Sports for Socialでは、「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJリーグクラブの「想い」を取り上げます。2020年、世界は新型コロナウイルスの猛威にただ立ち止まるしかない状況に置かれました。そんな中でも名古屋グランパスは歩むことをやめず、地域の機関と連携し「防災」について取り組むことを決めました。
大地震が起こると想定されている地域だからこそ取り組むべきこと。名古屋グランパス広報コミュニケーション部 ホームタウングループの西村惇志さんに防災への挑戦についてお話を伺いました。
そして昨年 #grampus も「#防災キックオフチャレンジ」と題し、備蓄品や避難時持出品のチェックに備える活動を行いました。#あれから10年 に思いをめぐらすと共に、今後30年で発生確率8割と言われる東海トラフ巨大地震起への「日頃の備え」の契機になりましたら幸いです。 https://t.co/OP0Sk3hYwc pic.twitter.com/pMnOofdcK9
— 名古屋グランパス / Nagoya Grampus (@nge_official) March 11, 2021
防災について親しみを持ってもらうために
ーシャレンアウォーズで紹介された”大学生消防団×SNS「#防災キックオフチャレンジ」”についてお伺いいたします。
西村)名古屋市消防局と名古屋市大学生消防団の方、HITOTOWA INC.との企画を実施したり、SNSを活用した防災への啓発を行なったりしました。サッカーをしながら防災を学ぶというのがテーマで、その中で「楽しく、備える」ということをコンセプトにしています。
ー具体的にはどのようなことをされたのですか?
西村)2019年からは名古屋市消防局とHITOTOWA INC.との協働で「ディフェンス・アクション」というサッカーを通して防災を学ぶというイベントを実施していたり、マスコットのグランパスくんが名古屋市消防団サポーターに任命され様々な広報活動に携わったりしていました。
2020年3月以降、Jリーグも中断し大学も休校になってしまったため、活動も一時中断してしまいました。しかし、このコロナ禍の状況で災害が起きた時にどう避難するかなど、今だからこそ考えなくてはいけない課題が挙がり、また、名古屋市消防局の方からのお声もあって活動を再開することにしました。
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家にいながら避難するという考え方
西村)感染症禍では特に「在宅避難」という自宅にいながら避難するという方法も選択することができます。ですので、災害が起こったときに在宅避難ができるように備蓄品を備える必要があります。
そこで私たちは「備蓄品10個の名前を口に出しながらリフティングする」という動画を作成しSNSに掲載し、ファン・サポーターの方などにもSNSを通して参加いただく企画としました。動画を通して、防災の意識を持っていただくためです。
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ー反響はいかがでしたか?
リツイートや名古屋市大学生消防団のお手本動画のアップロードなど様々な反響がありましたね。
備蓄品についての意識向上に少しでも貢献できたのではないかと思います。
ー印象に残っている反響などはありますか?
名古屋おもてなし武将隊やスタジアムDJをしていただいているYO !YO!YOSUKEさんや、河村市長などに参加していただいて大変嬉しかったです。
名古屋はいつ大地震が起きてもおかしくないと言われている地域ですので、ホームタウンの防災意識をより良くするためにはありがたい反応でした。
参加者の方からも、「備蓄品を覚えるいいきっかけになった」という声もいただき、家族みんなでやってみたとか、お友達と一緒にやってみた、など、少なからず備蓄品の重要性を再認識するきっかけにはなれたのではないかな、と思っています。
名古屋市大学生消防団の活動に感銘を受け、グランパススタジアムDJとして、グラスタMCとして
⚽️防災キックオフチャレンジ⚽️
しております💪✨強力な助っ人吉野有香ちゃんと⚽️@yukachin_next
楽しく防災について学びましょう✨#防災キックオフチャレンジ #グラスタ#grampus#名古屋グランパス pic.twitter.com/SOtE9zp03e
— YO!YO!YOSUKE公式🎤ナゴヤタレント (@YOSUKE0722) October 5, 2020
安定した社会だからこそ成り立つ「スポーツ」と夢や希望を与える立場としての使命
ー感染症禍以前より活動されているとのことですが、感染症禍になってみて気づいたことなどありますか?
西村)Jリーグが中断する中、スポーツやエンターテイメントが安定した社会の中で成り立っていることを改めて確認しました。だからこそ、有事の際には防災に携わる方との連携や支援をしたいと考えています。
ースポーツクラブ発で防災について発信することへのメリットはどんなことがありますか?
西村)私たちグランパスというサッカーチームは、夢や希望、ワクワク感を届けることが使命でもありますし、また消防の方など防災に携わる方々はそういった夢や希望を守る立場にあるので、お互いに同じものを守りながら連携するという意義をすごく感じています。
昨年のJリーグ中断期間中は「何もできない」という無力感があった中で、防災に関わる方々と連携していくことで活動の幅を広げていけると考えています。
あとは、名古屋市大学生消防団をはじめ、消防関係の方々にとってもグランパスの活動について知っていただけて、日頃から応援していただけるようなきっかけにもできたのではないかなと思います。
ーグランパスに興味をもっていただくきっかけになったんですね。
西村)はい、そのように感じています。
SNSを使った企画は消防局としても初めてだったようなので、愛知県外からも問い合わせがあり、名古屋に限らず他の地域の方にもグランパスが防災に力を入れて活動していることや、そういう想いを持っていることが伝わったのではないかと思います。
新型コロナウイルスは本当に予期せぬものだったので、いろいろな行政の取り組みもストップしてしまった部分はありながら、それ以前にも繋がりや関係性があったことで、動きづらい世の中でも一緒にスムーズに取り組みを行うことができました。こういった関係性を続けて、ほかでもパートナーシップをつづけていくことが大事だと感じています。
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立ち止まらずに進んでいく
ー2021年そして今後取り組んでいきたいことはありますか?
西村)防災というテーマは、当事者になってみないと分からないという課題があると思います。自分のこととして考えにくいというか、とっつきにくいというか。ですので、今後も継続した活動を通して災害に備える意識を皆さんに持っていただければと考えています。
私たちグランパスとしては、防災についてみなさんに考えていただく最初の入り口を作ることを意識して今後取り組んでいきたいと思っています。
ーありがとうございました!