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「セパタクローへの飽くなき情熱」は4歳のときに見た1枚の写真がすべての始まり

セパタクロー

2026年に開催されるセパタクロー最高峰の世界大会『愛知名古屋アジア大会』に向けて、今年日本でセパタクローのESリーグ(エス・リーグ、Extreme Sepaktakraw LEAGUE)が発足したのをご存知でしょうか?

セパタクロー日本代表選手たち自らが発足をしたESリーグのお話を、日本代表としても活躍され、現在は日本セパタクロー協会の常務理事兼JOC(日本オリンピック委員会)選手強化本部委員として、セパタクローの普及と日本代表チームの強化に努めている矢野順也さん(以下、矢野)にインタビューしました。

日本にセパタクローが入ってきた当時から、常に第一線で活躍してこられた「セパタクロー界のパイオニア」の矢野さんに、セパタクローを始めたきっかけやESリーグが立ち上がった経緯を伺ったところ思いもよらない回答が…

これまで支えてくださった企業様への感謝の気持ちが詰まったインタビュー記事を、ぜひご覧ください!

セパタクロー 矢野矢野 順也さん

 

サラヤ
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きっかけは4歳のときに見た1枚の写真から

ーーセパタクローを知らない読者の方もいると思いますので、あらためてセパタクローとはどんなスポーツなのか教えてください。

矢野)簡単に言うと、バドミントンコートで足を使って行うバレーボールで、ネットの高さもバドミントンと同じです。ボールにも特徴があって今はプラスチック製のボールですが、昔は籐(とう)という植物を編んで作っていて竹細工のようなものでした。盛んに行われているのは東南アジアで、タイとマレーシアでは国技ですしインドネシアやフィリピン、ミャンマーでも人気があります。それらの国ではスポーツというより文化のようなもので、子どもの頃からセパタクローに接して育っていますね。

プレイ人数もいくつか種類がありまして、基本は3対3でレグと呼ばれているのですが、2対2のダブルや4対4のクワッドもありますよ。

セパタクローのボールセパタクローのボール(男性用)

ーー日本にはいつごろ入ってきて、現在はどれくらい普及しているのでしょうか?

矢野)日本に入ってきたのは1989年です。その年に現在私が所属している一般社団法人日本セパタクロー協会(以下、セパタクロー協会)も設立されました。まだ日本に入ってきてから30年ほどのスポーツで、日常的にプレイしている選手人口は1,000人ほどで主には大学生以上です。

ーー日本では比較的新しいスポーツになるのですね。矢野さんはその中でもかなりの先駆者だと思うのですが、どうしてセパタクローを始めようと思われたのですか?

矢野)僕が4歳の頃に、たまたま夕方のニュース番組で東南アジアの珍しいスポーツとしてセパタクローが紹介されていて。そのニュース番組で、ひっくり返って足でボールをアタックしている写真(サッカーのオーバーヘッドのような写真)がテレビ画面に映っていたんです。そのたった1枚の写真の記憶がずっと頭に残っていて、「どうしてもこのスポーツをやりたい」と思い続けていました。

でも当時はまだセパタクローが日本にはなく、高校までサッカーをしていました。その後大学進学を考えたときに、「体育系の大学に行けばセパタクロー部があるかもしれないし、もしなくても作れるんじゃないか」と思い、日本体育大学に進むことを決めました(笑)

アクロバティック

ーー子どもの頃にたまたま見た1枚の写真の矢野さんに与えた影響はすごかったのですね。サッカーを続けたい気持ちにはならなかったのですか?

矢野)ちょうど僕が高校時代にJリーグが開幕してサッカーが大人気でした。当時はスポーツといえばサッカーみたいな雰囲気でしたからね。高校のサッカー部でも割と上手な方でしたので、大学でもサッカーを続ければ気持ちは満たされるかなと考えたこともありました。でも、どうしてもあの写真の記憶が残っていてセパタクローをやりたかったので、その想いを大切にしましたね。

今も講演などでお話させていただくのですが「心に正直に行動する」ことは大切だと思っています。そのおかげで日本代表として世界にも行けましたし、本当に素敵な個人の方や企業様とも出会うことができましたのでセパタクローを選んで本当に良かったと思っています。

支えてくださった企業様への恩返しがしたい

ーーセパタクロー界では、2022年にセパタクロー協会が後援となり「ESリーグ」が立ち上がりましたよね。リーグが立ち上がった背景にはどのようなことがあったのでしょうか?

矢野)3つあるのですが、1つはレベルの高いセパタクローの活動を定期的に継続することで、選手のレベルアップを図りたいこと。2つ目が選手の活躍を多くの方に見ていただくことで、セパタクローの普及や応援するファン層を広げたいことですね。

僕は現役選手だった当時、クラブハウスの中にセパタクローのコートを持ち込んで、DJに演出してもらいながらエンタメとしてセパタクローの魅力を知ってもらう活動を10年ほど行ってきました。セパタクローの全国大会は観戦無料にも関わらずお客さんがほとんど入っていなかったのですが、そのクラブハウスのイベントは数千円のチケットにも関わらず満席になるほど人気がありました。(当時のクラブイベントの様子:YouTube

クラブイベント

ーーセパタクローを競技というよりもエンタメとして見てもらう発想は、かなり面白い視点ですね。

矢野)セパタクローが“東南アジアで行われているダサいスポーツ”という印象を払拭したいと思って始めた活動でしたが、10年間そうした活動を行い、一旦は役目を終えたと思っています。現在は、多くの人にこの競技を通じて感動を伝えたい、そのためには日本代表チームが強くなるための活動が必要だと感じて活動しています。

ーーリーグを立ち上げた3つ目の想いは何でしょうか?

矢野)セパタクロー協会をずっとサポートしてくださっている企業様への協会そして選手たちの恩返しの気持ち。最後はこれに尽きます。

ーー企業様へ恩返しというと、どういうことですか?

矢野)4年に1度、セパタクローが1番盛り上がるアジア競技大会があるのですが、この大会のルール上、常日頃からセパタクロー協会にご支援いただいている企業様のお名前を出すことができません。
2018年の大会では銀メダルを獲ったにも関わらず、それまで支援いただいていた企業様のリリースをまったく流せないという苦い出来事がありました。

ーー盛り上がりの大きいタイミングで露出できないのは、支えてもらう側にとっても辛いことですね。

矢野)この状況をどうにかしなければ、と日本代表チームの飯田監督を中心に「企業様の露出ができる別のリーグ戦を開催すること」を考えました。そのリーグ戦を開催するプラットフォームがESリーグです。
このリーグでは、あくまでセパタクロー協会は後援で、企画運営のすべてを選手主体で行っています。

ーー矢野さんのお話を聞いていて、これまで支えていただいた企業様への感謝の気持ちがとても強くあるんだろうなと感じました。

矢野)この2年間、コロナの影響で国際大会が軒並み中止となりました。そのような状況の中でも変わらず支援していただいていますので、アジア競技大会が開催される今年はきちんと企業様に恩返ししたいと思っています。

ロゴ日本セパタクロー協会の協賛企業の一部
加藤超也氏
ラカントSが糖質の摂りすぎを解決する。『ファットアダプト』という考え方「アジア人は血糖コントロールが苦手」って知っていましたか? ファットアダプトという考え方で、糖質のコントロールなどを提唱する株式会社Cuore(以下、Cuore)。サッカー日本代表の長友佑都さんが代表取締役を務めることでも有名です。そんなCuoreがおすすめするのがサラヤ株式会社(以下、サラヤ)の『ラカントS』。前編では、ファットアダプトのそもそもの考え方や、糖質コントロールや中国桂林の産業づくりまで、ラカントSが解決している社会課題についてお伺いしました。引き続き、サラヤの廣岡竜也さん(以下、廣岡)、沢目晃誠さん(以下、沢目)と、株式会社Cuore(以下、Cuore)の岸川侑平さん(以下、岸川)にお話を伺います。自身の生活を改善したくなるお話が盛りだくさんです。...

セパタクローによる社会貢献活動は「子どもの教育」

ーー代表をされているNPO法人ふじみセパタクロークラブでは、競技の普及にも力を入れていますが、セパタクローの面白さはどのようなところにあるのでしょうか?

矢野)セパタクローを始めるきっかけや面白さは、スピード感やアクロバットなプレーだと思います。一方で、この競技が広まらない理由もそのスピード感やアクロバットなプレーです。誰でも簡単にできるものではないからですね。

そんなセパタクローですが、市と協力して開催している体験講習会に皆勤賞でずっと参加してくださっている70歳の方がいます。「もしかしたらつまらないんじゃないかな」と思っていたところ、すごく楽しそうなのです。その方を見ていて気づいたのですが、できないことに向き合っている日々や、小さな目標でもいいのでそこに向かう工程が楽しいのかもしれないと、最近は感じるようになりました。

セパタクローはすごく難しいスポーツだけど、『難しいから楽しい』のかなと。難しいからこそ、これを何とかしたいと向き合うことが面白さなのかなと思うようになりましたね。

ーー足でボールを扱うことに慣れていない人が多い中、その面白さをどう感じるのか気になっていたのですが、今のお話を聞いて納得しました!

矢野)競技の面白さはもう1つあります。年齢や性別やスポーツ経験などを問わず、誰もが初めての体験ということでスタートラインが同じです。だからできないことがまったく恥ずかしくないんですね。できない中でも、仲間たちとチャレンジしていくことも楽しいのかなと思いますね。

NPOでのセパタクロー

ーーサッカーや野球は、もちろん個人の技術力の向上も大切なのですが、子どもの頃から相手との勝負が強く意識づけされていると思います。セパタクローも相手との勝負はありますが、プレーそのものが難しいので、まずは自分の技術力を高めることに意識を向けられるのではないでしょうか。

矢野)まさにその通りで、セパタクローは自分と極端に向き合えるスポーツです。他のスポーツの場合、例えば野球のキャッチボールのように基礎の基礎と言われるものは簡単な場合が多いのですが、セパタクローの場合は基礎の基礎がかなり難しくて。

セパタクローの基礎の基礎は「どんな状態でも片足でうまく立つこと」なのですが、足首や膝の角度、骨盤の傾きなど、自分の身体と常に向き合い続けることが必要になります。日本代表選手でも考えて探究し続けているほどですからね。

ーーセパタクローによる社会貢献にはどのようなものがあるのかと考えていたのですが、普及を通じて子どもたちが自分に向き合い、考える力をつけるサポートしていくことも立派な社会貢献活動だと思いました。

矢野)そう捉えていただけるととても嬉しいです。ほかにもセパタクローは足を使ってボールを蹴り合うスポーツなのに、相手にボールを返すときは蹴ってはいけないというマナーがあるんです。だから、どの選手も必ず手で優しく転がして相手に返すということがマナーになっています。

人を思いやることは簡単にはできないかもしれないのですが、セパタクローのマナーの中にはその要素も入っています。だから、この競技が普及することで人を思いやれる子どもたちが増えていってもらえたらとても嬉しいですね。

ーーセパタクローにはまだまだたくさんの可能性がありそうですね。本日はありがとうございました!

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