ポリティカルコレクトネス(Political correctness)は「政治的な正しさ(政治的な妥当性)」と訳され、特定の民族や人種、宗教、性別、職業、年齢などに対して差別的な表現を避けることを表します。
今回は、ポリティカルコレクトネスの意味や注目されている理由を解説していきます。
ポリティカルコレクトネスとは
ポリティカルコレクトネス(Political correctness)とは、人種や宗教、性別などについて寛容であろうとする考え方のことを示し、「ポリコレ」とも略されます。
具体的には、文化や価値観の多様性を主張し、マイノリティに対する従来の差別的な表現や認識を改めていく運動のことで、米国において1960年代から70年代にかけて使われ始めました。
ポリティカルコレクトネスが選ばない言葉や表現は、以下の通りです。
- 困っている当事者が不快感を覚えたり、屈辱的な思いをする可能性がある。
- 一見問題がなさそうでも今後の差別につながったり、しそうな可能性がある。
次に、ポリティカルコレクトネスの例を見ていきましょう。
ポリティカルコレクトネスの例
性別を連想させるもの
- 保母(女性を連想させる)→保育士
- 看護婦(女性を連想させる)→看護士
- スチュワーデス(女性を連想させる)→キャビンアテンダント
- カメラマン(男性を連想させる)→フォトグラファー
- ビジネスマン(男性を連想させる)→ビジネスパーソン
指向・思想における表現
性的指向
多種多様な性的指向が存在する中で、特定の指向性が非難されたり、侮辱されるといった出来事はこれまで多くありました。しかし今では「LGBTQ」という概念が認知されたことで、特定の性的指向を思考や概念から排除することなく受け入れる社会へ変化してきています。
宗教の選択
宗教の選択においても差別的表現をされてきた歴史があります。信仰している宗教以外を詳しく知る機会は少なく、知識不足、理解不足により、特定の宗教を信仰する人々の心情を傷つけるケースも少なくありませんでした。
ポリティカルコレクトネスについて考える
どんなに表現に気を使っていても、定義は人によって異なります。しかし、どのような立場であっても、「その表現は特定の誰かを排除していないか」「すでに差別を受けている人が、さらに困ることにならないかどうか」を考える必要があります。
差別や偏見を無くしていくことは重要であり、今後もそうした活動はなされていくべきです。しかし、その活動が行き過ぎることによって、結果的に自分たちの首を絞める可能性もあるのかもしれません。