岡山県岡山市に本社を置くゼノー・テック株式会社。金型(かながた)における圧倒的な技術で国内でも大きなシェアを持つ企業で、高精度・高品質な“モノづくり”で世の中に貢献しています。
Jリーグ・ファジアーノ岡山のクラブスポンサーにもなっているゼノー・テック社の岸本耕一専務(以下、岸本)は、「自分が子どもの頃にはなかった憧れの存在が近くにいる」ことに大きな感動を持ってクラブに支援をしています。
ゼノー・テックの持つ特徴や、地元のプロスポーツチームの活躍が地域の企業に与える大きな影響についてお話を伺いました。

ゼノー・テックとは?総合金型メーカーとしての幅広いビジネス
ーーゼノー・テックとはどのような会社ですか?
岸本)ゼノー・テック株式会社はもともと父が設立した会社で、私自身は他社での経験を経て2016年にゼノー・テックに入社することになり、その後は営業や企画、生産管理などの業務や海外拠点のマネジメントをしています。
ゼノー・テックは国内で5拠点、海外で4拠点、ほとんどが“金型”を作るメーカーとしてビジネスを広げています。
ーー「ゼノー・テック=金型」の企業として、国内でも業界ではその名が知れ渡っています。
岸本)もともと金型メーカーとしてスタートしながら、さまざまな種類の金型製作ができる総合金型メーカーへと拡大してきました。金型製作に関するほとんどの工程を自社で行えるようにさまざまな設備を幅広く保有しているため、依頼があればそのご要望に合わせて素材・加工方法から最適なものをご提供できるのはゼノー・テックの大きな強みです。なかでも、粉末冶金用金型というジャンルでは国内トップシェアを誇っています。
ーー業界全体のいまの現状はどのような状況なのでしょうか?
岸本)金型の業界は家族経営の会社も多く、後継者問題に悩んだ結果、廃業せざるを得なかったり、どこかの会社と一緒になるところも増えています。この業界は、設備投資も必要で、金型は小さな傷も許されない繊細なものです。弊社のように材料の調達から製造・検査まで一貫してできるところは、納期・品質・コストなどの面で多くの企業から評価していただいています。

設計からお客様と一緒に考えることも|ゼノー・テックの強み
ーー粉末治金では国内トップシェアのゼノー・テックさんは、どのような点でクライアントから評価されていると感じていますか?
岸本)弊社に依頼される仕事は、「すでにお客様が設計した図面のある金型をご要望通りに作る」ものと、お客様の「こういうものが作りたい」というご要望を聞き、そうしたものが作れるような金型をつくる仕事、大きく分けて2種類があります。
お客様のご要望通りに金型を作り、納品する“技術力”もご評価いただいているところですが、やはりそれ以上に私たちから“提案できる力”が大きいと感じています。これまでの会社の歴史を持って、図面だけでは表せないような要求にも応えたり、材料やコーティング等に関してもコストや長持ちするかどうかを見極めて提案させていただくこともあります。
ーー図面がある場合でも、ゼノー・テックさんの積み上げてきたノウハウを用いてさらによいものを作ろうとコミュニケーションをされるのですね。
岸本)そうした想いは、父(現会長)の頃から続いている「やってみよう」という精神で積み上げてきた経験値によるものだと思います。大手の企業が断った案件もフットワーク軽く取り組ませていただいたり、リスクを考えるよりもチャレンジする文化がありますね。
ーーどんな部分でそうした精神が会社に根付いていることを感じますか?
岸本)弊社の場合は、営業職自身も技術的なことがよくわかっていることを強みにしています。技術的な知識がしっかりとあるからこそ、営業担当でもその場でお客さんと一緒に考えることができますし、ときには金型設計を行う開発部のメンバーがお客さんと直接やり取りして改善に動くこともあります。
もちろん、職人気質の方々のこだわりは弊社の屋台骨です。ですが、それだけを頼りにせず「変化“も”楽しんで、進化する組織」を目指してやっていきます。
ーー変化も楽しめる組織というのは素晴らしいですね。
岸本)展示会では、加工技術のPRのため“金型屋が本気でコーヒーミルを作ってみた”というコンセプトで出品してみたり、“モノづくり”自体を楽しむスタッフが多いですね。これは弊社のすごく良いところだと思っています。

“ファジアーノ”という文化が企業に与える影響とは?
ーー地元のファジアーノ岡山との関係についても伺っていきます。応援するようになったきっかけはどのようなものがあるのでしょうか?
岸本)2015年から少額でのスポンサーをスタートしました。2016年から入社した私がサッカー好きなこともあり、少しずつ関わりを増やしてきています。
ーー地元・岡山で育ち小さい頃からサッカーにも親しんできた岸本さんにとって、ファジアーノ岡山の存在はどのようなものですか?
岸本)小学校のときにJリーグが開幕したのですが、当時は近隣のプロスポーツチームは広島や兵庫にしかなく、“テレビで観るもの”と思っていました。大学生になって、関東圏のスタジアムに行ったときの“熱量”に感動し、「街が一体になってクラブを応援するって素敵だな」と感じていました。前職で広島で勤務していたときの広島東洋カープを応援する“文化”も、正直「うらやましい」と思っていました。
岡山において、ファジアーノ岡山がそうした“みんなで応援する”クラブになっていることが、地元の人間にとってはとても嬉しいことです。
ーー岡山の人たちにとって、大きな存在になっているのですね。
岸本)ファジアーノのロゴが入ったクリアファイルを配ったりしていると、「ファジアーノを応援しているんですね」と地元の企業さんからは反応していただきます。スタジアムの横断幕で自分の会社の名前が出ていることも、多くの社員が誇りに思ってくれていますし、対外的に見ても「地元に貢献している企業」として評価していただけることは、ファジアーノのスポンサーをするメリットとして感じています。
ーー他にはどのようなメリットを感じていますか?
岸本)弊社には外国人スタッフもいるのですが、スポンサーとしてもらえるチケットを、そうしたスタッフとの交流にも使わせていただいています。スポーツという共通言語は、そうした異文化のメンバーとの交流にも役立っています。

「子どもたちに夢を!」ともに与える
ーー2025シーズンは初めてのJ1リーグでの戦いが始まります。
岸本)J1昇格は本当に嬉しかったですね。スタジアムには行けず運転していたのですが、最後は車を停めて息子と一緒に観て熱くなりました。
地元のチームが勝ってくれることは本当に誇らしいことですし、さまざまな方が岡山に注目していただけたり、アウェイサポーターが実際に岡山にたくさん来てくれるのは、岡山を知ってもらえる機会として嬉しく思います。
ーーこうしたプロスポーツチームが地域にもたらす影響をどのように感じていますか?
岸本)子どもたちへの影響はとても大きいと感じています。身近にそうした“プロの試合”を観に行ける環境があることは素晴らしいですし、あのスタジアムの興奮を味わえることはすごいことだなと思います。
ファジアーノさんも「子どもたちに夢を!」と掲げて活動していて、そうした理念には私たちもとても共感しています。
ーーこれからのファジアーノさんとの関わりをどのように考えていますか?
岸本)弊社はものづくりの会社で、これから先も金型やそれ以外のことにもビジネスの領域を広げていきたいと思っています。
そうした私たちの挑戦のときにファジアーノさんとコラボさせてもらったり、ビジネスの部分でも相乗効果が出せるような関係性に発展していければいいなと思っています。これからも「変化も楽しんで進化する組織」を目指して、これまでのビジネスも大事にしながら新しい領域にもいまのメンバーの持つ文化や風土を持ってチャレンジしていきたいです。
ーーしっかりとした技術を持ちながら、新しい“モノづくり”にもチャレンジする、わくわくする会社ですね。これからの発展が楽しみです。ありがとうございました!





