海洋ゴミ問題、とくにプラスチックゴミ問題が深刻です。
年間約800万トン(※1)が海に流出していると言われる海洋プラスチックゴミは、その有害性や環境負荷が大きく叫ばれ、多くの活動が進められていますが、世界中すべての問題の根本を解決するには小さなアクションの積み重ねが必要です。
“環境”の問題に長く真摯に向き合ってきた企業であるサラヤ株式会社。洗剤をつくるメーカーとして、原料の1つであるパーム油を生産するマレーシア・ボルネオ島での環境保全活動や、製品パッケージにおいても環境負荷を与えないものを開発するなど、多岐に渡る角度から環境への取り組み、配慮をしている中で、今回取り上げるのは『BLUE OCEAN PROJECT』(以下、ブルーオーシャンプロジェクト)です。
海洋ゴミ問題に踏み込んだこの活動は、2025年大阪・関西万博でも注目を集めました。その深い中身に迫ります。
※1.参考:WWFジャパンWEBサイト「海洋プラスチック問題について」、Neufeld,L.,et al.(2016)
サラヤ株式会社とブルーオーシャンプロジェクト
サラヤは1952年に創業し、その当初から衛生・環境・健康をキーワードにした製品づくりを行っています。戦後の日本で流行していた赤痢という感染症から人々を守るため、殺菌・消毒ができる緑の液体せっけんと専用容器を製造販売したことをはじめとして、現在のヤシノミ洗剤やその他の製品に至るまで、その“衛生・環境・健康”のキーワードは受け継がれています。
2024年にスタートした『ブルーオーシャンプロジェクト』は、ゼロエミッション構想を日本で展開するためのNPO法人ゼリ・ジャパンとともに活動しており、その設立にはサラヤ株式会社代表取締役社長の更家悠介氏も携わっています。
2025年大阪・関西万博では、NPO法人ゼリ・ジャパンが出展する『BLUE OCEAN DOME』のパビリオンパートナーとして支援。海洋ゴミ問題の現状や漁業などの海の事業の持続的な発展のための課題、海洋気候変動の問題などを発信したその内容は、多くのマスメディアにも取り上げられ、期間中112万人もの方がパビリオンに訪れました。
サラヤ株式会社代表取締役社長 更家悠介氏対馬プロジェクト:日本の離島が直面する現実
ブルーオーシャンプロジェクトでは、長崎県の対馬に大量に漂着する海洋ごみに対する問題に『対馬プロジェクト』としてその解決のために動いています。
海流や風力によりアジア諸国からのプラスチックごみが年間に30,000〜40,000㎥も流れ着いていると言われる対馬。漂着するごみの中には、発泡スチロールの浮き玉やナイロン製の漁具、魚網など、処理が難しいものも多くみられ、その解決に多額のコストや人手が必要な状況になっていました。
対馬市の海岸の状況その全量回収、資源化・エネルギー化のプロセスの確立、そしてそのエネルギーを活用した産業育成に向け、サーキュラーエコノミー化を目指しています。
こうした課題を取り除くだけでなく、産業化し、持続可能な形を実現するのは、サラヤの社会貢献活動の大きな特徴です。植物うまれ甘味料『ラカント』は、人々の健康のための商品であるだけでなく、原材料の羅漢果の生産を通じて中国・桂林の貧しかった人々を救う産業にもなっています。
海を支える漁業と暮らし|モーリタニアプロジェクトと魚を新鮮に保つ工夫
日本国内だけでなく、海洋問題はグローバルに考えなければならない問題です。
西アフリカの国モーリタニアは、豊かな漁業資源を持っており、多くの漁業従事者が暮らしています。しかし持続可能な海洋資源の確保は、漁業者の生活に直結する問題です。
ここでもブルーオーシャンプロジェクトでは、持続可能な漁業における未利用魚や稚魚や幼魚などの無駄な捕獲を減らすために、ネットを使わない“バブルフィッシング”の開発に取り組むなど、直近でのビジネス化を前提とした取り組みを行っています。
バブルフィッシングの様子また、漁業に関連する活動として、日本やアフリカでは、液体急速冷却機のラピッドフリーザーを活用することで、漁獲した魚の流通量を増やすことにも貢献しています。それまでは保存状態が悪く捨てられてしまっていたものも、冷凍保存による流通でその可能性が広がっていきます。
これは遠い国の問題ではなく、グローバルサプライチェーンで私たちの生活ともつながるものです。“いかに持続可能にするのか”を考えることは、私たちに近い産業の場面でも大きなヒントとなるでしょう。
多様な環境への取り組みが、“考える”ことのきっかけに
『ブルーオーシャンプロジェクト』では、ご紹介した対馬プロジェクト、モーリタニアプロジェクトだけに留まらず、100%再生エネルギーで動く多目的沿岸用ボート『Blue Coaster』の開発、『ブルーオーシャン・イニシアチブ』との共創アクションなど、これからも広がり続けます。
『Blue Coaster』は、再生エネルギーで動きながらプラスチックやマイクロプラスチックの回収などさまざまな用途に対応可能です。環境に負荷をかけずに海洋ゴミ問題の解決につながるものとして注目を集めています。
大阪・関西万博での『BLUE OCEAN DOME』への112万人もの来場者数が示すように、環境問題、海洋ゴミ問題への注目度は高いです。こうした活動を深く知り、それぞれが考えるきっかけとなり、小さなアクションが積み重なっていくことが、これからも必要になっていくことでしょう。
100%再生エネルギーで動く多目的沿岸用ボート『Blue Coaster』