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【#女性のコトを考える】働き方を考える~育児で得られる『新たな視点』~

女性のコトを考える 野村HD02

男性の中で、育児休暇を取得することに対し「仕事を離れなければならない」「昇進が遅れる」などの不安に襲われる人も少なくありません。しかし、育児をすることによって『新たな視点』が得られるとしたらどうでしょうか?

この連載では「#女性のコトを考える」をテーマに、女性だけではなく、男性が“女性”のことを、知る・理解するための対談をお届けしています。
今回のテーマは『働き方』です。女性は出産というライフイベントや、育児についても中心的な役割を果たすことが多いことも事実です。男性の育児休暇の制度も整い始めたものの、その利用率は12.65%(2021年、厚生労働省)と、政府目標に届いていないのが現状です。

日本の企業は、こうした『女性の働き方』についてどう考えているのでしょうか?
1つの事例として、野村ホールディングス株式会社(以下、野村HD)サステナビリティ推進室ダイバーシティ&インクルージョン推進課の大谷さん(以下、大谷)と北村さん(以下、北村)にお伺いしました。大谷さんは野村證券株式会社に入社してから30年、2人の娘を出産、子育てを経験しながら現在も働いています。

女性として、結婚したら家庭に入ることが当たり前だった時代の中で、仕事を続けることを決めた大谷さん。夫婦共働きの生活から見る、“男性”が感じる育児の価値、そこから生まれる『新しい視点』とは?

野村HD
【#女性のコトを考える】働き方を考える~育児休暇と会社のコト~この連載では「#女性のコトを考える」をテーマに、女性だけではなく、男性が“女性”のことを、知る・理解するための対談をお届けしています。 今回のテーマは『働き方』です。日本の企業は、『女性の働き方』についてどう考えているのでしょうか? 1つの事例として、野村ホールディングス株式会社(以下、野村HD)サステナビリティ推進室ダイバーシティ&インクルージョン推進課の大谷さん(以下、大谷)と北村さん(以下、北村)にお伺いしました。...

「夫婦でどうしていきたいか」

山﨑)私自身、結婚していてまだ子どもはおらず、妻は仕事をしながらも家事などかなり私のことをサポートしてくれています。今後子どもが生まれた場合、当然関わり方も変わってくると思うのですが、このあたりの家庭のことについても是非大谷さんに教えていただきたいです。

大谷)結婚当初、私の夫は家事もしないし、私も彼にさせる気はありませんでした。出産を経て私が仕事を続けることを決めるなど、時間の経過とともに変わっていく部分について「夫婦でどうしていきたいか」というのはその場面ごとにしっかりと話し合いをしてきました。
その中で、お金で解決できることもたくさんあるので、そこには惜しみなく投資しましょうという話にもなりました。

山﨑)家事代行など、お金で効率化できることはたくさんありますよね。

大谷)夫も家事を、という考え方もありますが、その場合は奥さんも初めてやる相手に、手出し口出しをしてはいけないんです。家事を夫がしてくれたことに対しては「ありがとう」以外の言葉はないんですよね。
洗濯物がちょっと変な干し方だったり、色物と白い服とを一緒に洗って色が染まってしまうTシャツがあっても、「染まるようなTシャツを買った私が悪い」と考えるようにしています。

mederi
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『新しい視点』が生まれる

山﨑)ご主人はどのように大谷さんと一緒に家事や育児を行っていたのでしょうか?

大谷)私たちは、保育園の送りは夫、お迎えは私、という分担をしていました。なので夫には保育園でたくさんのママ友がいました。保育園の朝や保護者会などは圧倒的に女性が多い環境なのですが、そうした場所には夫に行ってもらい、会社ではできない体験をしてもらっていました。
最初は嫌がっていましたが、同級生でたまにパパも参加してくれるようにもなり、全体の中では少数派だけれども、パパ友として楽しむこともできるようになったようです。パパもママも子育てを楽しもう!ということが大事で、子育ては女性のものと決めつけずに是非参加してほしいですね。

山﨑)男性にとっていい経験になる点もあるのですか?

大谷)子育てをすることで本当に『新しい視点』が生まれます。
今まで車で通っていた道を子どもと一緒に歩くと、本当に見えてくるものが変わります。こうした経験は、企業の中核である人たちの新しい発想にも繋がるんじゃないかと思うんです。

山﨑)なるほど、手伝うということではなく、新しい視点を得られる経験をするということになるのですね。

男性育児休暇制度をどう捉えるか?

山﨑)男性の育児休暇の制度も野村HDさんではしっかり整え、これから社員の人が多く使用する時期に入ると伺っています。ご担当である北村さんはこのあたりの状況をどう捉えていらっしゃいますか?

北村)現在野村證券では、配偶者とパートナーの出産育児休暇というのがあり、有給休暇が取れるようになっています。現在は、対象のうち9割ほどの社員が1日以上は取得している状況です
課題としては、このパートナーに対して本来の育児休業という意味に近い1か月以上の休暇を取り、育児をするような風土づくりがまだまだできていないところがあります。

山﨑)こうした男性の育児休暇については、働いている身からすると怖さがありますよね。取りたいとは思うのですが、例えば1ヶ月休んだとして、自分のポジションを外されてしまうことを考えるとなかなか取る選択はできないのではないかと思います。

北村)そうかもしれませんね。女性の育児休暇と同じように、同じ業務・同じポジションに戻すことが制度としては基本にあります。ただ、いまはそうした長期で育児休暇を取るロールモデルがいない「このような形で復帰後も活躍できる」ということがわからないと増えない、というのは、大谷さんがご経験された以前の女性の育児休暇取得と同じ段階なのではないかと思います。
山﨑さんのような、会社の代表でやられている方も積極的にそうした姿勢を見せ、ロールモデルになっていただきたいなと思います。

山﨑)先ほどの大谷さんがお話された、『新しい視点』『景色が変わる』、そしてそれが仕事に活きるという点は、すごく納得したお話でした。その一方で、「育児大変そうだな」という思いもあります。

北村)そうしたストーリーは、まだまだ取得者が少ない現状から生まれるものでもあります。体験された方の話は非常に価値があるものになりますよね。

大谷)育児を経験することで、「自分ができてることは自分の力で」と思っている方はとくに、「自分自身も誰かに助けられて成り立っている」ということを実感できるのではないかと思います。特に社員を抱える立場だと、そうした社員の家族のことをしっかりと自分ごととすることも大事ですよね。

北村)男性はこれまで、仕事で社会とは繋がっているんだけども、地域コミュニティは持たず、会社人間になってしまうことが多くあります。しかし、退職して地域に戻されることになると、周りとの接点がなく孤立してしまう状態が生まれてしまうのです。
そうした点でも、育児などの経験から地域コミュニティの繋がりを作り、新しい視点から社会課題を見られるようになることはビジネスにも繋がってくるし、充実した人生を作るよい経験になるのではないかと思います。

編集より

「育児休暇を取りたくない・取れない」という男性に対し、『新しい視点』が手に入る、というのは斬新なアプローチであると率直に感じています。女性の働き方が多様になってきたから、サポートするために男性も育児休暇を取るのではなく、自身のキャリアやリタイア後まで考えたときに、育児をする、しっかり地域と関わるということの必要性を大谷さんと北村さんの話から考えさせられました。

次回は、「ダイバーシティ&インクルージョン」をテーマにお話します。大手企業の考えるダイバーシティ&インクルージョン、その根幹にあるものは何なのか?是非あわせてお読みください!

野村HD
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