『サーキュラーエコノミー』は「モノが循環することでゴミを出さない経済システム」のことです。近年、環境汚染や廃棄物増加などの人間による地球への悪影響が問題視されています。この問題を世界的な規模で見直すために、サーキュラーエコノミーはとても重要な役割を担う社会システムなのです。
今回は、サーキュラーエコノミーの意味や仕組みについて、事例を踏まえて解説していきます。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミーとは、これまで消費され廃棄されてきた製品や原材料などを「資源」として循環させることです。2015年にEU(欧州連合)がサーキュラーエコノミーのアクションプランを提言したことが始まりといわれています。
従来の経済システムは、リニアエコノミーと呼ばれる、資源の原材料を製造→消費→廃棄するという一方通行の流れでした。しかし、大量生産・大量消費によって大量の廃棄物が発生するという問題が発生し、資源の枯渇などの環境問題が起こってしまうため、リサイクリングエコノミーを通じて3R(リデュース・リユース・リサイクル)が実践されてきました。3Rではリサイクルを行うことによって、廃棄までの期間を長くしていますが、廃棄物が発生することに変わりありません。
そこで、リサイクリングエコノミーを発展させたサーキュラーエコノミーが登場し、廃棄ゼロを目指そうとしています。
※環境省HPより引用
サーキュラーエコノミーの事例
スポーツチームの実例
ギラヴァンツ北九州
サッカーJ3のギラヴァンツ北九州が主催したギラヴァンツサマーフェスティバル2021においてサーキュラーエコノミーの実証実験が行われました。
この取り組みでは、スタジアムで使用するコップを生分解性樹脂で作り、コップを使用した後に堆肥化して野菜の栽培に活用したそうです。
メーカーの実例
ナイキ
NIKEが販売する製品を生産する過程で排出される二酸化炭素と廃棄物をゼロにすることを目標とする、“MOVE TO ZERO”と呼ばれる取り組みを行っています。
すべての製品に再生ポリエステルとサステイナブルコットンをブレンドした素材を使用しています。また、使用済みシューズとアパレルの寄付やリサイクルも行っています。
サラヤ
食器用洗剤などを製造するサラヤは、1982年から詰替えパックを発売するなど、いち早くプラスチック削減に取り組んでいます。
現在も、大学と協同ででんぷんとセルロースを組み合わせて、新たな海洋生分解性プラスチックを開発しています。
サーキュラーエコノミーの必要性・今後
サーキュラーエコノミーを実現することで得られる利点
- 環境負荷の軽減
- 新たな経済価値
- 雇用機会の創出
- 企業の経済活動の持続可能性を高める
- 社会的公正
こうして資源利用による環境への影響を減らし、廃棄物に新たな価値を付加することができます。
身近でできること
私たちがサーキュラーエコノミーの実現に寄与するためにはどんなことをすればいいのでしょうか。
シェアリングエコノミーを実践してみる
個人・組織・団体等が保有する何らかの資源を売買、貸し出し、利用者と共有することをシェアリングエコノミーといいます。シェアできるものは主に5つに分けられます。
- 空間(家、民泊、駐車場)
- 移動(相乗り、シャアサイクル、カーシェア)
- スキル(家事代行、育児、知識、料理)
- お金(クラウドファンディング)
- モノ(フリマ、レンタルサービス)
商品を買う際に、その商品を使用できる年数を考えたり、使い終わった後の行き先を考える
実は、私たちの身近にもサーキュラーエコノミーに関するものが多くあります。日々さまざまな選択をする上で、少しだけでも意識して生活すると、サーキュラーエコノミーを作り上げていくことに繋がるのではないでしょうか。