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【経営者インタビュー】ネットワンシステムズが大分トリニータと社会貢献活動をする理由

エスコートキッズ

ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は、Jリーグ大分トリニータのユニフォームスポンサーおよびソーシャルアクションパートナーとして、社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。
Sports for Socialでは、彼らの取り組みを連載として取り上げます。なぜトリニータをスポンサーするのか、なぜ社会貢献活動に力を入れるのか——。
初回は、竹下隆史・代表取締役社長執行役員(以下、竹下)に、その考えを伺いました。

いないと困る「ICTのインフラ」

ーーまず、「ネットワンシステムズ」とはどのような会社なのか教えてください。

竹下)「ICT(情報通信技術)の利活用を通じて、社会変革へ貢献する」ことを企業理念としている会社です。インターネットの普及による様々な技術革新は、誰にとっても欠かせないものになっています。しかし、どんな便利なツールや先進的なテクノロジーがあっても、利用と活用がされないと意味がありません。
我々はこの利活用に重要となるネットワークの設計・構築・インテグレーション・維持運用をしている会社です。いわゆる「インフラ」を担っていると思っていただければ分かりやすいかなと思います。

ーースマートフォンなどの通信には、ネットワンシステムズさんの整えるインフラが必要ということなのですね!

竹下)一言で表すと、我々は「黒子」のような存在だと思っています。表には見えないけど、「いないと困る」会社だと思っていただけたらありがたいです。

ネットワンシステムズ 竹下社長ネットワンシステムズ株式会社 竹下社長(写真提供:ネットワンシステムズ株式会社)

「企業と人間、思いやりの部分では同じ」

ーーCSR(企業の社会的責任)活動に力入れていらっしゃいますが、力を入れられているのにはどのような理由があるのですか?

竹下)会社は『公器』だと、よく社員に伝えています。そして、会社は法人と呼ばれることがあるように、法によって『人格』を与えられた1人の人間とも考えられます。

社員・その家族、お客様、投資家の皆様、地域社会など、さまざまな関係性があるなか、会社が「公の器」であり、「人格者」として存在している以上、社会貢献活動をすることは当たり前だと思っています。
その当たり前という感覚・考え方を企業の中でより定着・浸透すればするほど、いわゆる法人としての人格が高まると考えています。

社会貢献という意味において、個人であろうが企業(法人)であろうが、『相手への思いやり』という部分では同じだと思っているので、CSR活動には真剣に取り組んでいます。

ーー「企業の人格が高まる」。すごく深いですね。

竹下)企業として考えると難しいですが、1人の人間として考えると非常にシンプルじゃないかなと思います。個人として、関わる人たちに思いやりを持って接するということの延長線上に企業のCSR活動があると考えています。

「企業として重要な要素 “素敵な行動が取れるか”」

ーーネットワンシステムズは、大分トリニータのスポンサーとして長く取り組まれています。どういった理由でスポンサードされているのでしょうか?

竹下)スポーツチームのスポンサードには、広告性を追求する「ビジネス優先型」と、社会貢献をメインにする「社会貢献型」という、大きく分けて2種類があると思っています。我々は、「社会貢献型」という意識で大分トリニータさんと関わらせていただいています。

私たちが初めてスポンサーとなった2009年当時、その決め手は「育成型のクラブ像」に大きく共感したことでした。
我々の会社もまだまだ発展途上でしたので、大分トリニータさんと一緒になにかを作り上げていくことが、自分たちの血となり肉となり、経験になるのではないかと感じていました。ともに悪戦苦闘していきましょう、とお話した記憶があります。

ーースポンサーをするなかで、リーグの昇降格などいろいろなことがあったと思います。

竹下)本当に「山あり谷あり」だったかなと思います。でも、山あり谷ありのときほど、関わっている人たちの本音が出てきます。谷のときにはもちろん「スポンサーをやる意味があるのか」という声もあったりしますが、私としてはそういうときこそ、応援したい!という気持ちがより湧いてきます。

ーー企業を人として見ると、山あり谷ありの中でもサポートし続ける、応援し続けるというのは“人格者”としての姿勢だと感じます。

竹下)スポンサーをするかどうかの基準で大事なことは、取っている行動が、会社の根本的な考えに合っているかどうかの話なんですよね。
企業なので、業績などの理由で手を差し伸べたいときに差し伸べられないことも確かにあります。ですが、どんなときでも「素敵だな」とまわりに思われるような行動を取れるかというのは、企業としてとても重要な要素だと思います。

車いすマラソン写真提供:ネットワンシステムズ株式会社

企業としての“本当のダイバーシティ”

ーーそういったお考えが「ソーシャルアクションパートナー」として大分トリニータと取り組んでいることに繋がるということですね。

竹下)「ソーシャルアクションパートナー」としては、地域や社会の課題をトリニータやスタジアムを使って解決していこうと、さまざまなことに取り組んでいます。
社内にも、「こういう考えでやっているんだよ」「すごくいいことやっているんだよ」と伝えながら取り組みを進めていくと、活動や考え方がもっと広がっていくと思うんですよね。
弊社には、社会貢献やSDGsを意識しはじめている社員が多いので、会社全体がそのような意識になる素地は、まだまだたくさんあると思っています。

ーー多様性への取り組み、というところが大分トリニータさんとの取り組みの中では多く占めていると感じています。

竹下)ダイバーシティ(多様性)の観点では、大分トリニータさんと「ネットワンごちゃ混ぜサッカー大会」に取り組んでいます。
本当の意味でのダイバーシティというのは、「垣根を払い、みんなで楽しみましょう」という気持ちを持ち、相手がどういう立場なのかを知ることだと思います。これは、企業という人格として、まさにこれから確実に考え、身につけなくてはいけない要素ではないかと思っています。

ごちゃまぜサッカー大会写真提供:ネットワンシステムズ株式会社

『知る』ハンディキャップのある世界

ーーパラ体験など、「知ること」を大切にされているイベントもたくさん行われていますね。

竹下)パラ体験は、多くの人に参加してもらい、ハンディキャップのある人たちのことを私たちがもっと知るべきだと思います。

我々が社内で行う研修の一つに「ブラインドウォーク」というものがあります。2人1組でペアを組み、1人が目隠し、1人が案内役になり、目的地まで案内するという研修です。
研修の目的はしっかりありますが、いざやってみると恐怖でしかないんですよ。ハンディキャップを持っている人は、“情報が1つ足りない”なかで生活していて、“私たちの当たり前”で動けているのではない、ということを知るのはすごく重要なことだと思います。
ただ、こうした体験を自分1人でやろうと思ってもなかなかできません。そうした体験に触れるきっかけが、我々がやっているパラ体験イベントなのかなと考えています。『楽しいイベント』として参加し、やってみることで何か気づきを得られるのではないかと思っています。

イベント写真提供:ネットワンシステムズ株式会社

「年齢や組織が関係ないのがスポーツの魅力」

ーーごちゃまぜサッカー大会などのスポーツイベントをすることへの意義をどのように感じていますか?

竹下)スポーツ、とくにサッカーの世界は、それぞれの役割に応じて、その場その場で瞬時に判断し、どうゴールを奪うか、どうゴールを守るか。そこに年齢や肩書きは関係ありません。
スポーツにはそうした大きな魅力もあると思っています。
それを会社組織で当てはめるのは難しいかもしれませんが、1人ひとりの考え方のベースには持っててほしいなと。会社に来て仕事をすることはみんなで1つの試合をするみたいなものですから。

ーーネットワンさんが感じるスポーツの魅力はどのようなところにありますか?

竹下)スポーツは、プレーをしていても観戦していても「喜怒哀楽」が出ることの多いものだと考えています。実は喜怒哀楽って、日常生活の中でそれほど出るものでもないんですよね。喜怒哀楽を味わえることは、すごく魅力的であると思いますし、それができるスポーツには大きな価値を感じます。

同じように、日常から離れた「異空間」という価値観も重要だと思っています。
例えば映画館、読書、それに美術館なども完全な異空間ですよね。その中の一つにスポーツ観戦もあると思っていて、日常から離れることによって日常の刺激になるという要素も喜怒哀楽のところに繋がっているのではないかと思っています。

年齢や立場関係がないところ、「喜怒哀楽」が生み出されるところ、異空間を感じられるところ。その全部がスポーツの魅力であり価値なのかなと。

ーーありがとうございました!

編集より

会社は法人。一人の人格者として相手に思いやりを持ち、社会に貢献するのは当たり前。

こうした竹下社長の考え方は、私の中にスッと落ちてきました。CSRという言葉の解釈における、企業の『責任』という部分で曖昧であったところを解消していただいたと思います。その上で、竹下社長もおっしゃっていた「素敵な」行動を取れるかどうか。

今後は、ネットワンシステムズ株式会社さんの大分トリニータとの取り組みを連載でご紹介していきます。実際にどのような形で取り組まれているのか。是非今後もご注目ください。(栁井)

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