と思いました。

ドイツも男性監督が多かったのですが、監督が言ったことに対して少しでも違うと思ったら、みんな絶対に言います。「それは違うじゃん」ということをちゃんと言うし、それは選手と監督というより、個人と個人というような関係でしたね。

それを女性の強さだと思ってしまうこと自体、きっと日本との違いが映し出されているなと感じます。

ドイツではそれが当たり前ですし。性別は関係ないんですよね。一人の“人”として対等

内山)そういったことは、イタリアでも感じました。個人が人として軸を持っているというか、自分を大切にしながら発言していたなと思います。日常でも、子供に対するしつけや指導もその子の“自分”を大切にしながら指導するんです。

“自分”というものをしっかりと小さい頃から指導されて教わっているんだなと感じました。そうして“自分”を大切にされながら育っていくから、サッカーの現場でも自分を持ちながら、コーチとも対等に喋るし、プレーしているんだろうなと思います。

内山穂南_プレー写真提供:内山穂南氏

一人ひとりがみんな違う

山﨑)“多様性”という観点から言えば、教育や対話においても、日本の傾向として「こうでなきゃいけない」と寄せる考えがあり、あまりにその選択肢が少ないと感じているですが、海外の多様性と日本の多様性というものを比較した時に、何か感じることはありますか?

下山田)難しい質問ですね。私の感覚値なので参考程度にしていただきたいのですが、私もLGBTQ(セクシュアルマイノリティ)当事者としてお話しする時、多様性が「一人ひとりがみんな違うよね」という感覚というよりは、多様性の中にLGBTQの人、身体障がい者の人、知的障がい者の人という枠があるような、まだまだ大枠での多様性なのかなと感じます。

海外はそもそも枠組みなどではなくて、一人ひとりが全然違って、それが集まって何かのチームになったり、職場になったりして、組織が成り立っているという、前提のスタート地点が結構違うのかなと感じます。

山﨑)とてもいいお話ですね。そう思います。みんな合わせようとしすぎちゃうんですよね。日本の文化のいいところであり、悪いとこでもあり。

Sports for Socialでも、私がいつも言ってるのは、「別に共感できなければ記事にしなくてもいいし、それはそれでいいよ」ということです。一人ひとり共感できるポイントは違うだろうし、心を動かすポイントはきっと違うから。それは人それぞれあっていいんじゃない、と。

全員が同じ考えを持つ必要はないと思うんです。

内山)確かに。

下山田)本当にそうですよね。

私もダイバーシティ研修の場に立たせていただくことがあるのですが、「LGBTQについて学びにきました!」という姿勢で来られる方はとても多いんです。でも、実際に伝えたいことは、そういうことではなくて。

「そもそも、あなたの隣にいる誰かと、あなたは全然違いますよね」そういうところの話をしたい。

ですが、それがまだまだ通用しないなという感覚はあります。

山﨑)以前、ユニバーサルマナー検定という資格を取得したのですが、資格検定講習の講師の方は、目が見えない方でした。その方が「目が見えないことは特徴のひとつで、さほど大きなことではない」と仰っていて、髪が生えている、生えていない、学歴のように特徴のひとつなんですよね。

「みんなそれぞれ違うのに、それを一緒にしよう、区別しようという風潮、それ自体が違うんだ」と話されていて、確かにそうだなと思いました。すぐに区別しようと思ったり、区別してしまうところがまだありますよね。

内山)そうですね。やはり、自分の知っていることだけで作ってしまった“ものさしを他人に押しつけてその中で考えようとする場面が多いように感じます。

それはサッカー指導の現場でもそうですし、子どもを育てる場でもそうです。指導者や親が持ってるものさしで子どもたちを測ってしまうような。

そうすると、可能性を潰してしまうというか、そこから全然飛び抜けていいのにと思う場面が多いんです。

一人ひとり違いますし、枠にとらわれる必要はないですよね。

編集部より

今回は
●海外での生理に対する考え方の違い
●自分を軸にした“多様性”
について伺いました。

「一人ひとりが違う存在である」ことは、多様性の観点や人種問題、ジェンダー問題など、あらゆる視点において大切な考え方であると思います。

後編では、株式会社Reboltのプロダクト『OPT(オプト)』に込められた想い、スポーツやアスリートが作る価値と、アスリートが声を上げる理由について語っていただきます!

〈まだ読まれていない方はこちら〉前編では、生理に触れられない原因、男性の生理への理解、アスリートやジェンダーマイノリティならではの悩みについてお話を伺いました。

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