私たちの想い

【Vol.4】アートを生きる力に | ~ゼロから生み出す、右脳モードへのアート~

【編集担当からのメッセージ】
ビジネスパーソンこそ臨床美術の体験を!!
臨床美術は「障がい者、発達障害、認知症対策」などに向けてのプログラムだとばかり思っていた私には、まさに目からうろこのメッセージをいただきました。
人が自分らしく、イキイキと暮らせるためにはもちろん環境改善が必要です。でも、その前に自分でできる、自分らしさを取り戻すアクション、自分の新たな可能性を見つけるチャレンジがここにあることがよくわかりました。できるだけ多くの人に体験してもらえる環境を当サイトでも用意し、皆さんと楽しんでみたいと思います。
(モンテディオ山形のスタジアムではホームゲーム時に体験会を開催します)

ゼロから生み出す、右脳モードへのアート

臨床美術(クリニカルアート)は日本発祥のアートセラピーです。
http://www.arttherapy.gr.jp/

絵やオブジェの作品を楽しんで創作することにより右脳の活性化を促し、認知症状を改善するために開発されました。

子供から大人まで幅広い現場で実施されています。実際の現場での様子も交えて私の思う臨床美術の良さをお伝えしていきたいと思います。

私自身、臨床美術と出会うまで「自分には絵を描く才能がない」と思っていました。絵を見るのは好きですが、どのように見たら良いのだろう?と思うこともありました。

そんな私が臨床美術と出会って考えが根底から変わりました。「自分の感じたことが作品という形で可視化され、自己の存在を改めて感じる」「作品の個性的な魅力を感じることで自信や自己肯定感を感じる」「周りからも認めてもらえる嬉しさを味わう」「表現を楽しむことを知る」など、私が臨床美術から受けた感動や体感を一人でも多くの方にも味わって欲しい、そんな思いから私は臨床美術士の資格取得をしました。

臨床美術_アート1

臨床美術は、高齢者、幼児、小学生、障がいをもつ子供、成人のうつ病患者、被災者など、社会の弱い立場にいる言われる方々の力になるために、さまざまな現場で実施されています。

そして時流が大きく変化している現在では、ビジネスの真っ只中にいる方にも臨床美術が役に立つと思うのです。

臨床美術は独自に開発されたアートプログラムに沿って臨床美術士がセッションをリードします。なんでもアート作品を作れば「脳」が活性化する訳ではなく、そこには確固たるロジックがあります。だからこそ、念入りに練られたアートプログラムに大きな価値があります。

画家のベティ・エドワーズ著『脳の右側で描け』に、左脳モードと右脳モードの違いが書かれています。

・左脳モードは主に言語的な活動を中心とする態勢。理論モード
・右脳モードは、主に非言語的な活動を中心とする態勢。感覚モード、直感モード。

この左脳モードから右脳モードへ転換することにより違ったものの見方が出来るようになる(臨床美術士養成講座/ 芸術造形研究所)というのが、臨床美術がビジネスの世界で注目される原点だと思います。

臨床美術にはこの理論を発展させたプログラムが沢山あります。また、色々な技法や画材や制作の工程が緻密に作り上げられているため、誰でも楽しんで制作に取り組めるようになっています。

さらに、創作後の鑑賞会では「自分がこんな作品を創れるなんて!」と言った感想を聞くことも珍しくないのです。

仕事のストレスの緩和という面では、臨床美術を企業研修に取り入れている企業があります。
私も一部上場企業の新人マネージャーの研修で臨床美術のセッションをさせて頂いたことがあり、それを通じて、人工知能(AI)やディープラーニングなどとの競争、共存をしていかなくてはいけない時代になってきたからこそ、自分(人間)の存在価値を示していく新たな方法として、アートが役に立つと確信するようになってきました。

私が、営業の仕事をしていたときに、「生産性」「スピード」「ロジカルシンキング」という言葉を嫌というほど上司から言われました。
ところが、自分が管理職になったときにはその言葉を部下にぶつけていました。左脳モードをフル回転して仕事をすることが求められ・求めていたのです。

今後、ビジネスで評価される人は、ゼロから何かを生み出せる創造力が必要と言われています。「イノーベーションを起こせる人」「イノベーションを加速できる人」「一見関係のない点と点をつないで新しい視点を社会にもたらせる人」といった言葉をよく聞きます。

しかし、「自分にはゼロから何かを考え出す発想力はない」と思っている人も多いように思います。今までの日本の教育の集団、受け身、暗記重視といった勉強のあり方にも問題があったのだと思います。

でも、よく考えてみてください。

子供はみんな芸術家です。「創造力」というのはそもそも誰もが持っているもので、子供の頃は色々なことを想像し絵を描くのも楽しくやっていたはずです。
それが成長の過程で何かしら嫌な経験をして、その才能のボタンをオフにしてきているのだと思います。今、自分の中にある「創造力」と言うボタンをオンにして、仕事に求められてきた左脳モードに加えて、右脳モードの思考力を身につける事が重要になってきているのです。

欧米のビジネススクールでは、デザインやアートに関連する科目を設けていると言う記事も読んだことがあります。ゼロから何かを生み出す仕事は、技術や研究職やベンチャー企業を立ち上げるような一部の方が持っている才能だろうと思っていました。でも、時代は変化してきています。

そんな中で、誰もが楽しんで取り組むことができる臨床美術が、一役を担えるのではと思うのです。臨床美術により、自身の中にある創造力を呼び起こし、自分の個性を改めて感じ、自己肯定感や自信につなげることも出来ます。

臨床美術は、「アートを自分のもの」として感じる扉を開いてくれます。高齢者や子供だけでなく、今の時代だからこそ、様々な方にアートを生きる力にして欲しいと思います。

先月の12月には3070歳代の5名の方が臨床美術のクラスに参加されました。コロナ対策をしながら自身の表現を楽しみました。新しい年への思いを込めた「描き初め」のプログラムで、特別な和紙にさまざまな絵の具や筆を使いながら、漢字の起源になる甲骨文字に思いをしたためました。

大きな画面に描くのは本当に気持ちが良いものです。「今」「ここ」に集中して1時間半ほどの時間があっと言う間に過ぎました。出来上がった作品はどれも個性的で見応えがありました。

アートは生きる力になる。生きる力は一つでも沢山ある方が良い!

今後も臨床美術の魅力について発信をしていきたいと思います。色々な方にぜひ一度体験をしてみて欲しいと思います。

—京都在住・アートひろばtomo主催 臨床美術士 Tomoko—

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