アサヒビールとパナソニックの共同開発より環境に配慮したリユースカップとして使用できる「森のタンブラー」。
vol.1では「森のタンブラー」のコンセプトである環境への配慮について、アサヒビール株式会社の古原さんにお話しを伺いました。
今回は引き続き古原さんに、自身が考える「これからのサステイナブルな社会」についてお話ししていただきました。
vol.1はこちらから→ https://sports-for-social.com/?p=791
私たちがサステイナブルな社会に向けてするべきこと
ーー石川)ここ最近、日本国内だけでなく世界中でサステイナブルな社会を目指そうという流れがありますが、私たちがするべきことについてなにか考えていることはありますか?
ーー古原)私を含め多くの方は、環境にいいことをしようという考え方を持っていても、普段忙しい生活の中でつい忘れてしまうということがよくあると思います。
私はこの点に関してメーカー・生産者の責任が重いと考えています。普通に手に取ったものが、当たり前に環境にやさしいというような状況を、提供側がどんどんやっていかないといけないと考えています。むしろそこをちゃんとやっていくと、付加価値となり、評価される実感もあります。
消費者の方は、サステイナブルな取り組みをフラットな目線で受け取るべきだと考えています。企業が儲けるためにやっていると考えるのではなく、素直にご自身が社会的にいいと思うかどうか、という観点で取捨選択していただくことで、生産者と消費者が社会に対してお互い高めあうことができると思っています。
ーー石川)社会貢献やSDGsという観点について、古原さん自身の想いについてお伺いしたいです。
ーー古原)私はアサヒビール株式会社に入社以来12年、容器包装の開発に携わっています。現在はパッケージング技術研究所という部署ですが、ここで働く技術者としては、以前から飲み終わってしまった容器がゴミになってしまうことにさみしさを感じ、飲み終わってもゴミにならないものをつくりたいという想いがありました。
ゴミにならない容器包装ができれば、それは仕事でもあり、社会貢献でもあると感じていた中で、今はアサヒビールとしての仕事と、社会への貢献がうまくマッチしている状態かなと思っています。
これからは、例えばアサヒビールの事業領域とはあまり関係ないけれど、自分が持っている技術や知見を社会貢献に活かすというように、一個人的な視点も持っていろいろやっていきたいと考えています。
身近なことからサステイナブルな社会を意識する
ーー石川)ご自身で何か取り組まれていることはありますか?
ーー古原)本当に小さいことではありますが、牛乳を買うときに陳列棚の前からとるようにしています。一時期は後ろにある新しい牛乳を取っていましたが、基本的に賞味期限内であれば味は変わらないので。フードロスを少しでも減らすため意識して取り組んでいます。
最近の話だと、ちょうどスニーカーを探している中で、海洋プラスチックからアパレルを展開しているブランド(ecoalf)で靴を買いました。今は多くのブランドがある中で、選ぶのが大変ということもよくありますが、こういった「環境にやさしい」という軸があれば、選ぶことのストレスも減るのかなと感じています。
他には、頻繁に洗う洋服については、化学繊維を使った服を買わなくなりました。これは最近知ったのですが、化学繊維を使った服を洗濯するとマイクロプラスチックが出てしまい、これによる河川への流出が多いそうです。そのため服を買うときにはタグをしっかり見て、選んでいます。
「使い捨て」という消費行動を無くしたい
ーー石川)森のタンブラープロジェクトとして、これからどんな取り組みをしていこうと考えていますか?
ーー古原)最近は、コロナ終息を見据えてイベント系や外食企業からのお問い合わせが動いています。その中で挑戦的な取り組みとして、使い捨てカップや容器を全く使用しないゴミゼロイベントをできないかと思っています。
外食企業では、屋外でもガラスのジョッキやステンレスのタンブラーなどを使っている場合もあり、そこに森のタンブラーを使うのはゴミの削減という観点では意味がありません。ただし、森のタンブラーの特徴として、細かくなるものだったらどんな素材を使っても製造できるというところがあるので、例えば廃棄されてしまっている資源や「○○県の間伐材」などのご当地素材を使うことも可能で、「地域資源の有効活用」「愛着の形成」といったアプローチも考えています。
他には、SDGs軸のプロダクトとして「食べられるコップ:もぐカップ」というのも開発しました。例えばかき氷やスイーツを「食べられるコップ」と「食べられるスプーン」(連携企業 ㈱勤労食の製品:Pacoon)を使って提供することで、食べ終わればまさにゴミがゼロという状態も実現可能です。
ーー石川)森のタンブラープロジェクトを通じて、どんな社会を目指していますか?
ーー古原)身の回りにプラスチックが使われている製品が山ほどある中で、それらの原料を国内の植物資源や廃棄物を使った材料に置き換えていくと、大幅なCO2の削減効果が期待できるのではないかと考えています。タンブラーをフックとして、これからはプラスチック全般に環境にやさしい技術を広めていくというビジョンも持っています。
また現在は、「使い捨て」という行為自体を無くす取り組みの啓発をしていますが、これに関してはスポーツ観戦やイベントにおいては特に、「捨てる」という行為がなくなることで、買う側のストレスもなくなるのではと考えています。廃棄の際のストレスは、次回の購買行動に影響を与えるといったような研究結果もあり、「また買ってみよう」と思っていただけるといいなと思っています。
ビールをおいしく注ぐコツと愛用者にメッセージ!
ーー石川)ずばり、おいしく注ぐコツを教えてください!
ーー古原)まずはビールをよく冷やして、なるべくゆっくり注いでください。普通のコップだと泡立たないくらいでゆっくり注ぐとちょうどよくなります。55%植物の繊維を使っているので、表面が微妙に凸凹してるので、それによってきめ細かい泡が立ちます。あとはご自身の好きな形でグビっといってください!
ーー石川)最後に、森のタンブラーを愛用していただいてる方にメッセージがあればお願いします。
ーー古原)僕自身も2年ほど愛用していますが、まだ物としても取り組みとしても完成ではないので、進化にご期待ください。引き続き一緒にいいことに取り組んでいければと考えています。
編集者より
今回は「森のタンブラー」を手掛けた古原さんの想いを伺いました。
特に印象に残ったのは、メーカー側が環境にいいものを提供するべき、という考え方でした。
私たち消費者にとってメーカー側の考えを知る機会は少ないので、非常に感銘を受けましたし、このような考え方を持つ企業を応援したいと強く感じました。
次回は、麻布大学における「森のタンブラー」の取り組みについてご紹介します。
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■「森のタンブラー」に関する詳しい情報や、アサヒビールとパートナーの取り組みはこちらのホームページで発信しています。
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