『ルッキズム』とは、人を外見で評価・差別する思想のことです。looks(見た目)とism(主義)を合わせた造語で、外見至上主義といった意味でも用いられてます。近年、国内外でこのルッキズムを問題視し、見直そうという動きが広まってきました。この記事では、ルッキズムの基本情報や社会の動きについて解説します。
ルッキズムとは
みなさんは身のまわりで「あの人は美人だから仕事もできそう」とか「あいつはデブだから運動なんてできないだろ」といった声を耳にしたことがあるのではないでしょうか。このような外見に基づく差別や偏見を指す言葉をルッキズムと言います。
ルッキズムは1970年代からアメリカで行われた肥満差別の廃絶を訴えるファット・アクセプタンス運動の中で生まれた言葉です。日本ではあまり聞き馴染みのない言葉でしたが、最近はメディアで取り上げられたり、2021年に改定された三省堂国語辞典に掲載されるなど、世間一般にも浸透し始めています。
社会に根付くルッキズム
ルッキズムという思想は日本に深く浸透しています。
例えば、企業が人材採用において外見を重視するという「顔採用」というものがあります。もちろん外見を重視するといっても、容姿や身だしなみ、立ち振る舞いなどの印象から総合的に判断基準する企業が多いです。しかし、優れた外見を重視して採用を決める企業が一定数存在するのも事実です。
また、まわりの目を気にしたり、ファッション雑誌やSNSに溢れるスリムな体型を目指すあまりに、過度なダイエットをしてしまう人も少なくありません。その影響により、拒食や過食などの食事に異常を引き起こす摂食障害になってしまう人も多いとされています。
ルッキズムを見直そうとする動き
こうした状況に対し、世界ではルッキズムを見直そうとする動きが広まっています。
その一つにミスコンの廃止があります。外見で優劣を決めるミスコンですが、時代の移り変わりとともに「外見やジェンダーに配慮がなく、時代錯誤である」などといった批判に晒されるようになった結果、ミスコンを見直し・廃止する大学や自治体が増えてきました。アメリカで100年以上の歴史を持つ「ミスアメリカ」コンテストでは、2018年に水着やドレスといった外見的要素を審査から排除すると発表しています。また、障がい者やプラスサイズ(体重超過や肥満)、病気などの特徴的な外見を持った人々がモデルとして活躍し始めています。
「顔採用」に対抗し、履歴書から写真欄を無くそうという署名活動も行われています。2020年に日本アルビズムネットワークが就活差別を無くす活動の一環として行なった「履歴書の写真欄を無くそう」キャンペーンでは、約12,000人の署名が集まりました。
ルッキズムは身のまわりにあらゆる形で存在し、多くの人々がそうした現状を見直そうと活動しています。身のまわりにルッキズムがどのような形で存在しているのか、それをどうすれば変えていくことが出来るのか。是非一度考えてみてはいかがでしょうか。