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「ソーシャルクラブ」ってなに!?大分・ジェイリースFCの原動力、竹本さんに迫る。

ジェイリースFC集合写真

スポーツを通したまちづくりをー。

ジェイリース株式会社のCSRの一環として作られたサッカーチーム『ジェイリースフットボールクラブ(以下、ジェイリースFC)』。2018年度に大分県社会人リーグ3部に参入すると、最短距離で駆け上がり、昨年度は大分県リーグ1部優勝、その後の九州大会も制し、九州リーグへの切符を手にしました。

しかし、彼らの魅力はそのサッカーの実力だけでなく、「ソーシャルクラブ」としての一面。スポーツを通したまちづくり、地域貢献を掲げ、SDGs関連の活動にも積極的に取り組むなど、社会への還元を日々体現しており、その様子はジェイリースFCが発信しているTwitter、そしてこのSports for Socialに寄稿している連載でも見ることができます。

地域のため、社会のためを掲げるクラブは多くありながら、ここまで地に足をつけた活動を実践できているクラブも珍しいのが現状。その立ち上げから先導し、いまもジェイリースFCの心臓ともいえる竹本雅美さんにお話を伺いました。

ジェイリースFC2021

教員、そしてスポーツ庁での経験

ーいつもSports for Socialに寄稿いただきありがとうございます。私たちもいつもその知識の幅やしっかりとした活動に関心させられっぱなしです。想いの軸もブラさず、竹本さんは本当にすごいなぁと。

まずは竹本さんがジェイリースFCに至るまでのお話を聞かせていただけますか?

竹本)私は元々大分県の出身で、バレーボールを中学生のときから始めました。田舎ではなかなかスポーツの指導者がいないという課題に気づき、自分が教員になって指導者に恵まれない子どもたちにバレーを教えたいというのがあって、筑波大学に進学しました。卒業後は大分県に戻って、長い間、保健体育の教員をしていました。

ーどんなきっかけで教員から次のキャリアを?

竹本)2010年~2013年まで、インターハイ開催のための準備で、大分県教育委員会に異動になりました。そのあとは学校現場に戻りたいと思っていたのですが、突然、当時の文部科学省から来てほしいという話がきました。断り続けていたけれど、誘う側の熱意がすごくて。(笑) 2014年から1年半は文科省、1年半はスポーツ庁で働きました。

あまり想定していなかったキャリアでしたが、そこでスポーツボランティアに出会ったのが大きなターニングポイントでした。川崎フロンターレ、FC東京などボランティアの視察に行かせてもらい、特に松本山雅さんに行ったときにはすごく響くものがありました。スポーツボランティアをやっている人たちって皆さんすごく熱量があって、そこで「スポーツ×地域」というものを自分の中でいろいろ考えたいなーと思い始めました。

ースポーツと社会貢献が結びついたタイミングだった?

竹本)そうですね。それまでは学校現場で、スポーツに関しては「教育」「うまくなって楽しむ」ということが中心でしたが、地域の人たちと関わることによって、スポーツの今まで見えなかった価値が見えてきました。地元である大分トリニータの試合を久しぶりに見に行こうと思えたのもボランティアの方々との出会いがきっかけです。

ーボランティアからスポーツに興味を持つ、というパターンだったのですね!その後、ジェイリースに入られたきっかけは何だったんでしょうか?

竹本)文科省(スポーツ庁)には3年という任期で行ったので、2017年に大分県教育委員会に戻りました。その中で、行政ならではの縦割りの難しさを感じ、自分のやりたいことが自由にやれないということがありました。子どもから大人まで、教育から健康増進、地域活性化まで、となると同じ部署ではやれないことがあり、東京で学んできたことを活かせる場を探しているときに、ちょうどジェイリース株式会社が「スポーツを通したまちづくり」をやろうとしていることを聞き、飛び込んでみました。

ジェイリースFC SDGs

「サッカー」に決めるところからのスタート

ー竹本さんの入社当時から、ジェイリースFCは既に構想としてあったのですか?

竹本)いえ、その当時はまだ。種目を決めることから私の役割でした。(笑) もともとサッカーが有力候補だったこともあり、サッカーに決まりました。

ー立ち上げのときから、社会に根付かせる、社会貢献をというクラブだったということですか?

竹本)まさにその通りです。大分トリニータのスポンサーを長年やっていますが、それだと自分たちで直接的に「スポーツ×地域貢献」の活動はできないと感じており、クラブをもって実際にそういったことに取り組むためにチームを作りました。

ーチームを立ち上げて運営していく中で、社内で浸透させるための工夫、大変だったことってありますか?

竹本)会社の中にはクラブを立ち上げてどうするんだ?と思った人たちもいたかと思います。実際にクラブを活用して地域貢献活動をすることで、社内の人たちにも、ジェイリースFCって地域の人たちにも貢献しているんだという価値を生み出していこうとしました。実際に活動し、発信することでジェイリースFCというものを作り上げていった、動きながら存在と存在価値を知ってもらう、といった感じです。

ー社員の方の変化はいかがですか?

竹本)昨年度は、コロナで試合の応援にも来てもらえないし、フロアの違う社員さんとは話すことも減ってしまって、今年1年はなかなか実感することがなかったんです。でも、SNSでの発信を見て声をかけてくれる社員さんもいて、それは嬉しいですね。

また、社員選手が増えてきたこともあり、同じ部署に選手がいる人も増えたので、そういう意味でも少しずつ浸透はしていっているのかなと思います。

選手ってぶっちゃけどうですか?

ー選手のお話に移りたいと思います。最初はどんな感じでした?みんな「え、ソーシャルクラブ・・・?」となりませんでした?

竹本)なっていたと思いますね。(笑) サッカーとは関係のないSDGs関連のことをクラブのSNSにたくさん載せるのは、「おかしいんじゃない?」と言われたこともありました。当時、そんなことをやっているチームはなかったので、違和感があったんだと思います。最初は周りからの見え方を気にしている選手もいましたが、周りから言われたときになんでこういうことをしているのか?ということが自分の中で落ちていなくて、説明できなかったことが大きいと思いますね。SDGs関連の記事の掲載は、選手の写真をできるだけ使ったり、いまでも試行錯誤中です。

ー選手が変わってきたな?と思う部分はどのようなところですか?

竹本)他者から評価されたことが大きかったです。

一つ目は、「love.fútbol Japan」代表・加藤さんがお話の中で、「日本で地域貢献に頑張っているクラブはどこですか?」という問いに「大分県にあるジェイリースFCです」と言ってくださいました。

『社会とサッカー』By love.fútbol Japan

https://anchor.fm/lovefutbol/episodes/EP2-ebemg8

もう一つは、サニーサイドアップでスポーツPR関連の仕事をしている網岡太郎さんが、個人のTwitterで取り上げてくださいました。

https://twitter.com/taropon223/status/1249304822391517186

このようにサッカー関連の方から見ていただいて、評価をされると、選手たちの中でも「お、なんかいいんじゃない?」「やっぱりこういうのも大事なんだな。」と感じたようです。

ー自信を持って正しいと思えることが大事ですね。たしかに、ジェイリースってすごくいいことやってるよねってまわりから言われると選手もうれしいですもんね。

竹本)地域貢献など、私たちがやってることは目に見えて返ってくることではないじゃないですか。だから余計そういう他者からの評価が原動力になるのかなと思います。

ー選手によっても気持ち、力の入り方違うかな?と思うんですが、竹本さんの言っていることをやりたくないよって選手はいたりしますか?

竹本)一番最初から永芳さんがいて、池田さん、木島さんが入ってきて、その3人はすごく意識が高いし、この活動をやる必要性がわかっている状態です。コアなメンバー、リーダー的存在が率先してやってくれているので正直助かっています。監督がやっているのに、やらないという話にはならないですよね。(笑)

ーコアメンバーがしっかりいて、影響力があるというのは大きいですね。

地道な活動の継続、今後も目指すもの

ーこれまでジェイリースFCさんがやってきた活動自体、難しくなくて、自分でもできそうだなということが多いと思いますが、そういった情報ってどこから拾ってくるんですか?

竹本)いろいろな団体のTwitterを見たり、メルマガ登録をしたりとか、そっち方面の情報を得ることには時間を割いています。その中で自分たちでもやれることをピックアップして、スケジューリングして落とし込んでやっている、という感じです。

ーほんとに地道にやられているのですね。誰でもできることをやり続けるって難しいと思うので、そこの熱量、竹本さんのアクションはすごいなと感じました。

竹本さんとして、今後こういうことをやっていきたい!ということはありますか?

竹本)個人的にはもっと地域での活動を増やしたいですね、コロナもあって今年はなかなか地域での活動ができていないんです。

学校との連携のところでも、大分トリニータやヴェルスパ大分など、プロとか、カテゴリーが上のチームが行けないところとかに自分たちが行けたらと思います。5人の学校に大分トリニータが行くかというとそうはならないと思うので。笑

プロのチームが行きづらいところでも、子どもたちにスポーツの楽しさとかを伝えて、それが心に残ったりスポーツ好きになってくれたりしたら嬉しいですね。

ーありがとうございました!これからも寄稿よろしくお願いします!!