北海道日本ハムファイターズは、従来から行ってきたCSR活動を独自に「SC(Sports Community)活動」と呼び、野球をはじめとするスポーツ振興や社会的課題の解決を目指し、活動を推し進めています。
企業理念としても掲げている“Sports Community”。この理念や取り組みへの想いを、北海道日本ハムファイターズ 広報部SCグループ・笹村様(以下:笹村)に伺いました。
スポーツと生活が近くにあるコミュニティ
ーー企業理念である「Sports Community」について教えていただけますか?
笹村)“スポーツと生活が近くにあるコミュニティ形成”が大きな目標になります。
する、観るスポーツのどちらにおいても、スポーツは体の健康を育んでくれるのと同時に、人と人との繋がりを強くするという点で、心の健康にも寄与できると考えています。
スタジアムでの試合観戦を通して、多様な人が感動や興奮を共有して気持ちを一つにするというところもそうですし、一緒にスポーツを楽しむことで仲間になるといったところにスポーツの力があると感じています。
このチームが北海道に誕生した2004年から、そういったスポーツの力で地域に元気と活力を与えて健康なコミュニティを作れるようにと「Sports Community」という企業理念のもとに活動しています。
ーー2004年に北海道に本拠地を移転した時から社会貢献活動を行っているんですね。SC活動はどのようにして始まったのでしょうか?
笹村)当初は、スタジアムが満員だった訳ではありません。北海道は広いですし、いきなり「北海道日本ハムファイターズです」と言ったところで、遠方に住まれている一部の方にはピンとこないことも最初はあったのかもしれません。
最初はそういった地域に出向いていって、各地に住む方々とコミュニケーションを取ったり、ネットワークを作ったりしました。マスコットのB☆Bも10年かけて全ての市町村(当時は212)を訪問しました。また、野球アカデミーを通して子どもたちと触れ合うというような活動をスタートしたのが、SC活動の起源と言えるかもしれません。
一方で、2006年・2007年にリーグ優勝、2006年には日本一にもなることができました。地元のチームが優勝するという、道民の皆さんの心が一つになるような喜びを提供できたのは大きなターニングポイントになったとも感じています。
私も北海道出身ですが、子どもの頃は北海道にプロスポーツチームがなく、北海道にプロスポーツチームはできないもの、ないものだと思ってきました。それがこうやって、北海道コンサドーレ札幌さんに続いて野球のチームもできて、チームの優勝はこんなにも嬉しいものなんだと北海道の皆さんに感じていただけたのは大きかったと思います。
ファイターズが北海道にある意義
ーー北海道日本ハムファイターズが「北海道にあること」への意識は強いのでしょうか。
笹村)札幌日本ハムファイターズではなく、北海道日本ハムファイターズであるというチーム名にもそれは表れていますし、ブランドステートメントとして、「HOKKAIDO PRIDE(北海道プライド)」という言葉を大切にしています。
また、各地の後援会でのネットワークや、北海道179市町村応援大使という企画など、北海道全体をホームタウンとして考えているからこそ行っている活動がいくつもあります。
「北海道179市町村応援大使」というのは、北海道には179の市町村があり、一つの市町村に対して基本2選手を応援大使に1年間任命するという企画です。1年に18市町村、10年で全ての市町村を網羅するという10年がかりのプロジェクトになっています。スタートしたのは北海道に来て10年目、2013年に始まったもので、節目である10年目から20年目にかけて実施しています。地域連携活動なので、SC活動とは少し毛色は違いますが、地域と選手との関係性を作るという意味では“Sports Community”の企業理念に合致しているものになります。
稲葉篤紀の存在感
ーー2006年、2007年のリーグ優勝のお話に関連して、当時主力選手として活躍していた稲葉篤紀さんが現在スポーツ・コミュニティ・オフィサー(SCO)として活動をされている経緯を教えていただけますか?
笹村)稲葉は現役時代から、個人で社会貢献や寄付という活動を積極的に行っており、当時からそういった活動に対する理解や意識もありました。
現役を引退し、その次のステップをどうするかとなった時、私たちもそういった地域貢献活動をさらに推し進めるにあたっての稲葉の存在感は大きいというところで、新たにポストを設けて一緒に活動していこうとスタートしました。
「北海道をスポーツ大国にしたい」
ーー今回のインタビューでは、SC活動の基盤となる想いやSC活動の概要をお聞きしました。今後、どんな活動を展開していきたいか、今後のビジョンがありましたら教えて下さい。
笹村)稲葉もよく言っていますが、北海道をスポーツ大国にしたいです。
「スポーツと生活が近くにある」という言葉と意味は近いですが、北海道は1年中様々なスポーツが楽しめる環境があり、プロスポーツチームもたくさんあります。「観る」スポーツだけでなく、「する」スポーツも年間を通して身近にあります。夏は当然、野球やサッカーができますし、冬になればウインタースポーツができるという土地柄を生かしていきたと思っています。
現在進行中のボールパーク建設もその一つの形ではありますが、皆さんの健康に寄与し、「北海道に住みたいな。」と思ってくれる方が1人でも増えるような魅力的な北海道にすることに貢献したいですね。