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【シャレン!/いわてグルージャ盛岡】こども食堂を知る!広げる!岩手のハブとしての取り組み

グルージャこども食堂

Sports for Socialでは、2021年「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJクラブの「想い」を取り上げます。今回は、いわてグルージャ盛岡のこども食堂との活動について、クラブスタッフの福田さんにお話を伺いました。

こども食堂への関わりのはじまり

ー今回シャレン!アウォーズに出された、こども食堂との取り組みのことでお伺いしたいと思います。まずはどのような関わりから始まったのでしょうか?

福田)グルージャでは、2020年の8月からこども食堂との連携を始めました。

最初の始まりは、シャレンの会議の中での「シン・みつプロジェクト」です。その会議に出席されていたインクルいわてという団体さんとお話をし、まずは自分たちがこども食堂について知ることから始めました。

ー最初の取り組みはどのようなものでしたか?

福田)一番最初に、岩手県の雫石町のイベントに参加させていただきました。自治体や団体、企業とともに地元の子どもたち、地域の人たちをあつめたイベントです。グルージャからはスタッフとマスコットのキヅールを連れて行って、子どもたちと一緒に遊んだり、野菜を収穫するなどの活動をしました。

1回目はこども食堂を知ろうという活動でしたが、今度はこども食堂の方たちにJリーグを知ってもらおう、という活動をしました。

グルージャの試合に、県内のこども食堂の利用者の方々を招待し、スタジアムのバックヤードツアーやウォーミングアップ中の選手との交流、実際にピッチに寝転がってもらったりもしました。一番印象的なのは、スタジアムグルメで実際に子どもたちに中に入ってもらってお手伝いしてもらったことですね。夏だったので、かき氷をつくったり、呼び込みをしたり、食に関する職業体験もしてもらいました。

グルージャ盛岡

ーお互いに知る活動をしたのですね!

福田)そのあとは、本格的にグルージャがこども食堂に参入する動きをしていきました。持続可能な取り組みにするために、いろいろな人をこの取り組みに巻き込もうと考え、Jリーグのスポンサー、地元企業に協力してくださいとこちらから声掛けをしました。一例を言うと、ヤマザキビスケットさんからルヴァンプライムを400ケース送っていただいて、グルージャから県内のこども食堂に配布しました。地元企業さんにはイベントのところでお願いをしました。なかでも福田パンさんと、美多加堂さんは、毎月定期的な提供をいただいています。

さらに、企業だけでなく地域の人たちも巻き込みたいということで、グルージャのインターン生にも活躍してもらっています。自分の地域にこども食堂があったとしたらなにができますか?ということを聞くと、「ダンスを教えられるよ」とか「ペットボトルロケットをつくれるよ」とかいろいろな意見が出てきました。インターン中にイベントがあるときには、自分で考えたこども食堂との接し方を実践してもらう機会をつくりました。

それでも昨年は、クラブ主導で動いたところが大半でした。今年は昨年以上に企業や地域を巻き込んで、仮にグルージャがこのプロジェクトから外れたとしてもその活動が岩手県で続いていくような取り組みにしていきたい、と思っています。

お互いを知る、フォローし合う関係づくり

ー「現状を知る」という部分をしっかり取り組まれた印象があります。岩手県でのこども食堂の現状をどのように感じましたか?

福田)岩手県は北海道の次に面積が大きく、各地域によって取り組みの内容は違うんですが、全体としてこども食堂=貧困につながっている人が多いなと思いました。こども食堂はごはんが食べれない人が来るというより、誰でも来てもいい、コミュニティの場になっています。私たちが参加したところは、ファミリーで来ている人が多く、地域の方たちと一緒にご飯を食べていました。食べたあと、子どもたちは広いところで遊んで、親同士は情報交換をする。そこに地域の高齢者の方も陶芸を一緒にやったり、本当に学童の延長のような形で、昔で言う寺子屋のような感じでした。毎週1回そこに集まってもらって、交流しながらみんなでごはん食べて、明日も頑張ろう!という場であることを実際に行ってみて実感しました。この活動を通して、そうじゃないんだよというところをどんどん発信していければと思います。

ーJリーグのこと、グルージャのことを知ってもらおう、という取り組みをされたきっかけってありましたか?

福田)まずは相手のことを知る、相手のことを知った上で自分たちのことを知ってもらう、というのが自分たちの活動の根底にあります。双方フォローし合う関係と呼んでいるのですが、お互いのことを知ってお互いのことを認識して、どの活動でもそう持っていきたいと思っています。こども食堂もそういうスタイルに当てはめていきました。サッカーを生で見たことない子もいましたし、サッカーチームが岩手にあることも知らない子もいました。そういった意味ではとてもいい機会になりました。

ーフォローし合うというのは持続可能な活動につながりますね!この活動を始めてから変わったところはありますか?

福田)私たちがこども食堂に顔出すようになってから、スタジアムに来たことない人もクラブのことを応援してくれるようになったり、スタジアムでもお見かけするようになりました。こども食堂に関係ないイベントでもその効果は感じています。例えば北上市で発達障がいを持った子たちへの運動教室をグルージャ主催でやりました。コロナ禍ということもあってボランティアの方が集まらずに苦労していたのですが、こども食堂で関わっていた方たちが実際に運営のところで集まって来てくれたり、イベントを一緒にやっていただきました。いろいろなところで連携できるようになりました。

こども食堂もただごはんだけ食べて終わりではなく、一緒にいろんなことをできるんだという可能性を感じました。

グルージャ盛岡

助け合う文化の中で、企業・地域との関わり

ー実際に協力していただいている企業さんの反応はいかがですか?

福田)企業の反応はすごくいいです。岩手県は助け合う文化っていうのが根付いている地域だと思っています。こういうことをしたいので協力してほしい、としっかり説明すると、こちらが要求する以上の物資をいただいたりとか、逆に先方から、最近連絡ないけど物資足りてるのか?などの連絡をいただいたり、一度乗った船を最後まで進めていただけるような環境が整っています。今まで支援していたところ以外の、新たな子ども食堂への支援に関しても前向きにやっていただけています。

もっといろいろな企業に周知して、協力してくれる企業を増やしていくのは僕らの役割かなと思います。

グルージャ盛岡

ー助け合う文化ってほかの場面で感じることはありますか?

福田)僕は岩手県外から来たんですが、岩手の方々は横のつながりが多いなと思います。冬の時期にスノーバスターズという、高齢者の家を回って除雪をする活動をしているのですが、そこには地元の学生がたくさん来ます。彼らはそれに対して、楽しみに、積極的に来るんですよ。休みの日なのに。(笑)

そういうのをして当たり前だということを若い世代の人がやっているというのは感心しましたし、僕が回ったチームでは高校2年生の男の子がリーダーになって僕らを指示してくれる、リーダーシップを発揮してもらいました。

今後の活動

ー今後の社会連携として取り組みたいことは?

福田)こども食堂に関しては、今シーズンは選手を派遣していきたいのと、関係人口を増やしていきたいと思っています。現在県北のエリアではこども食堂が1件もないのが現状なので、グルージャがまず動き出して、自治体を回ったり、地元企業に声掛けしたり、地域の方に協力要請するため足を運んでいきます。まずは僕らが一度やってみて、そこで知ってもらって、それを横展開して地域に根付かせるということも考えています。

今シーズンから始めた、グルージャ米プロジェクトにおいても、こども食堂の子たちと農作業したり、実際にできたものを支援に使っていく、ということをやっていきたいです。