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「“選べない人がいない社会”を創りたい〜アスリートと社会〜」Rebolt × Sports for Social〈後編〉【連載 #女性のコトを考える vol.1】

Rebolt対談後編

現役/元サッカー選手である下山田志帆さんと内山穂南さんが共同代表を務める株式会社Reboltが、自身のアスリートとしての知見をもとに開発した吸収型ボクサーパンツ『OPT(オプト)』

プロダクトに込めた想いや創業のきっかけ、アスリートが考える社会課題について伺いました。

Rebolt創業のきっかけ

ー生理が実際に起業のきっかけではなかったとお話しされていましたが、そもそものRebolt創業のきっかけを教えていただけますか?

下山田)実は創業した時、吸収型パンツを作ろうという案はまだ出ていなかったんです。創業して1ヶ月くらいしてから、このプロダクトであれば自分たちが見せたい世界を見せられる、そしてやりたい目的も達成できると考えて始めました。

創業の理由として生理が深く絡んでるかというと、正直そうではないんですよね。そもそも私たちが会社を立ち上げた理由を簡単にいうと、ノリと勢い”だったんです。

一同)そうなんですね(笑)

下山田)みんなから本当に辞めなと言われるくらい馬鹿にされたりもしました。それでも「でも、やるしかないじゃん」という想いで始めたのが、Reboltという会社です。

2人とも現役と元女子サッカー選手と言われる中で、海外ではプロとして扱ってもらえても、日本に帰ってきたら、「遊びでサッカーやってるんでしょ?」という扱いを受けることもありました。

そもそも日本の女子サッカーは、男子サッカーと比べてもまだまだ未熟な部分があると感じています。

男性サッカー選手と同じぐらい真剣にサッカーに向き合って頑張ってきたのに、自分たちの価値を、自分たち自身も見つけられないし、周りも見つけられていない。その価値をどうやって見つけられるか考えていきたいと、ずっと内山と話し続けてきました。

議論を続ける中で、「女子スポーツ界、女子サッカー界は、業界としても人としてもお金が回らないと思われている」ということに思い至りました。

そこで、ひとりのアスリートとして、そして女子サッカー界に身を置く者として、お金を生み出す仕組みを自分たちが作ってみようという想いから始まったのが、株式会社Reboltです。

スポーツや女性アスリートが価値を作るにはどうすべきかと疑問に思った時に、社会課題とアスリート、そして業界がリンクして、ある課題を解決するためにビジネスをしましょうという仕組みを作ることが一番お金になり、価値になるのではないかと仮説を立てたんです。今は、そのためにいろいろと動いています。

「アスリートと社会」のリンク

山﨑)お二人がアスリートなので、OPTがアスリートのためのプロダクトというイメージがあるのですが、アスリートだけのためというわけではないんですよね?

下山田)はい、全くそういうわけではないですね!

山﨑)アスリートだけでなく、一般の女性の方にも使って欲しいということですね。

下山田)まさしくそうですね。むしろ、女性スポーツ界の課題と社会で起きている課題こそ、まさにリンクしていると思っています。でも、今はそこが分断されて考えられているんです。「スポーツ界はスポーツ界」「社会は社会」のように。それに違和感があります。

ここをしっかりリンクさせた上で、女性アスリートたちが、社会課題などに対してちゃんと発言出来るようにしたいんです。何か一つ課題を軸にしたイベントをするのでもいいし、そこからサービス・プロダクトを生み出せるようになると、そこが価値になってくると考えています。

山﨑)それは、確かに仰る通りだなと思いますね。
キャリア・子育て・出産など、いろんなライフスタイルの変化がある中で、どうしても何かを諦めなければいけないというのがまだ女性にとってあるなと感じています。アスリートも同じように、岩清水梓さんのように出産を終えて戻って来られた事例は、まだまだ少ないじゃないですか。本当に、スポーツ界でも、社会全体でも同じようなことが起きてるなと感じますよね。

社会課題とリンクさせるのは一つキーだなと思います。

下山田)本当にそうだと思いますし、だからこそ、Sports for Socialさんのご活動も社会にとって必要なことだなと私たちも思っています。

山﨑)ありがとうございます。実は私が創業した理由自体、そこにあるんです。
スポーツ界で起きていることが全く異次元なものだとは思っていなくて。スポーツはパブリックなものなので、多くの方から注目を浴びています。そこがまさにスポーツの価値だなと思います。

世の中の問題にスポーツ選手も関心を持つと、みなさんも同じような目線で関心を持ってくださるというところを私たちは意識しています。

生理を理解するために、男性がとるべき行動とは?

ー実際に女性が生理で悩んでいる時や大変そうな時など、男性はどのような行動をとったほうがいい、どんな言葉をかけたほうがいいということがあれば教えていただきたいです。

下山田)正解がない話ではあると思っています。ただ一つ、こうしたらいいのではないか?と思うこととしては、今私たちにインタビューをしていただいているのと同じように聞いてみたらいいんじゃないのかなと思います。「全然知らないんだけど、実際どうなの?」といったところからまずは始めてみるというのがいいと思いますね。

内山)冒頭にもあった生理痛の話のように、痛み一つをとっても、人それぞれ全然違うという前提のもと、聞いてみるというのがいいと思いますね。「この人にはこう!」というものは当てはまらないと思うので。

下山田)そもそも聞かれたくない人もいますしね。

内山)そうそう。そういう時は聞かれたら拒めばいいと思うので、拒むこともちゃんと許されるような状況・環境を作ることも大事だと思います。

山﨑)例えば、私が女性社員に「生理どうなの?」と聞くのは少し違うのかなと思うんですよね。でも、自分の家族や恋人でもいいですし、まず近しい人に聞いてみて理解できたらなと思っています。

最近勇気を振り絞って、妹に「生理どうなの?」ということを聞いてみたんですね。そうしたら思いの外、あっさり答えてくれたんですよね。向こうも家族だから話しやすいというのはあると思うんです。「お兄ちゃん何?気持ち悪い」などではなくて「へえ、そういうことに関心持つんだ〜」という感じで答えてくれたんです。

「大きく何か変えないといけない」「もっとちゃんと理解していかなくちゃいけない」という風に気張っちゃうと、変なコミュニケーションの取り方になっちゃうのかなと感じました。身近に女性がいるなら、その人に聞いてみるなど、それこそ、お母さんにどういうことなのか教えて欲しいと聞くのだっていいと思うんです。正解はないですが、そういうことから始めるのがいいんじゃないかなと思います。

下山田)確かに。話しやすい関係性はもちろんありますよね。

内山)確かに今ここで「生理痛どう?!」といった感じで、急に聞かれてもびびっちゃいますよね(笑)
その背景に何があるのか探ってしまいそうな気がしますね。

山﨑)身近な存在だと話せたりしますよね。

そこの距離感については多くの人に間違わないで欲しいなと思います。こういった話を男性にお話ししたりすると、「確かにな」と言われることは多いんですが、もしそれが間違ったコミュニケーションで部下の方に「生理痛どう?」というように聞いたりしても、それはそれで違うのかなと思います。

内山)確かに、そうですよね。吸収型パンツを作る上で、生理について多くのアスリートに話を聞いてる中で共感したのが、トレーニング中にプレイの調子が悪かった時、指導者に「生理なの?」と聞かれたというエピソードです。そうやって当て付けをされてしまうのは、嫌だなと自分もその話を聞いた時に思いました。

とはいえ、生理を経験したことがない人は本当に分からないから、知ろうとすればするほど意図していないニュアンスで伝わってしまうような難しさもあると思うんですよね。何事も決めつけは良くないなとは思いました。気をつけることだけでも大切かなと思います。

『OPT』への想い

ー最後に、4月より”アスリート発吸収型ボクサーパンツ”『OPT(オプト)』を発売されましたが、どういったものなのかご説明いただけますでしょうか?

下山田)5/17までクラウドファンディングを行っていたのが、吸収型ボクサーパンツ『OPT』という商品です。

rebolt_OPT写真提供:株式会社Rebolt

下山田)私たちが『OPT』という商品を通してどんな社会を目指しているか、結論から言うと、本当に単純で『自分に合ったものを選べる社会にしよう』ということなんです。

内山も言っていましたが、今まで“ラブリー”な生理用品だけど、仕方ないから隠すようにつける、パンツ10枚分ぐらい重ねてるくらい不快だけど「なんかこれしかないからつけるか」というように仕方なくやり過ごしてきた方も多いと思うんです。

本当は心の中ですごくモヤモヤしているはずなのに「当たり前だからしょうがない」と思いながら選んできた過去があったけれども「それは、実際なんでなの?」ということを私たちも吸収型パンツと出会った時に感じて、当たり前を壊されました。

こうやって「自分たちがモヤモヤしたものを解決してくれるものがあるのであれば、自分たちの手で創りたい」という想いがあって、創り始めたプロダクトです。

『OPT』の特徴に関しては、機能面として、アスリートレベルの環境でも使えるのはもちろんなのですが、今までの女性用プロダクトのジェンダーステレオタイプ(性別への固定概念)から外れた、枠を広げたプロダクトであるという部分が1番大きいと思います。

今まで、女性用プロダクトではかっこいいものでも、“中性的”、少し言葉を変えれば、“可愛すぎない”というデザインだったのですが、「いや、そうじゃなくて、自分たちはかっこいいものを履きたい」というところに本当にこだわって、繊維商社さんとも話しながら創り上げました。

純粋に“かっこいい”ものを履きたかったけど、履けなかった人たちに『OPT』を選んでもらえたら嬉しいなと思っています。

rebolt_OPT2写真提供:株式会社Rebolt

山﨑)本当に、選択肢が広がるということはいいですね。

既存の枠組みにとらわれないという点でいうと、吸収型パンツ以上のものも出てくるかもしれませんね!

下山田)そうですね!

選択肢が増えればいいなと思って立ち上げたブランドですし、そう信じているので、『OPT』じゃない方がいいなと思えば、他のブランドのものも薦めたりしていて。そこは手を取り合って『選べない人がいない社会』を一緒に創れたらいいなと思っています。

 

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編集部より

「生理と女性らしさ」、「触れてはいけないという感覚」そして「生理用品の選択肢」に悩んだ下山田志帆さんと内山穂南さん。お二人だからこそ生み出せた『OPT』がこれから、どれだけの人の常識を、そして選択肢を広げるのか、計り知れません。アスリートに限らず、生理のある生活の“選択肢”に悩む全ての方に届いてほしいと思います。

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