2022年6月7日(火)〜6月9日(木)にかけて行われる、スポーツ×社会貢献のオンラインイベント「Sports for Social Summit 2022 summer」の見どころをセッション前に紹介していきます。
Session.12では、「シャレン!アウォーズ2022」受賞の裏側!と題し、登壇者の鈴木順さん(公益財団法人 日本プロサッカーリーグ 社会連携部 部長)、そしてシャレン!アウォーズ2022において受賞された3クラブから、福田一臣さん(いわてグルージャ盛岡)、渡邉はるかさん(松本山雅FC)、高島祐亮さん(ガイナーレ鳥取)にご登壇いただきます。事前打ち合わせの様子を紹介します!
「農業×ごみゼロ」でサッカーに興味のない方々との接点を(いわてクルージャ盛岡)
ーーシャレン!アウォーズ2022は、地上波のテレビでも取り上げられていますね。
鈴木)そうですね。サッカーにあまり興味がない方、サッカーは好きだけどシャレン!自体を知らなかった方などに知っていただくにはいい機会だと思います。
ーー今回は、そうした中でも活動の中身や想いに深掘りしたお話をしていければと思います。
鈴木)クラブの話もそうですが、協働者の方々や地域の方々からの反響がどうだったかなどのお話も聞いていきたいです。
ーーいわてグルージャ盛岡の福田さんにお聞きします。周囲の協働者や地域の方からの反響はありましたか?
福田)今回エントリーした「いわてグルージャ盛岡ごみゼロプロジェクト」では、スタジアムで使用したリサイクル可能な食器など、ゴミを堆肥化し、以前からクラブで取り組んでいた米作りに活用しました。
このプロジェクトでご一緒した農業関係者の方々は、活動を始めた当初はサッカーのルールすら知らない人たちが多かったのですが、毎週活動を続けると「サッカーの調子はどうですか?」とか、「普段何してるんですか?」といった何気ない会話が徐々に生まれてきました。
スタジアムにも来ていただいたり、今では結構なコアサポーターになりつつありますね。
クラブとして、まずは自分たちのことを知ってもらえる、そして同じ共通の目標を持って活動していくことが、サッカーやJリーグを好きになってくれるきっかけになるのだと感じる出来事でした。
ーー農業の方々は、クラブに対してどのような期待をもたれていたのですか?
福田)もともとは、岩手県雫石町での『スノーバスターズ』という除雪作業でご一緒しました。その中で、「他のJリーグクラブで農業やってるチームがある」というお話から、じゃあ1シーズンやってみようという形でスタートしました。岩手の農業も課題が多い中で、新しいことにチャレンジしよう!という想いを持たれていました。
ーー農業の方々にとってもグルージャさんと一緒に始めた『新たなチャレンジ』だったのですね!
スタジアムのトイレに生理用品を設置(松本山雅FC)
ーー松本山雅さんは、スタジアムでの生理用品の設置活動 『スタジアムトイレに生理用品の設置と生理への理解』で受賞されました。まわりの方の反応はいかがでしたか?
渡邉)女性の方からは、「トイレに生理用品があることによる安心感がある」というお声をいただきました。実は昨日も一般の方から、「Web上の記事を見て知りました。私にもできることあったらぜひ一緒に取り組みたい」という嬉しいお電話をいただきました。
ーーそうなんですね!サッカー以外の活動で、ご一緒したいという声はとても嬉しいですね。
渡邉)「そのような活動に取り組む松本山雅をさらに応援したい」とも言っていただきました。本当に嬉しい反響でした。
鈴木)今回の活動で、クラブ内も含めて男性の意識や反応はいかがでしたか?
渡邉)クラブ内の男性メンバーは、最初は口にすることにも少し抵抗を感じているようでした。生理用品を見たことがない男性スタッフもいましたし、もちろん使い方もわからない方が多かったです。シャレン!アウォーズを受賞させていただいたこともあり、「こういうことに向き合っていかなければ」という発言も出てきています。
鈴木)こうした活動をWEリーグではなくてJリーグがやるところに意味があると思います。女性が女性のことをやるわけではなくて、そこに男性も加わる関係はすごく大事なことですよね。
渡邉)そうですね。いまでは広報の男性スタッフが、生理用品の置き方や見せ方を考えるなど、男性にとっても少しずつ当たり前にもなってきています。
ーー生理用品を置く、というシンプルな行為から、女性の安心感や男性理解に大きくつながっていますね!
ガイナーレ式「スタジアムの活用方法!」(ガイナーレ鳥取)
ーーガイナーレ鳥取さんの『夜宴スタジアム』は、サッカーファン以外の方の反響も大きいのではないですか?
高島)そうですね。私たちの取り組みで象徴的なのは、協働者が「スタジアム利用者」という点です。みなさんがスタジアムに対して、「こんな利用の方法があるんだ」と感じていただけるものをどんどん作っていきたいと思っています。
例えば、地域の保育園のお別れ会での利用だったり、バーベキューを開いたり。
こうしたことで、「サッカー」では繋がらない地域の方々や企業と繋がれるきっかけになれている活動です。
鈴木)1回あたりどれぐらいの来場者になるんですか?
高島)来場者はだいたい20〜30人くらいで、決して多いとは言えません。ただ、1人で来られる方もいらっしゃって、「普段生きてるのってつらいよね」っていう話から、本当にいろいろなお話をすることができています。
「大変だろうけどいいじゃん。僕がいるから来てよ」という感じで、全然違うファン層かもしれないですけど、最終的にガイナーレがあることで救われる、ファンになる、という方が増えたらいいなと思います。
鈴木)クラブに接する場所がそこにあるというのは、大事なことですね。
高島)そうですね。この夜宴スタジアムを初めてから、「こんなことできますか?」という問い合わせも増えています。
本当に、スタジアムをどう捉えるかは人次第だなと思います。私たちが勝手に『サッカーする場所』と決め付けるのではなく、地域にとっては防災の場所かもしれないですし、ある人にとっては遊べる場所かもしれません。
そういった、いろいろな色の出し方を「夜宴スタジアム」を通じて知ってもらえたらなと思います。
ーーありがとうございます。
シャレン!アウォーズの変遷
ーー松本山雅FCの渡邉さんが「シャレン!アウォーズにこのプロジェクトを出したのは、他のクラブにも真似をしてほしいからだ」と話をされていたのが印象的でした。
鈴木)素晴らしいですね。やはりシャレン!は、地域のためにやっていることなので、ほかのクラブにこんなことを真似されたとか、そうしたことはあまり関係ないと思っています。同じ社会課題に対しても松本流、盛岡流、鳥取流でそれぞれに取り組んでいければいい。今回取り上げる3つの活動も、是非横展開していってほしいと思いますね。
ーーシャレン!アウォーズも3年目になりました。当初から比べての変化はいかがですか?
鈴木)コロナの影響でサッカーの試合自体を止めた時期もあり、サッカーではないサッカークラブの価値などを皆考えた期間があったのではないかと思います。そうした時期も経て、地域の皆さんのクラブの活用の方法など、すごく「深み」が出てきたように感じています。
とくに、シャレン!アウォーズにエントリーする活動については、クラブの現場の皆さんが一生懸命やったものだというのが伝わってきて、とても嬉しいです。
ーー改めて、シャレン!活動の価値はどのようなところにあるのでしょうか?
鈴木)地域の方々の中でも、サッカーに対して興味のない方は多くいらっしゃいます。その方々に対してのアプローチは、時間軸も長くかかりますが、そうしたことをわかった上で取り組むクラブが増えてきました。
アウォーズにエントリーされた活動を見ても、「クラブ」が主語ではないものが増えてきたということは、クラブが地域に根付いてきた証拠なのかなと思っています。
ーーありがとうございます。当日も各クラブ、そして各地域のお話で盛り上がれたらと思います。よろしくお願いします。
チケットはこちらから
https://sports-for-social-summit2022summer.peatix.com
特設サイト
https://www.sports-for-social.com/summit/
◆Session.12 概要
6月9日(木) 20:00~20:50
タイトル「シャレン!アウォーズ2022受賞の裏側!」
登壇者
鈴木順(公益財団法人 日本プロサッカーリーグ 社会連携部 部長)
福田一臣(いわてクルージャ盛岡)
渡邉はるか(松本山雅FC)
高島祐亮(ガイナーレ鳥取)