スポーツ

子どもたちが自らを高め、夢が繋がる場所を~萩原智子杯~

サムネイル用

元競泳選手で、シドニー五輪にも出場した萩原智子さん。
実は彼女の現役中から、『萩原智子杯』という小学生向けの大会が開催され、20年続いてきているのをご存じでしょうか?
名前を冠にするだけでなく、自ら大会の企画やスポンサーとの折衝も行っている萩原さん。そこには、「子どもたちの成長を見たい」というシンプルで純粋な想いがありました。

サラヤ
あなたの身近にも!?サラヤってどんな会社?Sports for Socialのトップパートナーであるサラヤ株式会社(以下、サラヤ)。ボルネオやウガンダなどでの社会貢献活動に注目されがちですが、「そもそも商品自体が社会貢献になっている」ということもサラヤの特徴です。 今回は、コミュニケーション本部広報宣伝部の廣岡竜也さん(以下、廣岡)、秋吉道太さん(以下、秋吉)にお話を伺いました。...

子どもたちのための試合を山梨で作ろう

ーー萩原智子杯を創設されたきっかけについて教えてください。

萩原)私の出身地である山梨県のスイミングスクールの先生から、「萩原智子杯を立ち上げないか?」という話をいただきました。当時まだ私は現役選手だったのですが、「山梨のジュニアの子どもたちが目標とできるような大会にしたい!」という想いに共感したところからスタートしました。2001年12月から始まり、おかげさまで2021年の大会で20回目を迎え、2014 年から福島、2018年から春日井(愛知県)でも開催しています。

ーーご出身地での大会が始まりなのですね!

萩原)そうですね。私自身、山梨県という海がない県で生まれ「田舎だから」などを言い訳にしていた時期もあります。ですが、強くなるために「競技会に出場し、ライバルと切磋琢磨することで強くなる!」ということも経験上感じていたので、子どもたちのためのワクワクする試合を作りたいという気持ちになりました。

ーーなるほど、萩原さんご自身の経験や想いが込められている大会なのですね。萩原智子杯を創設するにあたり、何か工夫されたことはありますか。

萩原)ただの大会だとつまらないので、子どもたちが「参加したい!」と思える大会にしたいと考えました。私自身、小さい頃に参加賞をもらうと嬉しかったことを思い出し、さまざまな企業さんからバックアップをいただき、子どもたちに参加賞や結果に応じて賞品をプレゼントする大会にしています。

萩原智子杯 景品山梨大会で大会新記録を樹立した選手を称え、賞品を贈呈。

復興のために始まった福島での萩原智子杯

ーー2014年から始まった福島の大会について教えてください。

萩原)2011年に東日本大震災があり、何かできることがないかと考えたことがきっかけです。福島の子どもたちの肥満傾向率が上がってきているというニュースを目にし、福島県の水泳連盟の会長さんと話したところ、屋外にあったプールは震災の影響で壊れたり、放射能の問題で使用が憚られたりしていると伺いました。その影響で県内の競技レベルが一気に下がってしまったのです。

ーー震災が、競技のレベルにも影響した状況が続いていたのですね。

萩原)震災前の2010年、ジュニアオリンピックに福島県から出場した選手は春季と夏季を合わせて146人いましたが、2016年度は33人になってしまいました。今現在は、少しずつ増加傾向にある状況です。
萩原智子杯として年に1回試合をするだけではあるのですが、子どもたちや先生、保護者の方たちが年に1度の萩原智子杯を楽しみにし、ベストを出したいと思ってくださっていると聞いたときにはとても嬉しかったです。
また、回数を追うごとに、東日本大震災の復興という思いを根底に持ちながらも、全国に羽ばたいていけるような選手の「夢が繋がる場所」としての機能も果たすようになってきていると感じます。競技会だけではなく合宿も開催し、何か私にできることはないかと考えています。

ーー大会をきっかけにオリンピックを目指す子どもたちが現れたら、福島に住む方々の新しい希望にもなりますね。

萩原)そうですね。子どもたちの活躍は嬉しいですし、それが地元の子であるならば思いはいっそう大きくなると思います。2014年に大会を始めた時は、小さなプールで会場を点々としていたのですが、2017年に50メートルプールがある新しい施設がオープンしたので、大会を含め地域の子どもたちにとってもよかったと思います。

愛知県・春日井での大会も含め、「子どもたちの夢を繋ぐ場所をつくる」という想いでその雰囲気や環境づくりに取り組んでいます。

福島大会福島大会の様子

小さなメダルが嬉しかった思い出

ーー萩原智子杯が子どもたちにとっても『大切な大会』になっていることがわかりますね。萩原さんご自身が子どもの頃、大会に参加したときの思い出はありますか?

萩原)小学校3年生で初めて出場した大会をよく覚えています。結果は、50m平泳ぎで6位だったのですが、参加賞や小さなメダルがもらえて、誇らしくて嬉しく、「次はもっと頑張って大きいメダルをもらおう!」と思ったことをよく覚えています。

ーー子どもにとって、メダルや賞をもらえる経験はとても大きなきっかけになったりしますよね。

萩原)そう思います。先日、福島に住む男の子のお母様から「初めて出場した試合が萩原智子杯で、ずっと表彰台に上がることができませんでした。でもやっと今年の大会優勝し、表彰台で賞品をもらうことができました!ひとつの目標が達成できました!」というメッセージをいただきました。萩原智子杯を一つの目標にして頑張ってくださっているお子さんがいらっしゃるということが本当に嬉しくて、メッセージを読んで泣いてしまいました。

ーーとても嬉しい感想ですね。大会の際、子どもたちとコミュニケーションをとることもあるのですか?

萩原)長く大会に参加している高校2年生の子から、今後の進路について「選手をサポートする栄養士になりたいのですが、ご存知のお知り合いの方いませんか」という相談を受けたことがあります。こうして相談に来てくれた選手の勇気にも拍手を送りたいと思いましたし、相談に来てくれたことがとても嬉しく思いました。そして選手という立場以外からも水泳に携わろうとしてくださるお子さんが増えていくのもとても嬉しいですね。

ーー萩原さんが理想とする環境がしっかりと作られていっているような気がします。

萩原)今の時代の選手たちは、対面で会うだけではないコミュニケーションの取り方をたくさん知っていると思うのですが、やはり直接接する場を作るというのは大切だなと感じます。春日井の大会で、トイレの掃除の方に「ありがとうございます!」とお礼を言っている小学4年生の子を見かけて、思わず「良いね。きれいに掃除していただけると嬉しいよね。」と声をかけたことがあります。当たり前のことだとは思うのですが、当たり前なことを当たり前にすることは大変なことだと思いますし、人と人とが直接接する場だからこそうまれた機会なのではないかなと思います。

ーー萩原さんが大切にされていることが、大会を通して子どもたちにも伝わっていく、素敵な大会ですね。

福島大会毎年、福島大会を支える競技役員の皆さま

健常者と障がい者が一緒に参加できる大会

ーー2021年に開催された山梨県の大会では、パラ水泳の鈴木孝幸さんが参加されていましたね!

萩原)東京パラリンピックが終わったこともあり、以前から親交のあった鈴木さんにゲストで来ていただきました。鈴木さんとしても刺激的な大会だったとおっしゃっていただけました。実は山梨県の大会では、数年前から障がい者と健常者が一緒に大会に参加しているのです。

ーー水泳の大会で障がい者と健常者が一緒に参加するのは、珍しいのではないですか?

萩原)物理的に難しい部分もあるのですが、やろうと思えばできることではあります。実際日本には障がい者と健常者が一緒に大会に参加できる機会は少ないのが現状です。障がい者スポーツについて知見のある方や競技役員さんがいてくだされば、大会は成立します。少しずつそうした大会が増えていくといいなと思っています。

ーー子どもさん同士が交流できるというのも良い場ですね。鈴木さんが参加されて、お子さんたちの反応はいかがでしたか。

萩原)萩原智子杯始まって以来の緊張感でした。(笑)鈴木さんが水着になりスタート台に立つまでの緊張感は、これまでの大会とは違いましたね。実際にパラ水泳の選手を目の前で見るという経験はなかったと思うので、子どもたちは一つ一つを一生懸命見ていました。

ーー知識として知るだけでなく、実際に見てわかることもありますね。

萩原)本当にそうだと思います。例えば、「プールから上がるときに手伝ったほうがいいの?」などという疑問も実際に見ることで理解できます。例えば、「大丈夫?」と声をかけると相手は「大丈夫」と言うしかないので、「手伝いましょうか」と声をかけるほうがお互いのためになるなど、何が必要で何が必要ではないのかを考えるきっかけにもなったと思います。

ーー子どもに限らず、大会関係者や保護者など大人にも新しい気づきがありそうですね!

萩原智子杯萩原さんも尊敬する鈴木孝幸選手のメッセージは、子どもたちだけでなく大人にも影響を与えてくれました。

気づかせるのではなく、自然と感謝を

ーー協賛してもらえる企業に対しても、萩原さんご自身がお話されているんですよね。

萩原)子どもたちの夢が繋がる場所を作り出すためにご協力をお願いしています。みなさん本当に純粋に「もちろん応援します!」と前向きに支援してくださるので、企業の方々が「応援してよかったな」「また応援したいな」と思っていただけるような大会にしたいと思っています。

ーー企業からの協賛があって大会が成り立つということは、子どもたちにとっても感謝することですよね。

萩原)子どもたちに協賛企業さんをご紹介するとき、「感謝の気持ちを持ってください!」とストレートに伝えるのではなく、子どもたちが自らどういう環境で競技に向き合えているのかを考えるきっかけづくりをしています。どの大会でも本当に多くの企業の方にご協力いただいていています。初めのうちは、協賛企業を紹介するタイミングでは大人だけが拍手をしていたのですが、最近は子どもたちからも大きな拍手が生まれるようになりました。賞品を勝ち取ったりしながら、子どもたちが協賛してくださっている企業さんについて知ることで、自然と感謝が生まれるようになっていると思います。

ーー考えることで生まれる「感謝」が大事ですね。

萩原)気づかせるというのは簡単なのですが、気づける環境を作るというのは難しいなと感じます。我慢も必要ですね。

参加賞には、スポンサー企業の商品がたくさんの企業の支えもあり、子どもたちの目標とする大会、そして夢が繋がる場所となっている。
萩原智子杯春日井大会では、地元企業からの提供で最優秀選手賞を贈呈。

ーー今後の目標などについて教えてください。

萩原)参加する選手には、強さと優しさを持った心が強い人になってほしいと思っています。心が強い人は優しさを持っている人が多いと感じますし、覚悟や意思があるからこそ人に優しくできるのではないかなと思っています。そういった強さと優しさを持てるような大会や合宿を開催することで、選手たちに伝えていきたいです。人から愛され、応援したい!と思ってもらえる選手が強くなっていきます。さまざまなことを感じ、考えるきっかけを作り出せる大会、そして愛される大会として続けていきたいです。

ーーありがとうございました!

サラヤ
『衛生』を正しく知ろう!個人が大事、世界も大事1952年、当時流行していた赤痢の予防を目的に手洗い石鹸から始まったサラヤ株式会社。 その後も、一般家庭から食品衛生、公衆衛生、医療・福祉衛生など、日本のみならず世界の衛生環境改善に関する商品やサービスを販売するだけでなく、アフリカ・ウガンダでの100万人の手洗いプロジェクトなど、真摯に『衛生』に対して取り組み続けた企業は、新型コロナウイルスが蔓延する今、なにを思うのでしょうか?...