私たちの想い

骨髄バンクに向けた想い vol.5~青山 春美~

骨髄バンク説明員 前田さん、青山さん

Sports for Socialでは、骨髄バンクランナーズに関わる人々の想いを連載として取り上げていきます。

第5回は、青山春美さんです。

仕事で忙しい日々を送り、立ち眩み、息切れ、倦怠感などの症状が出てきた青山さん。検査の結果、骨髄異形成症候群と診断されました。地元・青森県に帰って感じたもの、骨髄バンク説明員としての想いを書いていただきました。

片岡智一さん
骨髄バンクに向けた想いvol.3 ~滋賀骨髄献血の和を広げる会 片岡智一~Sports for Socialでは、骨髄バンクランナーズに関わる人々の想いを連載として取り上げていきます。第3回となる今回は、滋賀骨髄献血の和を広げる会で活動されている片岡智一さんです。CMで心動かされ、そこから滋賀骨髄献血の和を広げる会の神山清子さんとの出会い、そしてドナー適合からのコロナ禍での骨髄提供まで。多くをご経験された片岡さんからは、何より患者さんへの深い想いが感じられました。...
チャリティーマラソン
骨髄バンクに向けた想い vol.4~山岡紗恵子~骨髄バンクランナーズに関わる人々の想いを取り上げる連載企画。第4回は、京都在住の主婦・山岡紗恵子さんです。当時3歳の息子さんが白血病とわかってからの闘病生活。そこで感じた周囲への感謝の想いやスポーツと無縁の山岡さんが走り出した想いを綴ってくださいました。...

スノーボードとの日々

初めまして。

青森県骨髄ドナー登録推進会でドナー登録説明員のボランティア活動しております、青山春美と申します。

青森市で生まれで雪国育ちの私ですが、スノーボードとの出会いは20代の頃。スキー場でのアルバイトでスノーボードと出会い、瞬く間にスノーボードの魅力に取りつかれてしまいました。

休みのたびに、友達や2人の弟たちとあちらこちらのゲレンデに行きました。山と太陽とスノーボードからエネルギーを吸収し、汗を流す楽しい日々でした。

スノーボード(青山さん)

私、骨髄異形成症候群

2012年、私は神奈川県横浜市に住んでいました。休日のある日、立ち眩みがして目の前が真っ暗になり椅子に倒れこみました。一瞬何が起こったのか分からず、空白の時間。

当時は仕事で出張が多く、家にいる日がほとんどない忙しい生活の日々。いつからか階段の上り下りで息切れがひどく、疲れがとれない、倦怠感、足に数えきれないほどの青あざができたり、歯磨きすると歯茎からの出血がなかなか止まらない時がたびたびありました。

疲れてるのかな?くらいにしか思っていませんでしたが、会社の先輩から貧血かもしれないので病院で検査するように勧められ、受診した最初の病院で、「貧血というより、白血球、赤血球、血小板が低いから他の病院で検査した方がいい」と言われました。すぐ紹介状をもらい会社の近くの横浜赤十字病院で骨髄窃取、検査の結果「あなたは骨髄異形成症候群です。」と告知されました。

骨髄異形成症候群とは

骨髄異形成症候群とは、造血機能に異常をきたす内科疾患で、骨髄で造血機能が無効な機能の細胞産生を引き起こす疾患群のこと。 骨髄異形成症候群の患者は貧血を合併し頻回な輸血が必要となり、骨髄は機能不全となり、3人に1人の割合で急性骨髄性白血病に進行します。

生きるには骨髄移植が必要

骨髄異形成症候群と告知され、病気の説明をされても頭が真っ白で理解できず、何が自分の身体に起こっているのか考えられない、先生の話も他人事のようで思考が停止状態でした。そんなときに医師からは命の長さを告知され、骨髄移植(造血幹細胞移植)を勧められました。

「長く生きられないの?」
「骨髄移植って何?」
「ドナーが必要?」
「ドナーから提供してもらえるの?」

何が何だかわからないうちに移植の話が進んでいきました。

骨髄移植、治療費、仕事の事や将来の事を考えると不安でしかなく、住み慣れた横浜での生活の全てが無意味で、異国にいるような孤独感で辛くなり、移植をするなら家族のいる青森で治療したいと思い、紹介状をもって青森県立中央病院を受診しました。

血液内科での待ち時間はとても長く感じられましたが、看護師さんの聞きなれた津軽弁に「あ~青森に帰って来た!」という安心感で不思議と生きられる!もっと長く生きたい!という気持ちになり、生きる希望が湧き、自分の生まれたこの病院で移植するかもしれない、移植して生きられるまで生きる!という決意に変わりました。

ドナー登録説明員募集の記事

そんな事を考えながら、ふと目に留まったのは、血液内科の待合室の壁に貼られていた「血液疾患と歩む患者と家族の会 まろまろ」の会報でした。患者会の遠足の計画や、患者の経験談など書かれた記事の隣に「骨髄バンク説明員のボランティア募集!!」の記事が目に飛び込んできました。

患者会で骨髄移植の経験談も聞きたいし、骨髄バンクの説明員になりたい。よし!この活動に参加しよう!今すぐやろう!と思い看護師さんに“まろまろ”の患者会と“骨髄バンクのボランティア活動”に参加したいと相談。看護師さんがその場ですぐ連絡してくれて入会することになり、青森県ドナー登録協力会(参加当時の会の名前)代表の佐藤氏に入会希望の電話をし、ご挨拶に伺った献血併行型ドナー登録会場の公園で、そのまま献血の呼び込みの手伝いをして、その約1ヵ月後には説明員の資格をいただきました。

青山さん

ドナー登録会で感動の出会い

ドナー登録会に参加するとたくさんの人との出会いがあります。

突然手を差し出されて「主人が骨髄バンクにお世話になって助かったのよ。有難う!」とお礼を言って握手されたり、「娘が白血病かもしれない…移植しなければならないかも…」と心配そうなお母さんに話かけられたり、「父が白血病で寛解し、助けてもらったので登録します」と登録してくれた若い青年に出会ったり、「この子、ダウン症なんだけど、生まれた時にたくさんの血をもらってお世話になったの。だからお礼に誰かのために登録したくて」と声を掛けてくれたお母さんとの出会い。

「誰かの役にたてるなら…」とあたたかい言葉をかけて頂き、ドナー登録会に参加する度に、あたたかい気持ちになり、勇気と感動を毎回たくさんもらいます。
血液疾患の移植を待っている仲間の為に!と思って始めた活動で、毎回、勇気!と希望!と元気!をもらっています。

小冊子

移植は大きな希望の光

白血病、再生不良性貧血、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群などの血液疾患の患者さんは、通常の化学療法や免疫抑制法だけでは治すことが難しく、完治させることを目的として行う治療法が造血幹細胞移植です。

移植をするのには、白血球の型・HLAが適合しなければなりません。兄弟での適合率は25%、非血縁者だと数百万人から数万人に1人の確率です。レシピエントは移植の前に抗がん剤投与や放射線の照射を受け準備に入ります。副作用の苦しみに耐えながら、命がけの治療に取り組んでいます。

私は現在、主治医の先生と相談したうえで、骨髄移植をしない判断をしました。9年前に青森に帰ってきた当時、医師からは3~5年と言われましたが、現在はプリモラボンという赤血球を増やす薬を服用して現状維持をしています。ラッキーなことに体調もよく元気にしており、この先移植が必要なときがきて、生きられる可能性があれば移植を受けようと思っております。

そんな中でも、来年の4月には現在所属する青森県骨髄ドナー登録推進会をNPO法人にしようと思い、積極的に活動しています!今後もこれまで以上にアクティブに活動していきたいと思っています!!

元気をわけてください

あなたの愛と勇気で助かる命があります。

あなたの知らない誰かのために。

一人でも多くの大切な命がつながるよう、これからも血液疾患や骨髄移植等の啓発活動、ドナー登録募集の呼びかけをし続けていきたいと思います。

それが私にできること。

私がつなぐバトン。

命のバトン

編集より

「あなたは骨髄異形成症候群です。」

頭が真っ白になった青山さんを前向きにしたのは、地元・青森の安心感でした。そこから骨髄バンク説明員になり、さらに出会いを増やしていきます。「誰かの役に立ちたい」という想いでの活動は、自分も勇気や希望をもらえる活動になっているとのことです。

どんな状況でも前向きに一歩踏み出す、その結果さらに前向きに生きることができる。青山さんのそんな姿勢に心動かされました。

松井一矢さん
骨髄バンクに向けた想いvol.1~骨髄バンクランナーズ 松井一矢~骨髄バンクランナーズの連載の第1弾。献血を100回以上しながら、トライアスロンの日本代表になった松井一矢さん。献血から骨髄バンクの登録が簡単であることを知り、登録した直後の適合通知。トライアスリートとして啓蒙活動を続ける想いを伺いました。...

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画像提供:サラヤ株式会社
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