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【見どころ紹介!】Session.11「Jリーグチームが障がい者サッカーに取り組む理由とは」

Session.11

2022年6月7日(火)〜 6月9日(木)にかけて行われる、スポーツ×社会貢献のオンラインイベント「Sports for Social Summit 2022 summer」。その見どころをセッション毎に紹介していきます。

Session.11は、「Jリーグチームが障がい者サッカーに取り組む理由とは」です。
登壇者の望月選さん(横浜F・マリノスフトゥーロ 代表)、西 眞一さん(鹿児島ユナイテッドFCフューチャーズ総監督)、そして鈴木順さん(公益社団法人 日本プロサッカーリーグ 社会連携部 部長)との事前打ち合わせの様子を紹介します!

「一緒にできませんか?」という相談から

ーー鹿児島ユナイテッドFCフューチャーズはどのような経緯で立ち上げられたのですか?

西)フューチャーズは2019年に立ち上がったまだ若いチームで、それまで鹿児島県の中で知的障がい者サッカーチームとして10年ほど活動していました。もともとそのチームを立ち上げたのは、知的障がいの方が社会人になってもサッカーを続けていきたい、そうした選手が全国障害者スポーツ大会で鹿児島県代表として頑張りたい、という想いから2008年にスタートしました。

社会では知的障がいのある子どもが増えていたのですが、こうしたサッカーの場所に皆さんが来ていなかったという状況もあり、鹿児島ユナイテッドFCさんと一緒にできないかと相談しに行ったところが始まりです。

ーー練習はどのようにされているのですか?

西)約25名のメンバーで、一緒に練習しています。練習内容によっては、障がいの重さによってメニューを分けたりすることもありますが、基本的には一緒です。ただ、フューチャーズとして活動し始めたことで学生などの若い選手が増えましたね。知的障がいの選手だけでなく、ほかの障がいを持つ方も一緒に活動もしています。

ーー参加される方は、どのようにフューチャーズの存在を知るのですか?

西)やはりそこは鹿児島ユナイテッドFCの力が大きいです。ユナイテッドでもいろいろな告知もしてくれているので、特に若い選手はそこから見つけて、入団してくれる子が多いです。
プロチームのエンブレムをつけたユニフォームを着てプレーするということに、選手たちは本当に喜びを感じています。

ーー鹿児島ユナイテッドFCのチームになるという点で、難しかったことはありましたか?

西)それが、まったくなかったです。鹿児島ユナイテッドFCの代表がヨーロッパ視察をされて、こうした障がい者チームがあることが必要と感じているタイミングだったのもあり、すんなりスタートさせることができました。

自分の得意なサッカーで前向きに、自信を持ってほしい

ーーフトゥーロさんの歴史をお聞かせください。

望月)1999年に、日本と韓国でワールドカップの開催が決定したことから始まります。その年に、日産スタジアムの横に『横浜ラポール』という障害者運動施設ができたことが非常に大きかったです。その施設に障害のある方が多く集まり、数多くの種目ができる施設です。
2001年に、ラポールさんとグラウンドで『ふれあい』というサッカー教室を始めました。ラポールさんの野球場で毎週土曜日、知的障がいだけでないいろいろな子たちと一緒にトレーニングして、私もコーチで関わっていました。
そこから2004年にフトゥーロ、スペイン語で『未来』という意味のチームを結成しました。多くの子どもたちがいじめられたり、前向きになれない中で、自分の得意なサッカーで自信を持って顔を上げて、学校や社会に出て行ってもらいたいという想いで活動をしてきています。

ーー今年で19年というのは、長い年月ですね。

望月)19年前には、SDGsのことやインクルーシブなどの単語もなく、たまたまそうしたつながりがあって、障がいのある子たちにもサッカーを楽しんでもらいたい、ということで活動を続けてきました。そうすると、オリンピック・パラリンピックの誘致につながったり、SDGsも社会では話題になってきたり、社会の方が私たちの活動をそうした意味で注目してくれ始めたのかなとも思います。

ーーそれは間違いないですね。『マリノス』というクラブとして取り組んでいくことに、当時はクラブ内での意見等はなかったのでしょうか?

望月)クラブとしては本当になかったんですよね。1985年にスクールを立ち上げて、サッカーの楽しさを伝え、選手を育てていこうとする中で、たまたまその中に障がい者のサッカーがあった、という感じでした。広いグラウンドでボールを蹴れる、思い切り走れることに対するニーズはスクール立ち上げ当初からかなり多く、そこには障がいや運動能力、体格なども関係なかったですね。

ーーみんなにサッカーを楽しんでほしい!という想いから作り上げられたということに、すごく大きな価値を感じますね!

Jリーグチームが障がい者チームを持つ価値とは?

ーー鈴木さんから見て、Jリーグクラブが障がい者チームを持つということにどのような価値を感じられますか?

鈴木)そうですね。障がい者チームを持つことも大事ですが、大前提として誰でもサッカーを楽しめるという環境を作ることが第一だと思っています。
フューチャーズさんに関しては、地域の方が「ユナイテッドと一緒にやれないか」と言っていただけたというのが大きいですよね。鹿児島ユナイテッドFCがなければ、フューチャーズもなかったかもしれないですし。

Jリーグには、アカデミーという存在がありますが、それは一握りの子たちであり、クラブが持続的に存在するためにはアカデミーだけでは難しいです。フトゥーロさんやフューチャーズさんが存在することで、「誰にでも優しいクラブであるから応援したい」と言う人は間違いなく一定数います。そうした意味ではこの2チームの活動もすごく経営にも寄与しているのではないかと思います。

もちろん、ただ純粋に目の前の子にサッカーを楽しんでもらいたいという想いでやられているとは思います。サッカー界としても、この場にまだ2チームしかいないというのも未熟なところかなとは思うところなので、やりたいと思ったチームにはどんどん広がっていけばと思います。望月さんが移籍していろいろなところで立ち上げてくれれば話は早いのですが。(笑)

Jリーグで知的障がい者サッカーのリーグ戦!?

望月)2019年には、お互いの前座試合においてホーム&アウェイで対戦しました。
コロナにならなければアスルクラロ沼津さんも合わせて活動をもっと広げたり、将来的には知的障がい者サッカーのJリーグクラブでのリーグ戦ができたりすれば、選手の目標にもなり、素晴らしい活動になるのではないかなと思います。

フューチャーズ

ーーこうした障がい者チームを持ちたいと思っているサッカークラブ、または別の競技の方などにアドバイスはありますか?

望月)私としては、特別なことをする必要はないと思っています。健常者と障がい者と一緒にまずはやればいいのではないかと。どうしても日本の社会で障がい者と聞くと、「何か手助けしなければ」と思ってしまいがちです。そうではなく、普段と同じように接して、大変そうなときは見守ってあげて、本当に困っているときに手助けをしてあげる、ということが大切です。それと同じように、サッカーやスポーツをすればいいのではないでしょうか。私たちも障がいのある子と健常者で一緒にサッカーをすることがありますが、そうするとうまく動けなかったり、わかっていなかったりすることも出てきます。そうしたときに「大丈夫か?」という言葉をコーチたちが自然に掛けてあげればいいのです。そういう想いでどんな子でも受け入れていけばいいのではないかと思います。
「まず一緒に来てボールを蹴ってみましょう」という形で、特別なことではなく始めてみればいいのではないかと思います。

ーーまずは一緒にやってみよう!ということと、指導者の理解があれば、思ったよりもハードル低く活動開始できそうですね!

チケットはこちらから

https://sports-for-social-summit2022summer.peatix.com

特設ページはこちら

https://www.sports-for-social.com/summit/

◆Session.10 概要
6月9日(木) 19:00~19:50
タイトル「Jリーグチームが障がい者サッカーに取り組む理由とは」

登壇者
望月選(横浜F・マリノスフトゥーロ 代表)
西眞一(鹿児島ユナイテッドFCフューチャーズ 総監督)
鈴木順(公益社団法人日本プロサッカーリーグ 社会連携部 部長)

モデレーター
柳井隆志(株式会社HAMONZ COO)

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