Jリーグ・大分トリニータでは、2021シーズンユニフォームスポンサーおよびソーシャルアクションパートナーであるネットワンシステムズ株式会社と協力し、社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。
パラパワーリフティングや、アンプティサッカー体験など、ホームゲームでのユニバーサルスポーツ体験コーナーを実施してきた大分トリニータ。今回は、その内容を若手選手が学び、考える勉強会の様子をお届けします。
パートナー企業とともに取り組む、ホームゲームでのサポーター向けの活動。選手がその内容を知り、学ぶことで、どんなものが得られたのでしょうか?
参加選手紹介
藤本 一輝(ふじもと かずき)
2020シーズン、鹿屋体育大学在学時に特別指定選手として大分トリニータに入団。2021シーズンより加入。趣味は読書で、寮には多くの本が届いているそうです。
西川 幸之介(にしかわ こうのすけ)
2021シーズンに藤枝東高校より入団。プロ選手ながらしっかりと勉強にも取り組み、早稲田大学人間科学部eスクールでも学んでいます。
ユニバーサルスポーツ体験の印象
西川選手は、クラブ公式Twitterで『明日は〇〇のユニバーサルスポーツ体験です!』という投稿を見て、この取り組みは知ってはいましたが、「小さいときだったら、やってみたいなぁー」程度の認識でした。
2人には、Sports for Socialの記事や、ネットワンシステムズさんが作成した動画を見てまずは活動についてしっかりと理解してもらいます。
知ってみての印象
藤本選手は、この『ユニバーサルスポーツ』というもののイメージが変わったようです。「パラリンピックのような活動を勉強会前にはイメージしていたけれど、その中間、健常者も障がい者も一緒にできるスポーツが存在するということを知ることができた(藤本)」
西川選手は、「多様性を尊重するユニバーサルスポーツは、『1人1人が可能性を見出せる場』になるのではないか?(西川)」とのコメント。
2人とも、まずはこの活動を『知る』段階でも考えの変化がありました。
障がい者スポーツとのふれあい
まず知って感想をシェアしたあとには、『パラスポーツ・ユニバーサルスポーツ』という点により深く迫っていきます。
パラリンピックや障がい者スポーツは体験する機会、触れる機会もあまりなく、少し遠い存在だったという西川選手。
一方で藤本選手は、大学在学中には教育実習を経験し、オリンピックとパラリンピックの違いなどに関する授業も行ったそうです。また、小学校のときにはダウン症の同級生とも一緒にサッカーで遊んだりしているなど、思い返してみると障がい者スポーツとの接点は意外にあったようです。
プロの若手としての学びの場
今回は、『ダイバーシティ&インクルージョン』についても、考えるいい機会になりました。大分トリニータとネットワンシステムズの「健常者も障がい者も、誰もが一緒にスポーツを楽しめる社会へ」という考え方についても、記事や感想のシェアを通してしっかりと理解できたようです。
なかでも『ユニバーサルスポーツ』という考え方は、2人にとっても少し新鮮な考え方でした。パラパワーリフティングだと、やり方によって障がい者と健常者のハンデもなくなる競技であることなども大きく
「何不自由なくやっている身として、区別・差別をするのではなく、同じ条件で交流できる場があるのはすごくいいことだと思った(藤本)」
「障がいの有無、スポーツの得意不得意も含め、全員が楽しめるという考え方がすごく大事だと思った(西川)」
多様性を認め、一緒に取り組むことのできるユニバーサルスポーツの考え方。自身の所属クラブ、そしてパートナー企業が行う活動に目を向け、そこから選手にも少しでもよい影響が出ると嬉しいです。
プロ選手としての自覚・学びへの意識
藤本選手、西川選手、ともに2021シーズンから『プロサッカー選手』となりました。(藤本選手は2020シーズン、特別強化指定選手として大分トリニータに所属)
「影響力がある分、自分から情報を発信するときの公私の使い分けを意識しています。型にはまったフレーズも多くなる中で、自分の個性も出していかなければいけないことが難しい(西川)」
というように、プロ選手としての自覚の部分は大きく芽生えつつ、そこでのバランス感覚の難しさを感じているようです。
「大学生のときに比べ、自由に使える時間が増えてきています。同級生がサラリーマンとして頑張っている中で、自分は好きなサッカーを一生懸命できていて幸せだなと感じる(藤本)」
そんな藤本選手は、読書に多くの時間を使っているとのこと。自分の時間を今後のために有効に使うことを意識していました。
西川選手は早稲田大学のeスクールに通っています。
「もともと勉強はしっかりして、いろいろなものの見方や新しい知識を蓄えることは大事だと思っていました。大変ではありますが、『答えのない問題』に対し自分なりに考えていくことなど、新たな学びは増えていると感じています。(西川)」
新型コロナウイルスの影響もあり、プロ選手としてのホームタウン活動など社会との接点もなかなか持てない両選手ではありますが、自ら学ぶ姿勢・意欲にはこちらも刺激を受けるほどでした。彼らのような選手が、社会に対する学びを得て、クラブやサポーターなどを巻き込んで発信していく。そんな藤本選手、西川選手の姿が近々見られることを楽しみにしています!
編集より
Jリーグのホームゲームでの取り組みを選手が知る、というのはあまり多くありません。今回改めて、クラブが実施する活動を紹介することで、選手にとっても新鮮・かつ身近なものを題材にした学びになったのではないでしょうか。
こうした『ユニバーサルスポーツ』や、『障がい者との共生』に関しては、気づかなければ考えずに過ごせてしまう問題でもあります。
身近にある気づきを選手とも共有できたという点で、非常に価値のある会だったのではないかと思います。
藤本選手、西川選手、ご協力ありがとうございました!